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2024年04月20日

【短編怪談】高野山の高僧【不思議な話】




高野山の高僧の中には
本当に見る方いらっしゃいますよ。

母の従弟が建築士で、
とある御寺の修繕をしていた時、
そこの老僧が静かに
「貴方の御親戚に殺された方がいらっしゃいますか?」
と尋ねられた。

彼の姉が実は自殺をしていたので、
「殺されてはいないが、自死している姉がおります」
と言ったら、僧侶が溜息を吐いて、
「貴方の背後にいる女性が殺されたと訴えていますよ」
と教えてくれて真っ青になったと。

下山してから親戚一同集まって、こう言われた、
ああでないこうでないの議論が始まり、
そういえば亡くなる前なのにきちんと御飯の支度してたわ、
綺麗にお化粧してたわと、
小さな子ども二人いて、
責任感の強いあの子が自殺だなんて、
と色々噴出。

数年後、再婚した姉の元亭主が後妻を殺し、
四国のある鉄橋から投身自殺というニュースがあって、
親戚一同愕然。

やはり高野山の僧侶の話は
本当だったのかということになりました。

【不思議な話】のぶあき君




きょうぼくはともだちののぶあきくんと
いっしょにかわであそびました

そしたらのぶあきくんがふざけるので、
ぼくはやめろといいました

でものぶあきくんがやめないので、
いしをなげました

そしたらのぶあきくんは
しずかになってみずにながれていった


これは私の従兄弟が幼い頃に書いた絵日記の文です

先日実家の大掃除で見つけました。

ジャポニカ学習帳の「えにっき」、
表紙に従兄弟の名前が書いてあります。

開いてみると書かれているのはこの1ページのみ、
その絵は鉛筆の下書きに丁寧に
クーピーで彩色してあるのですが…

空が茶色。水(川?)は紫。

その水に「のぶあき君」が大きく口を開けて
両手を広げながら流されていく場面です…

ちなみに「のぶあき君」は緑色の肌です。
口だけやたら赤い。
そして絵の中に本人の姿は描かれていません。

従兄弟はおぼえてないって言うのですが…
ちょっとこわすぎ。

従兄弟には「のぶあき」なんて名前の友達は
今までに1人も居ないそうです

なんなのこれ…




2019年02月27日

神籬荒らし【不思議・怖い話】





里帰りして昔話に花咲かしてたら、
面白い出来事を思い出したので投稿してみる。


僕が小学5年生の頃、九州の方からKというやつが転校してきた。

当初は妙な方言を使っているという理由で苛められていたが、
小学生だけあってすぐに打ち解けた。

僕とYとDとKは特に仲良くなって、毎日のように一緒に遊んでいた。


そんなある日、近所の寂れた神社で暇を持て余してたら、
Kが「ヒモロギアラシをしないか」と提案してきた。

ヒモロギアラシと言われても、当時小学生だった僕らは、
ヒモロギという言葉の意味すら知らなかったのだから、
当然チンプンカンプン。

「それはどんな遊びだ?」

とKに尋ねたところ、

「神様を探す遊びだ」

とのこと。


後で分かったのだけど、
K自身も詳しく理解していなかったらしい。


とにかくやってみようということになって、
