2014年02月09日
コツヤクワガタの仲間 (Odontolabis) その2
2回目はスラウェシ島のコツヤ(Odontotyranus亜属)についてです。
分布は主に中央スラウェシ州西部と南スラウェシ州北部に集中します。
一部の種類は南スラウェシ州南部と南東スラウェシ州からも得られます。
今回は数種の不明種も図示しますが、当方が未見の不明種もいると聞いています。
飛ばないクワガタなので、標高差や独立峰や中央スラウェシ州東部などで新種が出てくるかもしれません。
※ Chalcodesと言う属名について。
Chalcodes属という属名はCalcodes属の間違えで付けられたました。
本来はChalcodesというスペルが正しいのですが、
間違ったスペルのCalcodesで記載されてしまったために Calcodesが正しい属名になります。
Calcodes Westwood, 1834:116,118
= Chalcodes Burmeister, 1847:357
type: Lucanus aeratus Hope, 1833
種名でも間違ったスペルで記載されたものを結構見るので注意が必要です。
例:Prosopocoilus maclellandi Hope,1842
P.macclellandiがスペルは正しいのですが、種名としては間違ってます。
↑
Dorcus antaeusの記載文を見ていたらP.macclellandi Hope,1842:83で合っているのに気がつきました。
すみません。
P.maclellandiという表記はHope,1843:364です。
分布は主に中央スラウェシ州西部と南スラウェシ州北部に集中します。
一部の種類は南スラウェシ州南部と南東スラウェシ州からも得られます。
今回は数種の不明種も図示しますが、当方が未見の不明種もいると聞いています。
飛ばないクワガタなので、標高差や独立峰や中央スラウェシ州東部などで新種が出てくるかもしれません。
※ Chalcodesと言う属名について。
Chalcodes属という属名はCalcodes属の間違えで付けられたました。
本来はChalcodesというスペルが正しいのですが、
間違ったスペルのCalcodesで記載されてしまったために Calcodesが正しい属名になります。
Calcodes Westwood, 1834:116,118
= Chalcodes Burmeister, 1847:357
type: Lucanus aeratus Hope, 1833
種名でも間違ったスペルで記載されたものを結構見るので注意が必要です。
P.macclellandiがスペルは正しいのですが、種名としては間違ってます。
↑
Dorcus antaeusの記載文を見ていたらP.macclellandi Hope,1842:83で合っているのに気がつきました。
すみません。
P.maclellandiという表記はHope,1843:364です。
上:O.alexsandrae,var.johani,中間個体
下左:O.baderi Mamasa
下右:O.baderi Mt.Makki
Odontolabis alexandrae (Ipsen,1999):6 [Chalcodes alexandrae]
[Type Locality] Indonesien,S-Sulawesi,Torajaland,Bergland bei Makki
[sny] Chalcodes johani Ipsen,1999:6-10
ママサ周辺で得られます。
2004年頃にまとまって採集されたようですが、基本的に採集数は少なめのようです。
O.baderiに似るが、体色は明るく、顎中央に2本の内歯を備え、先端の端歯はより先端寄り。
頭部先端はヒサシ状になる。
前胸上縁部の切れ込み角度は浅い。
C.johaniは顎先端付近に長い内歯が1本出るタイプで、中歯型にあたる。
Odontolabis baderi (Bomans et Bartolozzi,1990):443-446,figs.1,4,7 [Chalcodes baderi]
[Type Locality] C.Celebes
南スラウェシ州のプルプル・ママサ・マッキから得られる。
基準産地は中央スラウェシ州ではなく、スラウェシ島中央部を指してるものと思われる。
O.alexsandraeに似るが、頭部・前胸は黒味が強くて上翅は赤みを帯び、光沢が強い。
顎の中央に1本の長い内歯を備える。
頭部先端はヒサシ状になり中央部が盛り上がる。
前胸上縁部は切れ込みが深くて丸みを帯びる。
産地によりやや変異が見られる。
♀はO.sarasinorumの次に入手がしやすい。
左:O.kikuchii (♀ Fujita,2010より)
中:O.nobuyukii (♀ Fujita,2010より)
右:O.taronii
Odontolabis kikuchii H.Ikeda,2000:30
[Type Locality] Tana Toraja,southern Sulawesi
トラジャのサダンやプルプルで得られる。
O.baderiに似るが、黒色で光沢が強い。
頭部・顎は長く、顎は内側にくびれ、端歯のすぐ下は小さく盛り上がる。
前胸は後方に行くほどやや幅広。
♀もO.baderiに似るが、黒色で細長い体型、顎中央の内歯は大きくて先端が尖る。
