2016年06月08日
よしの11−1ラマダンでソマリアを考える。
よしの11−1ラマダンでソマリアを考える。
なんて ことでしょうか?
にほんを ふくめ せんしんこくが ゆうがい かがくぶっしつを ソマリアの うみに すてて さかなを らんかくし こうぎする ソマリアじんを ぶりょくで あつりょくを かけているのでしょうか?
−
なんだか なけてきました。
きっと のりピーも りふじんな げんじつに こうぎしたいのではないでしょうか?
イスラムきょう でも いいじゃないか!
せきゆ かいはつしなくても いいじゃないか!
−
あべそうりは けいざい はってん このみちしかない っていうけど
そうしないと ちあんが わるくなる まほうでも かかるのでしょうか?
−
http://www.magazine9.jp/other/somaria/
ソマリアおき じえいたい はけんを かんがえる。
かいぞく もんだいを かんがえるのに じえいたい はけんは ひつようなのか?
−
今国会で審議されていた海賊対処法案が衆議院で可決、参議院で否決、そして6月19日に衆議院で再可決され成立しました。この法律の目的は、海賊事件が相次ぐアフリカ東部のソマリア海域において、「日本に関係のある船の警護」をするためと、「海域の平和のため」とされています。しかし、海賊問題の根本を見て解決しないと、その場しのぎの対策に過ぎないのではないでしょうか? ソマリアについての情報が少なすぎるのも気になります。ということで当事国と現場に詳しいお二人に、この問題についてお聞きしました。
その1)在日ソマリア人・ブルハンさんに聞いた。ソマリアから見た「海賊」とは?
ソマリアが抱える本当の問題とは?
Bulhan Hersi(ブルハン・ハーシー)1968年ソマリア・モガディシオ生まれ。スウェーデンで十年を過ごし国籍取得。米国の大学で建築を学んだ後、来日。現在、デザイナー&建築家としての仕事の傍ら、本当のソマリアの現状を伝えるために、ジャーナリストが取材に入る際のコーディネートを行なっている。「海賊対処法」成立前に行なわれた院内集会(3月5日)においても、「ソマリア側の視点」から発言をした。
●「海賊」の正体
今、世界から「海賊」と呼ばれているのは、ソマリアの漁民たちのことです。もともとソマリアの海は、「アフリカのアマゾン」と呼ばれるぐらい豊かな水産資源に恵まれています。ソマリアの海岸線はとても長く、3300キロ。人々は豊かな海の恩恵を受けてきました。
しかし20年ほど前から内戦がはじまると、ソマリアの沿岸警備隊が無くなってしまった。するとこれを良いことに他の外国がソマリアの海へやってきて、水産資源を乱獲し始めたのです。名前を挙げるとアジアだと台湾、韓国・日本・タイ・インド・インドネシア。あとフランス・ロシア、エジプト・ノルウェイ…。もう世界中!