Kにやり方を教わった。

手順は簡単で、神社の境内でどんぐりを集めて、
そのどんぐりを神様の居そうな場所に土を盛って立てる、
というものだった。


さっそく僕らは境内を探し回って、
各々の場所にどんぐりを設置した。


僕は霊感とかそういうものには疎いので、
深く考えず木の根元に設置。


Yは「神様なら社にいるだろ」と社に設置。

Kは鳥居の脚付近に設置。

Dは腰を掛けるのに丁度良さそうなサイズの
苔むした岩の上に設置していた。

その岩があまりに厳かだったから、
なんとなく皆Dが正解のような気がしたらしく、

「Dいい場所みつけたな!いいな!」

とか言ってた。

それで、

「この後どうするんだ」

とKに聞くと、

「明日までこのままにしておく」

と言い出したので、皆白けてかくれんぼして帰った。


次の日、
僕はどんぐりの事もすっかり忘れていたので、
早々に帰宅しようとしていたら、
Dに捕まって、神社に集合することになった。


一番期待度が高かったのに、
結果を見ず忘れ去られるのが、
Dにとっては不満だったらしい。


放課後。神社に四人集まってから、
一つ一つを確認していった。


僕とYとKのどんぐりは
何事もなくそのままの姿で残っていたが、
Dのどんぐりだけは土が崩れて倒れていた。


K曰く

「どんぐりが倒れていたら正解だ」

とのことで、Dは大喜びで、

「ほら見ろ!俺の勝ちだ!」

と誇らしげだった。


するとKがなにやら神妙な顔して、

「倒れたのを見たのはじめてだ。
今まではこんなことなかった。どうしよう」

とぶつぶつ言いだした。


不安そうなKを見て、Dも先ほどとは一転して、

「もしかして俺なにかまずいことしたか?」

とオロオロ。


Kが「実はこれ前の学校で、
危ないからするなって先生に言われてたんだ」

と言うと、

Yが「Dが正解したからって嫉妬してるんだろw」

とおちょくっていた。


僕はどうでも良かったというか、
その日はドラゴンボールの放送日だったので早く帰りたかった。

なんとなく気まずい空気の中、その日は皆何事もなく帰宅した。


翌日、学校へ行くとDの姿がない。

朝礼が終わったあとに、
先生からDは病気で休みだと告げられたので、
昨日のことを思い出して不安になった僕らは、
Dの家へ見舞いに行くことにした。


出迎えた母親が予想以上に悲痛そうな顔をしていたので、
これはただ事じゃないとわかった僕は急に罪悪感に駆られて、
丁寧にもてなしてくれるDの母親の顔を直視できなかった。


言われるがままに二階のDの部屋へ案内され、
そこで見たのは、尻を倍ほどに腫らしたDの姿だった。


腫れの熱で意識が朦朧としてるのか、
Dは僕らの存在に目もくれず、うんうん呻っていた。


母親が言うには、
今朝起きた時には既にこんな状態だったらしい。

どうすることもできず、僕らはDの家をあとにした。

帰り際にKが、

「俺のせいだ。Dは祟られたんだ」

と泣きそうな顔していた。


その後、
Kが父親に訳を話したようで、
父親はしこたまKを叱りつけ、Dの母親に謝りに行き、
神主を呼んで御払いをすると、すぐにDの腫れは快方に向かい、
一週間後には学校に来れるようになっていた。