Odontolabis nobuhikoi H.Ikeda,2000:30-31
[Type Locality] Mamasa,southern Sulawesi
ママサで得られる最大27oほどの小型種。
黒色で頭・前胸は艶消しで上翅は光沢が強い。
顎は短くて付け根と先端に小さな内歯を備える。
小型個体でも歯型はほとんど変わらない。
♀はO.kikuchiiに似るが、小型で頭部と内歯は小さく、
前胸は後方に行くほど幅広くなりやや直線的。
Odontolabis taronii (Bomans et Bartolozzi,1990):436-478,figs.2,5,8 [Chalcodes taronii]
[Type Locality] Indonesia:Sulawesi,Puncak,Palopo
プンチャックパロポやプルプル周辺で得られる。
O.nobuhikoiに似るが、顎は長く伸びて付け根の内歯は無い。
小型個体でも歯型はほとんど変わらない。
頭部は大きく、大型個体では前胸上方は幅広になる。
体色は黒〜赤色。
♀もO.nobuhikoiに似るが、顎はやや太く、前胸は丸みを帯びる。
左:O.rorekaotimbuensis Types Fujita,2010より
左中:O.sp. C.Sulawesi,Poso
右中:O.berundi (上:Mamasa, 下:PuluPulu)
右:O.sarasinorum
Odontolabis rorekaotimbuensis Nagai et Isogai,1987:9-11,figs.3-6
[Type Locality] Puncak Dingin,on the slope of Mt.Rorekaotimbu,S.E. of Palu City in beeline,Kabupaten Poso,Sulawesi Tengah
中央スラウェシ州のロレカオティンブー山から得られる。
現在は採集場所への道がなくなってしまい、採集できない状態だそうです。
O.baderiの小型に似るが、内歯は大きくて鈍角。
頭部は小さく、腹部は大きく、ケイ節は細い。
♀は腹部が大きく、内歯は鋭い。
Odontolabis sp.
[Distribution] C.Sulawesi,Poso
中央スラウェシから得られた、O.rorekaotimbuensisに似た種類。
顎は太くて3本の内歯を備える。
頭部・前胸・ケイ節は幅広で、体形は俵型。
Odontolabis berundi (Schenk,2000):13-14,fig.1 [Calcodes berundi]
[Type Locality] Indonesien,Süd-Sulawesi,Umgebung Mamasa
ママサ・プルプルから得られる。
顎が短い特異な種。
最大個体は30oとされているが、
数十頭検品しても20oを少し超えたくらいのサイズまでしか確認できませんでした。
基本的に頭部・前胸は艶消しだが、プルプル産の中には光沢があるものも見られる。
体型は瓢箪型で、前胸・上翅は丸い。
♀も同じような体型なので他種との区別は容易。
長い内歯は先端に寄り、
Odontolabis sarasinorum Heller,1898:21,fig.11
[Type Locality] Celebes meridionalis,summus mons Bonthain
南スラウェシ州南部に分布する、フローレスのO.nishiyamaiに似た種類。
O.nishiyamaiと比較すると、前胸は黒色で、全体的に光沢が強い。
頭部先端はヒサシ状になる。
上左:O.hamjahi
上中:O.svenjae Mamasa
上右:O.svenjae S.E.Sulawesi
下左:O.sp. C.Sulawesi,Seko I氏所蔵
下右:O.uruslae
Odontolabis hamjahi H.Ikeda,1998:6-7,fig.2
[Type Locality] Makki,near Rantepao,South Sulawesi
マッキ・プルプルから得られる。
O.svenjaeによく似ていて、見慣れていないと区別は困難。
体色は黒色であることがほとんど。
顎先はやや直線的。
ホロタイプは中央の内歯の上の小さな内歯を欠くが、
そのような個体はほとんど見られない。
複眼下はやや膨らみ傾向が強く、頭部の光沢は若干強い印象。
上翅の皺はややはっきりしている。
♀は胴体が長くてやや細長い印象。
Odontolabis svenjae (Schenk,2000):15-17,figs.2(a-b) [Calcodes svenjae]
[Type Locality] Indonesien,Süd-Sulawesi,Umgebung Mamasa,Mt.Mambulilling
分布はママサと南東スラウェシ。
ウェブ上でCalcodes hamdschayiと名前がついているのも見かけましたが未記載と思われます。
O.hamjahiによく似た種類。
体色は赤みのある個体が多い。
顎は付け根がやや外側に張り出し、先端は内側に湾曲する。
頭頂部の点刻は多く、頭部の光沢は弱い印象。
上翅の皺は弱い。
♀はずんぐりした体形。
なぜか離れた場所の南東スラウェシからも得られ、
やや小型で、赤みが強く、体形は寸詰まりで、上翅の皺はほとんど見られない。
Odontolabis sp.
