大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

ツカモトミヤマはタイのナン周辺〜ラオス北東部辺りまで分布している小型種で、
最近　カンボジアからもよく似た種類が記載されました。

ツカモトとはちょっと系統が違いますが、
北ラオスから俗にいうフェアメイルに似た種類も得られています。

ヒメミヤマではありませんが、
カンボジアと言えばL.cambodiensisについても触れる必要があるので
L.cambodiensis及びL.nobilisについても書き留めておきます。

左：L.tsukamotoi　Holotype　Fujita,2010より
中：L.tsukamotoi　N.Thailand　Maeda,2010より
右：L.tsukamotoi　N.E.Laos

Lucanus tsukamotoi Nagai,2002:11-13,figs.1-2
[Type Locality] near Nan,northwestern Thailand

ヒメミヤマ系統ですが、大顎は細く　細かい内歯はまばら
顎先端の端歯は大きく開く。
耳状突起は外側に張り出さない。
個体差はあるものの　上翅が赤っぽい個体が多いようです。
中国からもやや異なるものの　よく似た種類が得られているようです。



L.viheari　Holotype Schenk,2013より

Lucanus viheari Schenk,2013:2-3,fig.1
[Type Locality] Northern Cambodia, Preah Vihear, Choam Khsant

カンボジアから新しく記載された種類です。
ツカモトに非常によく似ていて　亜種程度のものかもしれません。
顎先が強く湾曲する　頭頂の突起が大きい　ケイ節の色が明るい
など違いが見られます。
タイプ標本のみの特殊な個体ではないようです。



左：L.sp.(L.fairmairei)
右：L.sp.　N.E.Laos

Lucanus sp. in Mizunuma et Nagai,1994::217, pl.17 [Lucanus fairmairei (nec Planet)]
[Distribution] N.Thailand,N.Myanmar,E.India,Tibet,Yunnan

俗にフェアメールと同定される種類です。
ツカモトとは顎先の端歯の開きが小さい　細かい内歯が多い　耳状突起が外に張り出すなどで区別できます。
分布域がまったく異なりますが、
ツカモトと言うよりはフォーチュンによく似ています。
関連記事も参照してみてください。
[関連記事] シセン・ミヤマとフェアメールについて　その１
[関連記事] シセン・ミヤマとフェアメールについて　その２


Lucanus sp.
[Distribution] N.Laos

ラオスからツカモトに混ざって得られます。（少量）
上記の個体群に似ていて、　顎や内歯の発達がよく　頭頂の突起は大きい。
亜種？



左：L.cambodiensis　Type　Araya,2001より
右：L.nobilis　Katsura,2004より
下：記載文　Didier,1925より

左：L.nobilis　69�o
中：L.jeanvoinei　Type　Araya,2001より
右：L.speciosus　Type　Araya,2001より
下：記載文　Didier,1925より

Lucanus nobilis Didier,1925:221
[Type Locality] -
[sny] Lucanus speciosus Didier,1925:222 [-].
Lucanus cambodiensis Didier,1925:222 [-]. (Lao-Kay)
Lucanus jeanvoinei Didier,1927:203-205,fig.1 [Chapa(Tonkin)].

L.cambodiensisは1♀で記載されて、
記載文には基準産地が書かれていません。
Araya,2001のタイプ標本のラベルを見るとLao-Kay（＝N.Vietnam)とあります。
もの自体もL.nobilisの♀と区別がつきにくく　産地からしてもL.nobilisのシノニムでしょう。
L.nobilisはタイプ標本が紛失しているらしく記載文と誇張された絵から判断するしかありません。
L.speciosusの記載文中でもL.nobilisに触れられているので参考になるかもしれません。
一応、
L.speciosusはL.nobilisのケイ節が黄色い個体、
L.jeanvoineiはL.nobilisの大型個体とされ　シノニム処理されていることが一般的です。
タイプのサイズは　[L.nobilis 58mm : L.speciosus 55mm : L.jeanvoinei 66mm]

特徴については　ヨーロッパミヤマに似た雰囲気の種類です。
近隣ではクラーツに似ていますが　顎先端の端歯の形状や耳状突起の形状で簡単に区別がつきます。
分布はベトナム北部と雲南省。
未見なのでノビリスなのかは不明ですが、ベトナム中部・ゲアンの標本の中によく似た個体が混ざっていたと聞きました。