あとでKの父親から事情を聞いた
Dが教えてくれたのだが、

ヒモロギアラシは、
Kの前の学校で誰ともなく始めだした遊びらしく、
霊的な意味合いより、設置した物を踏んで
怪我人がでたので禁止されたらしい。


どんぐりに特別な意味はなくて、
境内にある尖ったものなら何でも良かったそうだ。

Kの尻の腫れも、
祟りだったのかどうか未だにわからない。

という思い出話で盛り上がってる内に、
その神社に初詣に行こうということになった。

Dは「さすがにもう神様も許してくれてるだろ!」

と古傷を忘れたように軽快だったが、
石段で足を滑らせて思いっきり尻餅ついてましたw






2018年10月22日

御巣鷹山を登山中に方角を尋ねてきたスーツの男性【不思議な話】





体験談じゃないけど…
俺の部の先輩(かな?)の3年前の話。


サークルの一環でオスタカヤマに登ったときの事。

2人一組のチームで3チームに分かれて
山小屋を目指すものだったらしい。


先輩は友人と一緒にゆっくり時間を掛けて
登るルートを取ったため、

後一時間ほどで日没andゴールの所だった。


ふと顔を上げると場にふさわしくない
スーツ姿の30代の男性が立っていた。


おかしいな、

と友人と顔を見合わせ
その男とあいさつを交わそうとすると

男の方からさわやかにあいさつがきた。


「こんにちは、暑いですね。」

確かにあたりは日が落ちたとはいえ夏場、
確かに暑いがスーツ姿は大変暑そうに見えたらしい。


だが先輩は東京出身で標準語なので、
その男の姿はともかく
言葉遣いに好感を持ったそうだ。


先輩がその男に話し掛けようとしたら
先輩の言葉をさえぎる様に

「申し訳ないけど、東京ってどっちの方向?」

となぜか照れくさそうに質問してきたと言う。


先輩の相方が磁石を見て東京の方角を教えると

「ああ、ありがとう」

とていねいに礼を述べ、
そのていねいさと相反するように
すごい勢いで道もない所を降りていったと言う。


先輩は後で気がついてゾッとしたそうです、
飛行機事故の事を思い出して。





2018年10月15日

7人の神様【不思議な話】





結婚してすぐ夫の転勤で北海道へ引っ越した。

知り合いもなく、気持ちが沈んだ状態でいたある日、
なんとなく友達の言ってた話を思い出して反芻しながら
道を歩いてた。

その話とは、

「この世の中には神様が7人いて、
人間のふりして普通に生活してるんだって」

っていうヘンな話。

ホントにいるのかな〜、

いるわけないよな〜

などと思いつつ歩いていると、

前方から小学校低学年くらいの
女の子が歩いてきて、いきなり

「ただいま〜」

って大きな声で挨拶してきた。

もちろん
全然知らない子なのだけど、
あまりに元気に挨拶されたし、

誰かに明るく声をかけられるのも
久しぶりだったから、

「おかえりなさい」

って返事をした。

そしたら、その子がニコニコ笑いながら
じっと顔を見つめてきたので、

「何?」

って言ったら、

「私、そうだよ!」

って言ってきた。

「何が?」

って聞き返したら、

「私、そうなの。じゃあね〜!」

って走っていってしまった。

何のことだろうと思ってしばらく考えた後、

ハッとした。

もしかしてあの子神様だったのかな〜

今度会ったら聞いてみよう!

と本気で思った。

ホントに神様だったのか、
何だったのか分からないけど、

ここの生活も
まんざらでもないなって
思いはじめるきっかけになった。

4年後にまた転勤で東京に引っ越す頃には、
住んでた街のことが名残惜しく感じるほどに
なっていたけど、
あの子にはそれ以来一度も会えなかった。




2018年03月27日

諭す【不思議な話】





七年前に勤めた会社が倒産し就職難の中、
運転手に転身したTに起きた事です。



最初は小さい2t車での仕事だったTも運転手に転身して
一年も経つと4t車に乗る様になり、
県内だけでなく県外にも足を延ばすようになった。



今から五年程前の雨の夜に隣県から帰る為に
県境の峠道を走っていたTは尿意を覚えて
山頂の少し手前の広い所にトラックを停めて用を足した。



雨は小雨程度だが霧が出ているし交通量も疎らな峠道にいつになく
嫌な雰囲気を感じていたが、用を足してスッキリしたTが
トラックに戻ろうと振り向くと・・・・・


助手席側に人が立っているのに気がつき一瞬身を固くする。


こんな真夜中に峠で人が?


恐る恐る観察するTに人影が振り向いた。


若い・・・二十代前半位の女性。


肩までくらいの髪も、どこかの会社の制服と思しき衣類も
全部が雨で濡れている。


思わず声をかけようとしたTより先に女が言葉を発した。


「峠を降りた○○まで乗せて下さい」


小さく、か細く・・・

しかしはっきりと聞き取れる声だった。



女の申し出に一瞬よく耳にする様々な怪談話を思い出すTだったが、
その女の何とも哀しく寂しそうな顔への同情が恐怖を上回った。


いいですよ、どうぞ。


そう言うとTは助手席のドアを開けてやり、女に乗る様に促した。


ステップを踏み手摺りに手をかけ女が乗り込む時、
ふとTは彼女の足元を見てやっぱりなと感づく。



助手席側や運転席側のドアを開けると
室内灯が点くようにしてあった。


光があたれば物体は必ず影を残すはずなのに
彼女には影が無かった。


だが不思議と恐怖を感じないままにTは彼女が助手席に座ると
そっとドアを閉め運転席へと乗り込み車を走らせた。


走らせながら彼女の横顔をチラチラと横目で伺う。


最初と変わらない寂しげな横顔のまま言葉もなく
ただ俯き加減に座っている。


意を決してTは彼女に勝手に、独り言のように話しかけた。

悲しい事とか色々あったりしましたか?