これら外国からの船がみんな魚を捕って逃げてしまいます。ソマリアの漁網などの漁具も破壊してしまうんです。ソマリアの漁民は小さな船しか持ちませんが、かれらは大きな船でやってきて、ぜんぶ捕ってゆく。
外国船は武器を持っていて、抗議するソマリアの漁師を撃ちました。それでソマリア人は怖くて海へ入れなくなりました。
●外国の密漁船による乱獲
4億5千万ドル。これは一年でソマリアから「泥棒」されるマグロの総額です。わかっているだけで、それもマグロだけで、です。だから実際は、魚介類全部で8億ドルぐらいあってもおかしくないと見ています。
もうひとつ、ケニアの東に浮かぶセイシェル諸島は、インド洋のマグロが水揚げされ、空輸される基地になっています。ここはマネーロンダリングならぬ魚ロンダリングが行われていて、ソマリアで捕れたマグロもここから空輸されれば産地がわかりません。
インド洋マグロ類委員会(IOTC)のレポートによれば、セイシェルにおけるマグロ水揚げ額は去年、前年比34億ドルもマイナスになりました。「海賊」を避けて、外国の漁船がソマリアに入らなかったからです。ということは、この額を今までソマリアで密漁・乱獲されたマグロの額として見ていいのではないでしょうか。
●ウラン・カドミニウム・医療廃棄物
これだけじゃありません。密漁・乱獲に加え、外国船による有害な廃棄物投棄が深刻です。単なるゴミではなく、例えばウランやカドミウムや医療廃棄物など。これをソマリア沖に外国が投棄してゆくんです。
理由は安いから。ソマリアの海なら投棄に1トンあたり250円で済みます。ヨーロッパだと一トン25万円。そういう取り決めがありました。
ソマリアの海岸線では、皮膚病・がんや、鼻とか口から血を流して死んだりなど、たくさんの死者がでました。300人は死んでます。ソマリアは国連等に問題を訴えましたが国連は動きませんでした。「証拠が無い」というのです。ソマリアにはテクノロジーが無いので、調査したくとも、海に沈んだ廃棄物を引き揚げる力もありません。
ところが2004年のクリスマス後に起こったスマトラ沖地震。あの時の津波は東南アジアだけでなくソマリアも襲ったのです。それが海底の廃棄物を全部ソマリア海岸に打ち上げた。それが証拠になりました。中には縦2×横10メートルちかい「ゴミ」まで。それも一カ所ではなく、海岸線全域ですよ。私はその写真を撮り、日本のテレビ番組に提供しました。
言うまでもなくそれほどのパワーの津波ですから、海岸沿いの漁村は、家も漁具も船も全部破壊されました。難を逃れた漁師たちは家がない、船もない、食べ物も無い、何もない。翌朝起きたら、海岸線には有害な廃棄物が打ち上げられ、沖に外国の船がたくさんいる。
その時ですね、本当にソマリアの漁民たちみんなが頭にきたのは。
とにかくソマリアの海の中に外国船が入ったらアタックしよう、国を守るのだ、と。それから「海賊」はエスカレイトしましたね。
●「海賊」といったらみんな、日本や韓国、中国だと思う。
ところでソマリアで「海賊」といったら、みんな自分のことだとは思いません。逆です。みんなは中国、韓国や日本の船を「海賊」だと思っています。だから現地でインタビューをとるとき、漁師に話したんです。「あなたは「海賊」って言われてるけどどう思う?」って。そしたら彼はこう言いました。 「私がヨーロッパやイタリア、日本までいって、魚を密漁したら、「海賊」って言ってもOK。でも私はソマリアの海にいるんですよ」
「日本はそんな海賊呼ばわりされるような、非合法なことはやっていない」そう反論されるかもしれない。しかし私自身、こんな経験があります。
実はソマリアが津波で大変だった2005年頃、私はソマリアの水産資源を売り込むマーケティングダイレクターをやってました。日本の築地は世界一の魚市場です。ソマリアの漁業育成のため、ソマリアの魚を売り込みたかった。また関連事業への日本の投資も期待しました。
ところがあきらめました。どこへ行っても「(タダで捕れるのに)なぜ買わねばならないの」という感じでしたから。大きな水産会社を三つほど回りましたが「うちの船も、もう(ソマリアに)いるよ」とか、「俺たちでなきゃ、台湾の船がやるよ」とさえ言われました。ソマリアで密猟された魚は日本にかなり入ってきていると思います。
●日本に望むこと
いくつもの大国がこぞってソマリアに軍を出すのは、「海賊」対処だけが理由ではないでしょう。ソマリア近辺には石油が多く眠る地域もあります。またイエメンとソマリアの間の海は、ヨーロッパとアジアのきわめて重要な航路。非常に戦略的に重要な地域ですから、みんな支配したいのでしょう。魚より、廃棄物より、「海賊」より、もっと深い、一般の人々が知らない理由があるはずです。深刻な問題です。
日本の憲法前文には、「世界の大変な国を助けてあげないといけない」という意味のことが書かれているはずです。今、世界で最も危機に陥っている国の一つが、ソマリアです。それを救う責任が日本にはあるのでは、ないでしょうか?
