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2021年03月28日
【春の和歌】亀山上皇(かめやまじょうこう)
『弘安御百首(こうあんおんひゃくしゅ)』より
「四方(よも)の海 波を(お)さまりて のどかなる わが日(ひ)の本(もと)に 春は来(き)にけり」
詠み人と歌の意
これは亀山上皇(かめやまじょうこう)がお詠みになったお歌で、亀山天皇の文永(ぶんえい)八年に、蒙古(もうこ)から攻めてくる企(くわだて)のあることを高麗国(こうらいこく)の使がいってきました。そうして天皇が、お位を、お子さまの後宇多天皇(ごうだてんのう)にお譲(ゆず)りになった文永十一年の十月に、蒙古の兵が対馬(つしま)に、壱岐(いき)に、筑前(ちくぜん)に来ましたが、敗(やぶ)れて帰りました。次の年の建治(けんじ)元年四月には、元(げん)の国の使が来たのを、北条時宗(ほうじょうときむね)が鎌倉で斬(き)りましたので、しばらくは何事もなくて、二年後の弘安(こうあん)元年にお詠みになったのがこのお歌であります。
歌の意は
「四方(よも)の海の波もようやくおさまって、わが日本の国にのどかな春が来た、喜ばしいことであるよ。」
再びの国難
安心してお詠みになった歌でありますが、弘安四年の五月から六月にかけて、また蒙古が大挙(たいきょ)して九州の博多に襲来(しゅうらい)しました。亀山上皇は、石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)にお詣りなされ、また勅使(ちょくし)を伊勢大神宮(いせだいじんぐう)にお遣(つか)わしになり、身(み)をもって国難(こくなん)に代わろうとお祈(いの)りになりました。幸(さいわ)いに九州の防禦(ぼうぎょ)がよかった上に、閏(うるう)七月一日には大風が吹いて、おびただしい敵の兵船がことごとく沈み、日本国はじまって以来の国難が無事にすんだのでありました。
図書
『和歌ものがたり』佐佐木信綱著
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2021年03月24日
【玉子売】たまごうり
2021年03月21日
【むらさき】
語釈
古代紫(こだいむらさき)といわれ、赤味をおびたむらさきのこと。
枕草子より
春はあけぼの。や(よ)うや(よ)うしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。
図書
『枕草子』竹下政雄著
2021年03月10日
【てうばみ】(重食(ちょうばみ))
語釈
奈良(なら)時代に渡来(とらい)した遊び。双六(すごろく)の一種。ふたつのさいころを振(ふ)って、おなじ目をだすことを争(あらそ)う遊戯(ゆうぎ)。ふたつのさいの目がおなじ数であれば調(ちょう)といって相手のこまを食うから重食(ちょうばみ)という。
枕草子より
て(ちょ)うばみに、て(ちょ)うおほ(お)くうちいでたる。
双六(すごろく)で、ふたつのさいころを振(ふ)って、おなじ数の目をたくさんうちだしたとき。
図書
『枕草子』竹下政雄著
2021年03月09日
【心おとり】こころおとり
語釈
幻滅(げんめつ)。
枕草子より
ふと心おとりとかするものは、男も女もことばの文字いやし(しゅ)う遣(つか)ひ(い)たるこそ、よろづ(ず)のことよりまさりてわろけれ。
すぐに幻滅(げんめつ)を感じてがっかりするものは、男でも女でもことばづかいのいやしいもので、それこそ何よりもましてわるいものだ。
図書
『枕草子』竹下政雄著
2021年03月08日
【枕詞】まくらことば
語釈
あることばを言いだそうとする時に、その前に用(もち)いることばで、調(しら)べのたらぬのをととのえ、ことばをかざるためにおくもの。
枕という意味は、句(く)の頭(かしら)におくゆえとも、朝晩によく用いるものという意ともいわれている。
例【さねさし】のページ参照
図書
『和歌ものがたり』佐佐木信綱著