「辛い事、悲しい事、何があったのか僕には分かりませんけど
 こんな所に居ては駄目です。
 行くべき所があなたにはあるんじゃないですか?
 僕にはしてあげられない事かもしれませんが。」

Tの言葉に彼女は反応を見せない。



この峠を下り彼女の望む所までにはまだ二十分はかかる。


その間もTは構わず一方的な会話を続けた。


「○○にはあなたの何かがあるのかな?

 そこに行ってその後どうするんですか?

 またあの峠に戻ってしまうのですか?

 繰り返しては駄目だと思います。次へ進まないと。」


彼女はただ俯いたまま黙っている。


聞いているのかさえ分からないままTは話しかけ続け、
ようやく峠を下った。



突然彼女は前方を指差すと

「あそこで。」

とだけ言った。


なんの変哲もない住宅街への交差点だった。


Tはハザードランプを点けトラックを停めると彼女のほうを見た。


「ありがとうございました。」


微かに聞こえる声だけ残して彼女は消えてしまった。


そしてもう一言、

どこからともなく聞こえた「行きます」の声にTは
安堵のため息を吐き出し、再び車を走らせ無事に会社に帰った。



後日、Tはあの峠で起きた事件を同僚から聞いた。


十年前、情事のもつれから当時二十二歳の女性が絞殺され
死体が遺棄されていたのだと言う。


当時の彼女が住んでいた町こそTが彼女を降ろした住宅街だったそうだ。



その後あの峠で彼女を見る事もないままTは
三年前に子供をもうけ幸せに暮らしていた。


生まれた女の子も大きな病気や怪我もなく
明るい元気な子でTは溺愛し娘も父親を慕っていた。



そして今年・・・


峠の彼女の事も記憶から忘れていたTは再び彼女と再会する。



9月の半ば、夜中に目を覚ましたTが
喉の渇きを覚え台所で茶を飲み寝室に戻った時だった。


妻の横で寝ている愛娘が布団から飛び出して寝ていた。


なんて寝相だと苦笑しながら娘を布団に戻したその時・・・


娘が眠ったままTの手を握り

「ありがとう、あなたがあの時助けてくれたから私は今生きてます。

 本当にありがとう」

と言った。


彼女の声で・・・

娘の口で・・・


生まれ変わりなのか娘の口を借りただけなのか分からなかったが、
恐怖は感じず不思議な温もりを覚えた出来事でした。


私(T)も家族も何ら不幸なく平穏に過ごしてます。

オチなしの怖く無い上に長文失礼。





タグ:トラック

2018年03月02日

神社の月祭りで狐に化かされた時の話【不思議な話】







去年の正月から少し経ったくらいに
誘われて神社に行ったんだ。

きっかけはギャンブル好きの友人が仮想通貨で儲けたいってことで、
御利益があるという神社を探してきていて行くことにになった。

車で一時間、他府県の神社だった。


仕事の都合で、神社についた時間は夜7時。

友人は「神様に時間は関係ない」と言っていたが、、、着いてみると


屋台がポツポツ4つくらいあってイカ焼きやポテトが売られている。

焚き火があり、石燈籠にも明かりが灯っていて、
人もまばらではあるが、それなりにいる。


正月から10日くらい経っているのに人がいるんだなと思っていると、
一人の初老の男性が目についた。皿に猫の餌を入れているところだった。