そのための私から二つの提案があります。
一つ。まず違法な外国船による密漁・乱獲をやめさせること、そして有害な廃棄物投棄をやめさせることです。これはそんなに難しくないことでしょう。これで「海賊」行為はストップします。
二つ。各国がソマリアに軍隊を派遣していますが、それに使う膨大なお金をソマリアが自らの力で沿岸警備隊を創れるための支援に使うべきだと思います。
今回、日本も自衛隊を派遣しましたが、年のコストはおそらく1億ドル程度にはなるでしょう。アメリカからNATOからスウェーデンまで…。各国の軍隊派遣の費用を考えたらものすごい金額になります。しかしそんなにお金を費やしても、軍隊を送るだけでは「海賊」は止められないでしょう。 自衛隊は現在ジブチにいますが、駐留の見返りに莫大なお金をそこに支払いましたね。ソマリアの真の平和のために、役立つようなお金の使い方を考えて欲しいと思います。
その2)国連シニア・アドバイザー、デズモンドさんに聞いた。先進諸国による略奪と無支援が、
海賊行為をエスカレートさせている
Desmond Molloy(デズモンド・マロイ)元アイルランド国軍大尉。レバノン国連平和維持軍、カンボジア国連軍事監視団員を務めた後、シエラレオネ、ハイチで国連PKOの武装解除の責任者を務める。現在、東京外国語大学大学院平和構築と紛争予防講座伊勢崎研究室の特別客員研究員、国連開発計画(UNDP)武装解除・動員解除・社会復帰担当シニア・アドバイザー。6月16日の参議院外交防衛委員会にて「海賊対処法案」に関する参考人として発言。
●ソマリアの「海賊」は海の問題ではなく陸の問題
ソマリア領海における海賊行為の問題は、海に浮かぶ船のことだけを見ていては解決できません。この海賊行為は、実は海ではなくて陸の問題。「海賊」を組織しているのは誰なのかということに目を向けなくてはならないのです。
ソマリアには現在、暫定政権が存在していますが、この政府はソマリア国内における統治能力をほとんど持っていません。海賊行為に対しても、一切コントロールする力はない。実は「海賊」たちを組織しているのは、ソマリア北東部のプントランドや中央南部ソマリアに拠点を置く、複数の軍閥たちなのです。
彼らの中には暫定政権側についている軍閥もいるし、反政府勢力に加わっている軍閥もいますが、共通しているのは莫大な資産を所有しているということ。そして、多くがイギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパの市民権を持ち、海外の銀行口座も所有しています。
「海賊」として船に乗っているのは地元の漁民たちですが、実際にそれを管理しているのは、こうした裕福な軍閥たちです。ですから、いくら国際社会が海賊対策として国際部隊を派遣し、現場の「海賊」たちを攻撃して拘束しても、ほとんど抑止効果は期待できません。漁民たちにしてみれば、いくら拘束される危険があるといっても、国内で貧困にあえいでいるよりは海外の拘置所で手厚く扱われたほうがましだという思いがあるのです。
●先進国による略奪が、人々を「海賊」へと追い込んだ
さらに、「海賊」問題には、国際社会でもあまり認知されていない二つの大きな要因があります。
一つは、日本を含む先進国の商業漁業船が、ソマリア領海から不法に大量の漁業資源を略奪しているという事実です。その総額は年間およそ3億ドル。海賊たちが要求する身代金が年間1億ドルといいますが、それよりはるかに多いんです。この略奪行為が漁村の生活を脅かし、結果として人々が容易に海賊行為への誘いに乗ってしまうということになっているわけです。
そしてもう一つは、ソマリア領海内で、先進国による産業廃棄物の不法投棄が行われているということです。これによって、特に2004年に大津波がソマリアを襲って以降、深刻な環境破壊や健康被害が、ソマリア沿岸部でいくつも報告されています。
