（脱IT業界）大手メーカー系に転職した者のつれづれなる日記

初めての方、はじめまして
２回目以降の方、ご愛読ありがとうございます。

ピエロです。

転職について、part3まで書かせていただきましたが、
未だ書いていなかったことがある為、番外編という事で書かせて頂きたく。

ピエロは元々はITベンダーに勤めるSEでした。
言わずもがな、ブラック企業でした。

今回はなぜIT企業（SIer）はブラック企業が多いのか？という事を書かせて頂きます。

そもそもITはサービス業と製造業の中間に位置し、顧客の問題点を
ITによってソリューションするのをモットーとしております。

ブラックな一面としては、非常に長時間労働が多発する面があります。
原因としては、１つとしては、

工数の見積もり自体が誤った中でプロジェクトがスタートするためです。

まず、プロジェクトを始める際に、営業さんが大まかな案件要件をヒアリングし、
社内のSEあるいは担当営業自身がどのくらいの規模の案件か
見積もりを行い、顧客と「費用」と「納期」を決定します。

その際に、プロジェクトのことやITの知識がまったくない営業さんが
担当になると最悪な事態へと発展します。

顧客の言いなり、納期はタイト、予算は最低な状況なると
開発する側にすると、人員の確保、スケジュールの管理などは
ほぼ不可能になり、少数の人数で、無理な納期に間に合わすため
残業、残業の日々になります。

（人員の確保を行いたくても、それを行うと人件費だけで
赤字なる為少数人数の無理な案件となる。
また、単価が安い新人を使わなくてはいけなくなります。）




ピエロも一度プロジェクトリーダーを行った際に経験者の人員が全く足りず、
管理職にアラートを挙げた事があります。その結果5名の新卒者が配属されました。。。
（炎上寸前のプロジェクトに新人を入れてどうしたらいいのか、
未だにあの管理職の思惑が判りかねます。）

また、その中で顧客要望の詳細なヒアリングを行わなければいかず、
ヒアリングを経験の浅いPGや新人SEで対応を行わざる得なくなります。
そうすると、顧客が抱えている本当の問題点が見えない
↓
的外れな基本設計
↓
不必要な機能を付けたシステムの開発
↓
システムリリースの段階で、顧客から仕様変更を言い渡される。
という事が多発します。

本来は基本設計の時点で顧客要望のキャッチアップを行わなくてはいけませんが、
予算不足や人員不足、スキル不足のシステム開発では仕様漏れなどが多発するのが常です。

そうなると、後はデスマーチの出来上がりです。
プロジェクトが炎上してからどんなに人員を追加しても、ほぼ手遅れです。
再度ヒアリングを行い、設計から実装、テストまでやり直しです。

いや、まだやり直せるのであればいいですが、顧客の激怒を買うと、
再度ヒアリングを行えない状況となります。

となると、顧客の協力を得れないままシステム開発を行わなければならず、
さらに開発は難航し、大幅な納期遅延を引き起こします。

その結果最悪は裁判沙汰になったりします。
そして、PGやSEはうつ病などを発病し途中でリタイアします。
以上の事が起こりやすいのがSIerです。

最初の段階でつまずくと後はデスマーチの出来上がりです。



では、最初の見積もりをミスならければいいのでは？という意見が上がりますが、
これも実は実質不可能な状況に追い込まれているのが現状です。

たとえば、本来100万円かかるプロジェクトの場合でも、
他社との値段交渉のため70万円で引き受けなければいけない状況が多くある為です。
（最近は人件費の安い海外勢の台頭などがあり、単価の大幅な下落が多発しています。）

また、見積もり、プロジェクトの管理などが出来るベテランは得てして単価が高い人です。
（たとえば、３０〜４０台の人です）
つまり、ベテランを多く抱えたプロジェクトチームになると必然的に
人件費が高くなり、プロジェクトの値段を高く設定しないと赤字になります。