初老の男性は、地域に一人はいる猫おじさんで、
毎日神社の猫に餌をあげているらしい。


友人が
「こんばんは、正月から10日くらいたつのに人が結構いるんですね」
と話しかけていた。


男性は
「今の時期はまだまだ人が来るけど、普段は毎月の月祭り以外は寂しいものだよ」
と言った。

男性は僕らを気に入ってくれて色々な話を聞かせてくれた。


親の大病を神社の神様が治してくれた話 稲荷社の狐が夢に出てきた話


神の使いが狐で、猫とは仲が良く、お互いに犬のこと嫌っており、
犬の臭いがする人間には御利益がないという話


そして、神様に大きな借りがあるため、
毎日神社の掃除と猫の世話をかかさず20年以上しているという話


どの話もおっさんワールド全開だったけど、
猫に毎日餌をやっていることは間違いなさそうだった


最後にお気に入りの写真を見せてくれた
稲荷社の狛狐の足の間から顔を出す猫の写真で、
男性はとてもいとおしそうに見つめていた







神社から帰って何ヵ月か経った頃、
急に神社のことが気になって友人に聞いてみると、

場所をGoogleマップで送ってきてくれたので、行ってみることにした

休みの日に行ったので昼間に到着した。

前回は夜だったが、明るさとは関係なく、景色が全く違って見えた。


石燈籠も稲荷社も何もなく、焚き火をしていた広場もない
小さな社がぽつんとあるだけだった


間違ったかと思ったが、車を止めた場所は同じだし、
駐車場所から間違うような道ではない


不思議に思いながらお参りをして、
車に戻る途中の自販機でジュースを買っていると、一台の軽トラが来た。

挨拶がてら神社のことをたずねてみた

正月には集落の人はお詣りにくるが、それ以外の人は滅多にこないということ


月祭りのことを聞いても、年に一度秋にお祭りをやっていたが、
今はやっていないということ


まさかと思い初老の男性のことを聞いてみたが、

野良猫はたくさんいるけど、そんな人は知らない

猫の世話をするような人がいたら俺たちが知らないはずがないとのこと


今回も他府県ナンバーの見知らぬ車が停まっているので様子を見に来たらしい

前回来たときと余りにも様子が違うので、
軽トラの男性に話を聞いてもらっていると、男性は笑いながら

「狐に化かされたな、そんなときはタバコを吸え、狐が嫌がって離れていくから」

と言う

また、「神社の屋台で何も食べなくて良かったな」と言っていた

彼のお爺さんくらいの時代には狐に化かされることは
あまり珍しいことではなかったという


最近でもたまに化かされて石や毒キノコを食べさせられたりするらしい

全然怖くなかったけど、不思議だったな











タグ:神社 祭り

2018年02月26日

「お家の中のどこかにいるから、探してちゃんと飲ませてあげてきなさい」 おふくろの不可解な行動【不思議な話】





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んじゃあお盆だし、親父の墓参りに行って来たついでに、思い出した話をひとつ。

うちの親父は俺が中学の終わりごろに亡くなった。
しかし親不孝者なもんで、親父の命日などほぼ覚えていない。
(今年もすっぱり忘れてた)