こうした不法行為は、国際資本と地元の軍閥の間の取り決めによって行われ、相当な金額がやりとりされているようですが、その利益は地元の人たちには一切わたっていません。住民組織などはこれを「盗人の密約」と呼んでいます。
ですから、地元の人々の目には、国際社会による艦隊派遣は、こうしたソマリア国内の政治混乱に乗じた略奪行為−−いわば「海賊」行為を隠匿し、保護するためのものとしか映っていないのです。
●海賊を生み出す、構造的な問題の解決を
国会の防衛対策委員会でも提案しましたが、今必要なのは、海賊を「組織している側」にターゲットを絞って対策を打つことです。ただ艦隊を増やすといった対症療法では、問題の根本的な解決は望めません。むしろそれによって、海賊の行動領域がセイシェルや紅海のほうにまで広がっているという事実もある。もちろん、対症療法をすべて否定するわけではありませんが、今の時点でそれをさらに強化することには意味がない、と思います。また、暫定政府に「海賊対策を」といっていくら資金を与えても、それは彼らが持つ海外の銀行口座に流れ込んでいくだけでしょう。
まずは日本を含む先進国が、漁業資源を収奪したり、廃棄物を不法投棄したりしているという事実をきちんと認識すること。そして、周辺の漁民に対する開発援助が必要です。それも、コミュニティに密着して活動しているNGO、住民組織を通しての援助が効果的でしょう。ケニアのナイロビに拠点を置いて、今なお首都のモガディシオで活動を続けているNGOがいくつもあります。とりわけ、女性のエンパワーメントを進めるNGOの活動は活発です。地元の人々の間には外国勢力に対する強い不信感がありますから、我々は「見えない存在」として支援を行うのが望ましいと思います。
そうして、人々が海賊に加わってしまう根本的な、構造的な理由を絶つこと。それ以外に、この問題の解決の糸口はないのではないでしょうか。
今年度補正予算の海賊対策費では、年間182億3800万円を計上しており、これは長期化前提の計画なのだそうです。果たしてそれだけの税金をつぎ込んで、意義ある成果や解決がされるのでしょうか? おおいに疑問が残ります。
ブルハンさんから聞いた話は、ほんの一部を紹介しただけです。当事者でないとわかり得ない、驚くべき話をたくさん聞きました。またデズモンドさんの国会での発言は、「参議院インターネット中継」(6月16日/外交防衛委員会)で見ることができます。与党参考人である森本敏氏(拓殖大学教授)らの話を聞くと、いかに内向きの議論や観点だけで、この法律が成立してしまったかがよくわかります。
大量に魚、特に「マグロ」を消費している日本人にとって、この問題は「遠いアフリカの小国の話」ではすまされないこともたくさんあるようです。「マガ9」ではこの問題について、引き続きレポートしていきます。
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かいぞく もんだいを かんがえるのに じえいたい はけんは ひつようなのか?
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今国会で審議されていた海賊対処法案が衆議院で可決、参議院で否決、そして6月19日に衆議院で再可決され成立しました。この法律の目的は、海賊事件が相次ぐアフリカ東部のソマリア海域において、「日本に関係のある船の警護」をするためと、「海域の平和のため」とされています。しかし、海賊問題の根本を見て解決しないと、その場しのぎの対策に過ぎないのではないでしょうか? ソマリアについての情報が少なすぎるのも気になります。ということで当事国と現場に詳しいお二人に、この問題についてお聞きしました。
その1)在日ソマリア人・ブルハンさんに聞いた。ソマリアから見た「海賊」とは?
ソマリアが抱える本当の問題とは?