前述したとおり、安い値段でしか引き受けれない状況もあり、
どうしてもベテランや経験の多い人材は入れれない状況が発生しております。

後は負のスパイラルです。

�@値段交渉により利益率の低いプロジェクトしか取れない。
↓
�Aベテランは単価が高いので入れれない。
↓
�B経験の浅い人間でチームが出来上がる。
↓
�C見積もりや管理面での失敗
↓
�Dデスマーチの出来上がり
↓
�E顧客から信用をなくす。
↓
�F信用がないので、値段交渉により利益率の低いプロジェクトしか取れない。
以下ループ

また、ベテラン勢は単価が高いので、よほど優れた方以外は
リストラ候補に挙がるか、給与の大幅ダウンを余技なくされます。
そうすると、多くの技術を持った人たちは会社から去ることになり、
�Bにさらに拍車が掛かります。

たまに、その会社独自の技術を持っており、値段交渉などを優位に
出来る会社もありますが、まぁ稀です。
ほとんどは、値段交渉などで辛い目に合っています。

そのため、工数の見積もりが誤った中でプロジェクトがスタートする
という事が普通に起きるのです。
いや、そうならざる得ないといったほうが正しいのかもしれません。

後は業界特有の話になりますが。。

ITは非常に流動的に変化する業界です。
３年前の技術はもはや使い物にならないということもざらにあります。
なので、技術を持っていても、顧客のニーズに合っていないということで、
プロジェクトに入れないベテランも多くいます。

そして、IT自体は長年の技術を大切にするというよりも、
現在の最新の技術をいかに吸収し、プロジェクトに生かすか？
顧客ニーズにつなげるか？お金に還元できるか？という事を大切にします。

言ってしまえば、
今までの頑張って蓄積した経験や知識がこれからは全く通用しない事
もよくある話です。（悲しいお話ですが。）

しかも、最近のITの技術自体はネットや本などで比較的簡単に習熟しやすいので、
ある程度かじった人間でも１年くらい経験をさせれば、いっぱしPGやSEが出来上がりです。
もっと端的に言えば、とりあえず動くシステムを作る上では、経験の浅いPGでも出来るのです。
（キチンとプロジェクト管理できる人がいればですが。。）

ひどい言い方かも知れませんが、ある種の風俗業と同じといえます。
（経験がなくても若い人間とPCさえあれば、成り立つため。。
いや風俗はルックスのフィルタが付くので風俗業のほうが難しいかもしれません。）

つまり、
経験がなくても、最新の技術をネットや本で習熟し、あとはぶっつけで経験をさせる。
↓
とりあえず、単価の安い新人のPGやSEが出来上がる。
↓
とりあえず、デスマーチの案件にぶち込む
↓
とりあえず、会社の利益に繋がる。

長期的な目で見た場合は、おろかな戦略ですが、
ほとんどの中小ITが行っている手段です。
なので、ほとんどの人は使い捨て要員として、
激務なプロジェクトにぶち込まれるのです。
何のフォローもないまま。

しかも、何とかぶち込まれたプロジェクトを生き抜いても、
単価が上がり始める30代で会社を追い出される。
（本当に風俗業と同じですね。。。稼ぎが言い分風俗業のほうがいいかも知れません。。。）

ピエロもそうでした。
本当に当時のことを思い出すたびに悲しく、辛い気持ちになります。
（いい人から潰れて行き、技術のある人から会社を追い出される。
上におべっかを使う人間的に下劣な人が残る。）

以上の事より分かる事。

�@価格競争により、無理な予算、納期でのプロジェクトをこなさなければいけない。
�A単価が高く技術力がある人なかなかが大切にされない。
　年齢が高くなればなるほど顕著に見られる。
�B現状の技術革新のお陰で、経験が浅い人でもPG、SEが出来てしまう。
　　動けばいいやシステムの場合は多く見られることですが。。。

�@〜�Bの理由がブラック業界といわれるゆえんと思います。

もちろんこれだけの理由ではないかと思いますが、
やはりこの3点が挙げられるかと思います。

結論：中小IT企業には入らないほうが身のためです。。。