お化けのオンロック
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お化けのオンロック
←長谷川哲也氏のブログを借用
長谷川哲也氏サイト⇒ http://mekauma.web.fc2.com/index.htm#あたま
おばけのオンロック(その1)
長谷川哲也が幼少時代、寝る前に母親からくり返し聞かされた話がある。
オンロックという化け物の話である。
親の言うことを聞かない子供はオンロックが捕まえに来るぞ。と、よく脅された。
オンロックは明らかに子取り鬼の一種である。
容貌に関してはよくわからない。とにかく真っ黒で巨大であることは確かだった。
顔というものは無いのかもしれない。
そいつは山の中に住み、時々子供を狙っては木々をざわざわとかき分け、里に下りて来るらしい。
民家の明かりも見えぬ山中を提灯片手によく行かされたリトル長谷川には
真っ暗な山中に潜む真っ黒な怪物は架空の生き物ではなく、
現実のものとして恐ろしかった。
聞いた時の印象としては、
オンロックが来るのは母親が子供に愛想を尽かしたとき、
という条件があったようで、
そこには何らかの親と怪物の暗黙の契約がある、といった感じだった。
話には歌が付いていた。
「おばけのおばけのオンロック。
お前は大バカ大間抜け。
腹が立ったらやって来い。
キコイはここだよ、椰子の実だ。」
母親はオンロックが来るぞと言った後、
かならず節をつけてこの歌を歌うのだが、はっきり言って意味不明であった。
明らかにオンロックを挑発する歌だ。
キコイって誰だ?なんで椰子の実なんだ?
謎が謎を呼び、いつしか記憶は薄れ、オンロックの恐怖からも開放されたと思った高校生のとき、
突如としてついに、オンロックの正体が明らかになる日がきた。
オンロックは母親の自作の化け物ではなかったのである。
おばけのオンロック(その2)
高校時代、長谷川はデキル子だったので図書館に入り浸っていた。
字の多い本を読むとなぜか頭が痺れるのでもっぱら絵本を読んでいた。
とは言っても「僕を探して」などの哲学的な絵本が多かったので、やはりデキル子であることは間違い無かった。
ある日、図書館の膨大な絵本の中から偶然手にした本が
「おばけのオンロック」だった。
当然のごとく見たとたん頭が痺れた。気がつくと、やっぱり図書館の中で1、2秒経っていた。
フィリピンの民話だった。なぜかフィリピンの民話だった。
なぜフィリピンの民話???
長谷川マザーはフィリピン人ではない。モンゴル人だ。そりゃあもう絶対にモンゴル人だ。では何故モンゴル人がフィリピンの民話を...?戦争中に流行ったのだろうか。
たしか古川タクが挿絵を描いていた。へんな怪物だった。顔は無かった。白い牙が2本だけあった。
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