それは10年以上前の、親父の命日にあった出来事。

その年も案の定忘れてて遊びに出かけ、確か夜10時過ぎくらいに帰ってきたと思う。
玄関のドアを開けたら、家の中真っ暗。
オフクロはもう寝たのか、と思った矢先、

「おかえりなさい。電気点けちゃ駄目よ」

と、台所のほうからオフクロの声が。







なんでこんな真っ暗にしてんだよと言いつつ台所に向かうと、
水道からドバドバと水が流れて器に溜まる音がする。


暗くて薄ぼんやりとしか見えないが、
どうやらオフクロは水道の前に立って水を両手で受けているようだった。


何してるのかと聞く前に、オフクロはすっと横に避けて、
俺を水道の前に立つよう促した。

「両手で水を汲んで。こぼさないようにしっかりとね」

とりあえず手洗いするつもりで水に手を突っ込むと、

「そのまますくって。お家の中のどこかにいるから、
 探してちゃんと飲ませてあげてきなさい」

と、わけのわからないことを言う。


正直頭の中???状態だったが、
穏やかな声なのに有無を言わせない迫力があって、何故か逆らえなかった。

探すって何を?と思いつつ、
とりあえず両手で水を汲んで、暗い中をそろそろと歩き出した。


その答えはすぐにわかった。

探すまでもなく、台所の冷蔵庫の横にうずくまっていたからだ。
暗闇の中でもはっきりとわかるほど、真っ黒な人影。
見た瞬間硬直した。


飲ませてあげなさいってのは、これのことか?これに水を飲ませてやれと?
頭が混乱してて、状況が全く理解できなかった。

ただ、すぐ傍の台所に母親がいるわけだし、不思議と恐怖は感じない。
その黒い影に向かって、そーっと両手を差し出す。


いきなりガシッ!っと両手首を掴まれて、心臓が止まりそうになった。
黒い影は俺の両手に顔を突っ込んで、ぐびぐびと水を飲み干していく。

その頭部を見て、俺の両手首を掴んでる骨ばった掌の感触を思い出して、
ああ、これ親父だ、と気付いた。


後ろまで禿げ上がってて、額の上のあたりに孤島のように髪の毛が残ってるこの頭部。
そうか、今日は親父の命日だったっけなと、そのとき初めて思い出した。
その時点でもう恐怖はなかった。


ただ、下を向いちゃいけない、顔を見ちゃいけないと思い、
(何故そんな風に思ったのかよくわからないが)
そのまま水を飲み終わるまでじっとしていた。


ふっと、両手首を掴んでる感触が消えると、もうそこに親父の姿はなかった。

台所のオフクロの所に戻ると、

「手首まできちんと洗いなさいね」

とだけ言われ、それに従った。


手を洗い終わって、もう電気点けていいのか?と聞くと、
頷いたようなので台所の照明を点けた。







明るくなった台所で、オフクロはどこか呆けたような表情でしばらく立っていたが、
ザバザバと水が流れる音にふっと我に返ったかのように、

「なに水を出しっぱなしにしてるの!勿体無い!」

いきなり怒鳴られた。

「なんで部屋の電気消してるの。暗くて危ないでしょ!」

えー?



今のは何?うちの家系に伝わるなんか儀式的なものなの?
等々質問攻めにしてみても、

「あんた何寝惚けてるの?」

と、全く取り付く島も無い。

知らぬ存ぜぬを決め込んでいる風にも思えないし。

そもそもうちのオフクロは嘘が全くつけないというかつかない人間なので、
どうも本気で自分がしてたことを覚えていないらしい。


もしかして親父、喉渇いてたのかなと思い、
翌朝日が昇る前に墓参りに行ってみた。

墓石の前に置いてある湯飲みが、風で吹き飛ばされたのか地面に落ちて割れていた。

多分そうなんじゃないかなーと予想していたので、
代わりの湯飲みに水を汲んで置いてきた。


この話思い出したのは、
連日の猛暑で墓石が木炭みたいに熱くなってたからなんだわ。


桶で4〜5杯水ぶっかけないと、
触るどころか近づけないくらいジリジリと熱を放ってたからねぇ…

あれじゃあ中で眠ってる人間も、暑くて干上がってしまいそうだ。
お盆にはキンッキンに冷えたビールをお供えしてやろうと思ってる。







2018年02月23日

【守り神】あの巨大地震が発生した時、信じられないことが起こっていた…【不思議な話】







所用で親戚一同集まり、ふとだいぶ前に大往生した
爺ちゃんの話をしていたら思い出したので、投下。

ここは北の大地。

我が家は北前船(きたまえぶね)でやってきてここに住み着いた一族だ、
というのが爺ちゃんの口ぐせだった。


実際、爺ちゃんは広い農地を所有していたし、
古い農具や昔の道具や船の一部?みたいなものが、倉庫にどっさりあった。


綺麗な服や人形遊びよりも、虫とりや秘密基地づくりに
興味津々なタイプの子どもだった私を、それは可愛がってくれて、
お盆や夏休みに遊びにいくたび、爺ちゃんはこの倉庫を見て回らせてくれた。



用途不明ながらくたの山は、当時の自分には宝物の山に見えて、
爺ちゃんを引っ張ってはアレコレ質問攻めにしていた。







ある時、「うちの家宝を教えてやろう」と、
爺ちゃんが倉庫の2階から何か木箱を持ってきた。

綺麗な木箱の中には綿が詰まってて、その中心に、
大人の手のひらサイズの黒い箱があった。それは今でも大事にしまってある。


何の飾りもない長方形の箱で、見た目よりも軽く、振るとカタカタ音がする。
開けると罰が当たるぞと言われたけど、開けようにもフタもとっかかりもない。
不思議な箱だった。


