2014年01月05日
「知の武装‐救国のインテリジェンス」 手嶋龍一・佐藤優
元NHKワシントン支局長・手嶋龍一と元外務省主任分析官・佐藤優の著書はどれも分析の広さと深さにおいて他の論客の追随を許さない。かれらの論評を読んだ後では、新聞の批評を読む気が失せるほどだ。それほどに彼らの著作には中毒性があふれている。専門バカではなく、ゼネラリストな知識人を志向するものにとって、著作・著作家の中毒は避けねばならないものであるが、ともかく彼らの発言には危険な魅力がある。
彼らの共著は本作で3冊目である。1冊目「インテリジェンス‐武器なき戦争」の頃はインテリジェンスについての解説にもだいぶ稿が割かれていたが、3冊目ともなるとある程度の予備知識が読者にはある前提で容赦ない論評が怒涛のごとく続く。
テーマは今話題の東京オリンピックからTPP、スノーデン事件、尖閣諸島問題などがメインである。特定機密保護法案については自明の理なのか触れられてすらいない。
読書の際、少しでも気になる箇所には付箋を貼って読む習慣があるが、この本がここ最近では最も多かった。オリンピックのもつ国際政治への影響力について国連となぞらえてみたり、スノーデンらアナキズムを心に抱える技術者を雇う情報機関の苦悶やメディアでは議題に上らないTPPの戦略的意義と、油断して読むことのできないほどの議論が続く。
特に、飯島勲内閣官房参与の訪朝写真を題材に、各国の情報屋たちがどの様に分析して見せるのか実演するくだりは圧巻である。
間違いなく、現在巷に出回っている中で最高レベルの政情分析の書であり、10年後も2013年暮れの政情分析の傑作断片標本として「古典」的価値を持つに値する書である。
彼らの共著は本作で3冊目である。1冊目「インテリジェンス‐武器なき戦争」の頃はインテリジェンスについての解説にもだいぶ稿が割かれていたが、3冊目ともなるとある程度の予備知識が読者にはある前提で容赦ない論評が怒涛のごとく続く。
テーマは今話題の東京オリンピックからTPP、スノーデン事件、尖閣諸島問題などがメインである。特定機密保護法案については自明の理なのか触れられてすらいない。
読書の際、少しでも気になる箇所には付箋を貼って読む習慣があるが、この本がここ最近では最も多かった。オリンピックのもつ国際政治への影響力について国連となぞらえてみたり、スノーデンらアナキズムを心に抱える技術者を雇う情報機関の苦悶やメディアでは議題に上らないTPPの戦略的意義と、油断して読むことのできないほどの議論が続く。
特に、飯島勲内閣官房参与の訪朝写真を題材に、各国の情報屋たちがどの様に分析して見せるのか実演するくだりは圧巻である。
間違いなく、現在巷に出回っている中で最高レベルの政情分析の書であり、10年後も2013年暮れの政情分析の傑作断片標本として「古典」的価値を持つに値する書である。