2016年11月13日
社員の“メンタルヘルス危機”をどう乗り越えるか
「こころ」も診られる産業医と人事管理の確立を
パワハラ、セクハラなどの言葉が連日、メディアを賑(にぎ)わせ、自殺やうつ病による社会的損失額は、何兆円という試算もある。
厚生労働省の2013年の調査では、過去1年間にうつなどのメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業または退職した労働者がいる事業所の割合は10%で、前年の8・1%より上昇した。
小規模企業が全体の比率を引き下げているが、例えば1000人以上の事業所だと9割近くに達する。
うつ病の患者数も00年以降、大幅に増加している。同省は労働安全衛生法の一部を改正して企業にストレスチェックを義務付けた。
50人以上の事業所では15年12月から毎年1回、医師や保健師による検査の実施が必要になった。
ストレスが高い場合は医師の面接を受けて助言してもらうなど、メンタルヘルス不調を未然に防止する仕組みだ。
産業医のあり方も変わりつつある。
会員制医療総合サービスのメディカル・サーバント(東京都港区)は「主治医型産業医」という新ビジネスに着手した。
同社は大学病院と提携して24時間の健康管理サポートを提供している。
「500人ほどの会員には経営者が多く、従業員に関する相談もかなり多い」(山中孝市代表)ことからの発想という。
産業医を司令塔と位置付け、その周囲に複数の総合内科医と心療内科医、カウンセラーをチームとして配置した。
メンタルヘルスではストレスチェックの実施から面談、カウンセリングまでチームでこなす一貫体制を整えた。
「主治医型」には”顔が見える“という思いを込めたそうだ。
従業員1000人以上の企業は産業医が専従のため、50−200人規模の企業が主要顧客になるとみている。
医療は細分化が進んでいる。特定の産業医がメンタルヘルスを含むすべてをカバーするのは難しい。企業も悩んでいるケースが多いだろう。
グローバル化が進む中で、ビジネスの世界は厳しさを増している。
最前線にいるビジネスマンは神経をすり減らす場面が多くなっている。
企業にとって、大事な戦力がダウンしてしまっては損失だ。産業医とともに「からだ」だけでなく「こころ」も診る必要性が高まっている。
特に最近は若い人のストレス耐性の脆弱性が高まっている。
一方、会社の人事管理も問題がある。良き人材を、その能力を上手に生かし業務効率を上げようと言う意識が会社上層部に欠けている面も見逃せない。
ストレスチェックの結果によってより良い人事管理の確立も求めらている。
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