2014年07月21日
その夜の侍 赤堀雅秋
暑い日差しの中、堺雅人演じる中村が、妻の復讐のために山田孝之演じる木島を追いかける所から始まる。
主に、後ろ姿中心のカットと、暗鬱なBGMでオープニングで、画面に釘付けにされる。
レビューなどは、結構低めで、「意味がわからない」「リアリティーが足りない」という意見もみた。
リアリティの部分は、確かに無理があるなと感じる所もあるし、レビューを低くつける人もいるだろうなと、理解できるところもある。
ただ、個人的には、少数派になるかもしれないが、好きな作品の一つだ。
まず、役者の演技が素晴らしい。
他の出演者には、新井浩文、綾野剛、坂井真紀、田口トモロヲ、谷村美月、高橋努、安藤サクラ、でんでんなど、そうそうたる顔ぶれで、どの方がでてる映画やドラマもおもしろかったイメージがある。
それから、知らなかった女優さんで山田キヌヲという方の演技もいい感じで物語のスパイスになっていた。
この顔ぶれで観ないという選択肢がまず自分の中にない。
もしかしたら、このメンツで脚本が違うものだったらどうなるのだろうとか、邪推もしてしまったのだが、役者の力って大事だなと感じさせられた。
そのうまさをいまさら、ここで説明してもしょうがないけど、うまい俳優というのは、日常にある喜びや悲しみや怒りを、人一倍感じ取ってるんじゃないかと思う。
しかも、感じたそれを、文章を綴る作家のように表現する。
だれにでもできる仕事ではない。
全体として、大掛かりなセットやアクションがあるわけでもなく、静かで人との会話でや表情だけで、物語は進む。
地味で長回しじゃないかと思われるシーンもあるが、わざと長回しにして、視聴者に時間を与えてる監督の思惑が隠れてるような気がする。
そして、ラストは意味がわからないと言われるシーンの一つだが、妻との日常との決別、生きる意志を感じる。
映画のラストらしいラストだと思う。
わからないからつまらないのじゃなくて、わからない事もおもしろい。
日常と一緒だ。
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それにしても、山田孝之は、タバコと傘がよく似合う。
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