爺ちゃんいわく、この中身は船の『守り神』なんだそうだ。
正式名称があるのかどうかは分からない。


北前船で交易していたご先祖様が、安全な旅路を祈って船に乗せていたもので、
船を取り壊す時にこの箱に入れ直したとか。


しかもこれ、他の船のものよりひときわ力が強いとかで、
この『守り神』を乗せた船が海に出ると常に天候が安定したらしい。

ご先祖様はたいそう『守り神』に感謝し、
それから代々大事にしてきているんだ、と爺ちゃんは言っていた。


ここから先は、ちょっと爺ちゃんのホラ話かホントかさだかじゃないんだが、
船から降ろしても『守り神』の加護は続いたそうだ。

たとえば、買い取った土地を開墾するとき、
適当に掘ってもどんぴしゃで水が豊富に湧き出したとか。

ひどい大しけでも、我が家の血筋の者がいる船だけは、
あんまり揺れもせず沈没もせず航海できたとか。

どうやら「海」あるいは「水」に関することに、ご加護があるようだ。

あと爺ちゃんの実体験。








戦時中、海軍にいた爺ちゃんは、ある日、それまで元気だったのに
突然原因不明の猛烈な腹痛に襲われて気絶してしまった。


伝染病だったらマズイので、爺ちゃんを陸に残して部隊は出撃。
そしたら、その部隊は敵艦との大決戦の果て、
壊滅的な被害を受けてほぼ全滅になったらしい。


爺ちゃんは決戦の翌日、ウソみたいに意識が回復。
結局最後まで原因不明で、『守り神』の力としか思えなかった。

あの時は仮病を疑われて散々だったが死なずに済んだよ、
と爺ちゃんはケラケラ笑っていた。


そんなことを聞かされた当時の私は、今と違って純粋だったので
「爺ちゃん助けた『守り神』スゲー!」となった。

いざとなったら自分も守ってもらえるかな?とわくわくしたものの
「『守り神』は女性を嫌う」と言われて意気消沈。


それでもめげない私は以後、『守り神』にちょっとでも好かれるように、
爺ちゃん家に行くときは必ずこの箱にお酒をそなえた
(神棚があったので神=酒のイメージだった。
この『守り神』にはあまり意味がなかったらしい)


神様は女性だと知った後はヘアゴムとか、ビー玉とか、
プラスチックの宝石といった女性が好きそうなものをそなえ、
海に遊びに行くときは手を合わせて無事を祈るとか、
子どもながら真剣に『守り神』のことを考えた。








けどまあ、これといって特に何かあったわけではなく、時はながれ。

成長にともない爺ちゃんの家を訪れることも減って、
体調を崩した爺ちゃんが大きな病院に入院する事になった時、
婆ちゃんも病院に近い伯父さんの家へ移り住んで、
例の倉庫のある家は無人になってしまった。


ある夏の日の週末、家族みんなでドライブがてら、
爺ちゃんのお見舞いに行くことになった。


向かう途中、無人になってしまった倉庫のある家に立ち寄って、
そうじをしていたんだが、その日は妙に虫の声がうるさかったのを覚えている。

特に倉庫のあたり、暑さもあってイライラさせるレベルで。

人がいなくなったから虫が大繁殖したのかねー、
なんて家族と話してその時は終わったけど。

で、爺ちゃんを見舞ったり婆ちゃんとご飯食べたりして、
あっという間に帰る日に。


しかし当日の朝、私は突然原因不明の高熱を出して倒れた。
前の日まで元気だったのに、まさかの40度越え。

病院行ったけど「夏風邪?」で終わり、
点滴うっても全然下がらない。横になってないとつらい。


帰りはフェリーを使う予定だったけれど、私がこんな状態じゃ無理だから、
キャンセルして滞在を一日伸ばした。


その夜、あの巨大地震に襲われた。


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ものが落ちたり婆ちゃん連れて外に逃げたり、
爺ちゃんのいる病院が停電になったり、てんやわんやだった。


