2013年01月03日
ぱっくん
たっくんは、入試をひかえた高校3年生です。
朝から晩まで勉強、勉強で、もう教科書を見るのもうんざりです。
出てくるのは、ため息ばかり。
「はあ〜」
たっくんは、少しばかり散歩にでることにしました。
田舎道を歩いていくと、ため池がありました。
深緑色したため池は、おばけでも出てきそうです。
でも、ゼリーのようにつるんとした水面は、
退屈なたっくんの心をつつきます。
たっくんは、ため池の淵まで、近づきました。
石を投げようとした時です。
いつもの癖で、ため息が出てしまいました。
「はあ」
すると、にわかに水面が揺れ始めて、口のようにパカッと開いて閉じました。
まるで、ぱっくんと食べたみたいにです。
「え?」
たっくんは、目をこすりました。
水面は何事もなかったように静かです。
「おかしいな。今、ため池の口が開いたように思えたんだけど・・」
「はあ」
たっくんは、気づかないうちに、またため息がでています。
すると、またすわ〜っと音もなく水面が揺れはじめ、口のようにパカッと開いて閉じました。
「へっ!」
たっくんは、怖くなって走って家に帰りました。
「は、は、は、は」
帰りついた時、たっくんは、胸がすっとしていました。
「あれ〜、怖かったけど、なんだかすっきりしたなあ」
たっくんは、おやつを食べて、また勉強を始めました。
「もうちょっとがんばろうかな」
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