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2016年10月28日

扉シリーズ第五章  『狂都』第七話  「異界の雷神2」

宝石の輝きを何百倍にもしたような眩い光を発する志村…
その光の端部では、青白い光が、まるで電気がスパークしたようなパリパリという音を立てながら煌めいている…

それを見ながら、ゼオンは手を叩いて乾いた音を響かせながら、

「お見事…雷神の貫禄を見せて頂きました…」

と言うと、右手を高々と上げ、人差し指を天に向けると…

「しからば我が力、その一端をお目にかける事としましょう…!」

と、笑気を帯びた眼差しを、殺気ある凶暴な眼差しに一変させた。
すると、周囲の闇が天を指すゼオンの人差し指の先端に吸い込まれるように渦を巻いて収束していく!

「はっ!させるかジジイ!」

志村はそれに反応して、力を溜めるように背中を丸めて身構えた!

丸めた志村の背中で激しい放電が起こり、それがゼオンに襲いかかる!

しかし、

その放電すら、ゼオンの指先の渦に吸い込まれていく!

「匹夫の勇など無駄無駄無駄!神格に上下優劣在り!猛る雷神とても所詮は隠神(おぬのかみ)…我等、天神(あまつかみ)と比ぶれば、その差雲泥!」

おぬのかみ?
あまつかみ?
武市はゼオンの口から発せられたその言葉に強烈な言霊を感じたが、それに考えを巡らす余裕はない!
自分の身体…いや、魂までもがゼオンの指先に吸い込まれそうになるのを堪えるので一杯だ…

そんな中、武市の視界に周囲の闇が晴れていく様が映りこんだ。

いや、闇が晴れていくのではない…
ゼオンは自らが作り出したであろう異界の中の異界、それそのものすら指先の渦に収束させているのだ…
その証拠に、ランタンと寝ているはずの三人がそこに見える!

「武市!何やコレ!?」

武市が異界の中の異界に取り込まれている間に起きたであろう木林が武市に気づき、叫んだ。

「ゼオンや!」

武市も木林に叫び返した。
「声」すらも、あの渦に吸い込まれていきそうだからだ。
木林達は吸い込まれそうになるのを堪えながら武市の近くに躙り寄り、

「ゼオン!?あの安っぽい手品師みたいなジジイが月形ゼオンか!?うおっ!?加えて何や!?誰やそこにおるパンクな兄やんは!?」

と、木林がオーバーリアクション気味にまた叫んだ。

「志村さんやて!」

武市がそれに答えるが、木林はこの状況下においても木林である。

「し、志村ぁっ!?ぷぷぷっ!流石は武市!こんな異界においてもまた面白そうな人物と出会ってんよ〜!」

と、木林は口から笑気を爆発させた。

「おいおいキバちゃん、状況わかってるかい!?」

伊田が半ば怒気をはらんだような声で叫ぶが、

「わかってます!でも、オモロイもんはオモロイですわ!」

と、笑気を抑える事ができない。

「志村…?」

翔子はその名を知っている…
今眼前に見える後ろ姿にも見覚えがある…
いや、間違いない…あの男だ!

「さとし君?さとし君よね!?」

翔子は確信を持って叫んだ。

「さとし…ああ、あの志村さとしか!」

翔子の叫びが、伊田の記憶も呼び起こした。

それを背中で聞いた志村は振り向きもせずに叫んだ。

「アンタ等二人いて何やってんすか!?」

声にも聞き覚えがある。
翔子はまた叫んだ。

「やっぱり志村さとし君なのね!?」

志村はその叫びを聞いて奮起したように、今度は輝く全身に青白い電光を纏い始めた。

「話は後です!先にこのジジイ…ぶちのめす!!」

そう叫んだ志村の両足が地から離れた。
全身に纏う電光が激しさを増す中、志村は、

「おおおおおおおおっ!!」

と、獣のような声を漏らしながら上昇していく…
その目はまるでルビーのように輝き、人間の形相ではない…

「さとし君…やっぱりそうだったのね…貴方も神格を宿していたのね!?」

翔子が叫んだ。

ー志村さとしー
かつて国内霊能界の最大勢力『筋海一門』にて一年程霊能者としての修行をしていたが突如姿を消した男…
翔子達から見れば、彼は『異能者』であった。
霊感は凡人より幾らか鋭い程度であったが、霊力というより、彼は『超能力』を有していたのだ。
だが、今の彼を見ればそれさえ誤りであった。
彼が有するは、『神通力』!!

ゼオンの声が響く。

「見事な神気…しかぁし!いかに猛ろうとも力の差は覆らぬ!退かぬとあらば一同まとめて闇に散るがよい…!」

ゼオンの指先の渦が収束を完了したのか、回転を止め、禍々しく揺らめく黒い焔へと変化した。

「受けよ…これこそ天罰の焔…獄焔…!」

ゼオンの声が響くと共に、焔から一筋の黒い閃光が走る。
その閃光が、武市の右肩をかすめた。
少しの熱は感じたが、苦痛という程ではない。
しかし、その触れた部位が、消滅している…

「うおわぁっ!!」

武市は言葉にならぬ悲鳴を上げた!

「アカン!これ、アカンやつや!!」

武市は叫んだ!

「武市!お前の肩、ちょっと消滅してらしょっ!!」

武市の肩を見た木林が青ざめた雄叫びをあげる!

その叫びに呼応するかのように、焔から黒い閃光が無数に伸び始めた…

誰のものかもわからない悲鳴がこだまする中、志村が丸めていた背中を更に丸めて、

「もう面倒臭ぇや…ジジイ、消し炭になりやがれ!轟雷!!!」

という叫びと共に空中でその長身を大の字に躍らせる!

その瞬間、世界は光に包まれた…

続く
















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