一夜明けて、例の島をとんでもない高さの津波が襲ったと知り、
家族みんな唖然とした。


幸い、今いる場所の被害はさほどではなかったけれど、
予定通りフェリーに乗っていたら大変だったかもしれないし、
伯父一家と我が家が同じ場所にいたので、爺ちゃん婆ちゃんのフォローも迅速にできた。

ちなみに私の熱は、地震が起こる直前に急激に下がっていた。

家族は偶然ってあるもんだなあ、とか言ってたが、
私は『守り神』様のおかげだとしか思えなかった。

だから、爺ちゃんの病院に行ってこっそりこのことを話したら、爺ちゃんも賛同してくれた。

「本当はあの『守り神』は女嫌いなんだがなあ。〇〇(私)がお転婆で男っぽくて、
 自分をずっと大事に思ってくれたから、守ってくれたんだろうなあ」


ちなみに、倉庫をそうじしに行ったとき虫がうるさかったことも話したら、
それはひょっとしたら『守り神』の警告音だったのかもしれないと言われた。

まあ、単に虫が地震の前兆を感じて騒いでただけかもしれないけど。








後日、地震の後始末をしに倉庫を訪れた時には、静かだったしね。
(被害は大したことなかった)

『守り神』も無事だった。もちろん綺麗にほこりをとって、
おそなえして、改めて感謝した。


このことがあったので、爺ちゃんが大往生した際、
『守り神』は私が受け継ぐことになった。


家族は半信半疑だが、今でも私は海や川に出かけるときには、
かかさずこれに手を合わせるようにしている。


釣りが趣味なんだけど、おかげさまで出かけるとき、
悪天候にあたったことは一度もない。





不幸を願う神社と幸福を願う神社 決まり事を守らないと、とんでもない不幸が訪れる【不思議な話】




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ハイキング中に見つけた奇妙な神社。

谷底の道の両脇に鳥居を構え、急斜面に石段を積み上げ、向き合っている神社。

まあ、急ぐ山行ではないので、まず右側の石段を登り始めたが、
気まぐれを起こした自分を恨みたくなるほどきつい登りだった。







ようやく上までたどり着くと、小さなお堂があり、
こんな場所にしては珍しく多くの絵馬がぶら下がっている。

絵馬というより、木簡に近い代物だが、そこに書かれているのは、
何者かを深く怨み、不幸を願う気持ち。

木簡には、記入者の持ち物と思われる時計や、筆記用具などが縛り付けられている。
未記入の新しい木簡が、黒い木箱に入れられている。


嫌な気分で石段を降り、下まで行けば、そこには向き合って建つ神社の石段。

どうするべきかと考えたが、このまま立ち去るのは非常に心残りなので、
先ほどの神社を背中に感じながら、目の前の石段を登りつめた。



小さなお堂に、ぶら下がった木簡。
向き合った斜面の、似たような光景の神社。

手にとって読んだ木簡に書かれていたのは、誰かの幸福や成功を願う言葉。
記入者本人に向けられた言葉もある。

そして、やはり身の回りの品が結び付けられている。

幸福を願う気持ちに触れても、なぜか心温まらない。







腑に落ちぬ思いを抱えて石段を降りていると、竹箒を持った老人が登ってくる。

老人は俺の顔をじっと見つめ

「奉納に来た顔じゃないな」

と・・・。



そのまま石段に腰を降ろしてしまった。
成り行き上、俺もそこに座らざるを得ない。

老人によれば、木簡を記入し、奉納するなら、
両方の神社でそれをしなければならないという事だった。

怨むだけでは駄目。
幸福を願うだけでも駄目。

決まりを守らない場合、記入者本人を、とんでもない不幸が見舞うとの事だった。



俺:「死ぬんですか?」

老人:「寿命が伸び、ひたすら苦しんで生き続ける」

俺:「幸福を願うだけでも?」

老人:「そのようだ」

怨み、不幸を願う木簡は、幸福を願う木簡よりも圧倒的に多かった。


そして、もうひとつの決まり事を教えられた。
自らの不幸、幸福を願って奉納してはならない。

首都圏に、この山はある。









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