私の母はガンである。
4人姉妹の3番目の母、姉妹全員ガンになり、2人はすでに亡くなってしまった。
3年ほど前、電話で「お母さんガンなの。」と言われた時、
何も言葉が出なかった。
ショックはもちろんだったが、テレビ、ニュース、ドラマで何度も聞いたはずの病気・・それが一番近い肉親の身の上に起こっているというのを理解するのに数日間がかかった。
ごく初期のガンだったので数ヵ月後にガンを丸ごとキレイに切除してほっとしたのだが、それも束の間、さらに数ヵ月後に血液のガンの一種・・悪性リンパ種になり、放射線治療が始まった。その治療の途中で食道にガンが見つかり内視鏡で切除、また数ヵ月後に肺にガンが見つかり、2度目の手術をしている。
もともと母はとても痩せていて、161センチの身長で40キロほどしかなくガリガリだったのだが、この2年ほどの治療生活でさらに痩せてしまい、それと同時に体力がすっかりなくなってしまった。
それでも最近は電車で2駅の私の自宅まで孫に会いに来たり、孫を連れて温泉旅行に行ったりと、少しずつ体力を取り戻しつつあるのだが、そんな母が熱を出して寝込んでいると父から先ほど電話があった。
コウはまだ2歳で母が病気だというのに自由に動けず、すぐに飛んで行って食事の支度や看病すらしてあげれない。
母が自分の母(私にとっての祖母)を亡くした時によく言っていた。
「もっと親孝行したかった・・」と。
もう少しコウが大きくなれば、せめて幼稚園に入ってくれれば私ももう少し動けるようになると思うので・・どうかそれまで次のガンが見つかりませんように。
そして、何よりも熱が早く下がりますように・・。
ただ祈るばかりである。