[Distribution] C.Sulawesi,Seko
中央スラウェシ州セイコーで得られる。
O.svenjaeに似るが、顎は細くて直線的で、小さな2本の内歯を備える。
頭部は小さく、上翅の皺はほとんど見られない。
特徴は安定しているようです。
Odontolabis uruslae (Schenk,1999):13 [Calcodes urusulae]
[Type Locality] S.Sulawesi,Toraja-Land
ママサ・プルプルから得られる。
完全大歯はO.svenjaeのようになるが、中央の内歯は小さい。
ほとんどの個体は中央の内歯は波歯状。
やや小型で赤みが強く、ぼってりした体形。
頭部はやや小さく、前胸上部の幅は狭い。
上翅の皺はややはっきり出る。
大型個体はO.svenjaeに似るが、小型はO.martinii似。
♀は頭部が小さく、前胸は丸みを帯びる。
上左:O.martinii
上右:O.lecourti
下左:O.nagaii
下右:O.sp.? Puncak Palopo
Odontolabis martinii (Ipsen,1995):3-7,figs.1-4 [Chalcodes martinii]
[Type Locality] Männchen, Indonesien, S- Sulawesi, Umg. Rantepao
ランテパオとプンチャックパロポから得られるが、ほとんど採集されない珍品。
O.nagaiiに似るが、全体的に赤みが強い。
顎は細く、顎付け根の内歯の突出は弱い。
大歯は顎が細長く伸び、付け根に1本の鋭い内歯を備える。
前胸中央部は小型個体でも凹む。
胴体はやや小さく、上翅の皺はやや弱い。
♀は顎が強く湾曲し、ぼってりした体形。
前胸後方は湾入しない。
Odontolabis lecourti (Bomans,1997):29-30 [Chalcodes lecourti]
[Type Locality] Indonesie,S Sulawesi,region de Rantepao,Pulu-Pulu
プルプル・マッキ山・カンブソ山から得られる。
O.martiniiに似るが、やや小型で、体色は明るく、顎は貧弱な印象。
頭部はやや大きめで、前胸中央の凹みは弱く、上翅の光沢はやや弱い。
♀はやや頭部が大きく、顎は華奢。
マッキの個体群は体形がやや強壮。
Odontolabis nagaii H.Ikeda,1996:3-6,figs.1-2
[Type Locality] Pulu Pulu,South Sulawesi
プルプルから得られる超珍品。
絶滅したとは思えませんが、採集場所は開発で道路にされてしまったそうです。
O.martiniiに似るが、顎はやや太くて直線的で、付け根の内歯はより突出する。
頭部・前胸は黒色で光沢が強く、前胸中央部は凹まない。
上翅の皺は深く、色はにじみ出るような赤色で淵は黒っぽくなる。
胴体はやや大きめ
♀は胴体が長く、上翅の皺ははっきり出て、全体的に光沢は強い。
写真ではわかりにくいですが、上翅の色合いは♂と同様です。
Odontolabis sp.?
[Distribution] S.Sulawesi,Puncak Palopo
プンチャックパロポから得られた、O.nagaiiによく似た種類。
全体的な印象はO.nagaiiにそっくりですが、
顎先端の内歯はやや先に向き、付け根の内歯は若干突出が弱い。
顎はO.nagaiiが平面的なのに対し、顎両脇は反りあがる。
体型はぼってりしていて、上翅の皺はやや浅い。
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