Bulhan Hersi(ブルハン・ハーシー)1968年ソマリア・モガディシオ生まれ。スウェーデンで十年を過ごし国籍取得。米国の大学で建築を学んだ後、来日。現在、デザイナー&建築家としての仕事の傍ら、本当のソマリアの現状を伝えるために、ジャーナリストが取材に入る際のコーディネートを行なっている。「海賊対処法」成立前に行なわれた院内集会(3月5日)においても、「ソマリア側の視点」から発言をした。
●「海賊」の正体
今、世界から「海賊」と呼ばれているのは、ソマリアの漁民たちのことです。もともとソマリアの海は、「アフリカのアマゾン」と呼ばれるぐらい豊かな水産資源に恵まれています。ソマリアの海岸線はとても長く、3300キロ。人々は豊かな海の恩恵を受けてきました。
しかし20年ほど前から内戦がはじまると、ソマリアの沿岸警備隊が無くなってしまった。するとこれを良いことに他の外国がソマリアの海へやってきて、水産資源を乱獲し始めたのです。名前を挙げるとアジアだと台湾、韓国・日本・タイ・インド・インドネシア。あとフランス・ロシア、エジプト・ノルウェイ…。もう世界中!
これら外国からの船がみんな魚を捕って逃げてしまいます。ソマリアの漁網などの漁具も破壊してしまうんです。ソマリアの漁民は小さな船しか持ちませんが、かれらは大きな船でやってきて、ぜんぶ捕ってゆく。
外国船は武器を持っていて、抗議するソマリアの漁師を撃ちました。それでソマリア人は怖くて海へ入れなくなりました。
●外国の密漁船による乱獲
4億5千万ドル。これは一年でソマリアから「泥棒」されるマグロの総額です。わかっているだけで、それもマグロだけで、です。だから実際は、魚介類全部で8億ドルぐらいあってもおかしくないと見ています。
もうひとつ、ケニアの東に浮かぶセイシェル諸島は、インド洋のマグロが水揚げされ、空輸される基地になっています。ここはマネーロンダリングならぬ魚ロンダリングが行われていて、ソマリアで捕れたマグロもここから空輸されれば産地がわかりません。
インド洋マグロ類委員会(IOTC)のレポートによれば、セイシェルにおけるマグロ水揚げ額は去年、前年比34億ドルもマイナスになりました。「海賊」を避けて、外国の漁船がソマリアに入らなかったからです。ということは、この額を今までソマリアで密漁・乱獲されたマグロの額として見ていいのではないでしょうか。
●ウラン・カドミニウム・医療廃棄物
これだけじゃありません。密漁・乱獲に加え、外国船による有害な廃棄物投棄が深刻です。単なるゴミではなく、例えばウランやカドミウムや医療廃棄物など。これをソマリア沖に外国が投棄してゆくんです。
理由は安いから。ソマリアの海なら投棄に1トンあたり250円で済みます。ヨーロッパだと一トン25万円。そういう取り決めがありました。
ソマリアの海岸線では、皮膚病・がんや、鼻とか口から血を流して死んだりなど、たくさんの死者がでました。300人は死んでます。ソマリアは国連等に問題を訴えましたが国連は動きませんでした。「証拠が無い」というのです。ソマリアにはテクノロジーが無いので、調査したくとも、海に沈んだ廃棄物を引き揚げる力もありません。
ところが2004年のクリスマス後に起こったスマトラ沖地震。あの時の津波は東南アジアだけでなくソマリアも襲ったのです。それが海底の廃棄物を全部ソマリア海岸に打ち上げた。それが証拠になりました。中には縦2×横10メートルちかい「ゴミ」まで。それも一カ所ではなく、海岸線全域ですよ。私はその写真を撮り、日本のテレビ番組に提供しました。
言うまでもなくそれほどのパワーの津波ですから、海岸沿いの漁村は、家も漁具も船も全部破壊されました。難を逃れた漁師たちは家がない、船もない、食べ物も無い、何もない。翌朝起きたら、海岸線には有害な廃棄物が打ち上げられ、沖に外国の船がたくさんいる。
その時ですね、本当にソマリアの漁民たちみんなが頭にきたのは。
とにかくソマリアの海の中に外国船が入ったらアタックしよう、国を守るのだ、と。それから「海賊」はエスカレイトしましたね。
●「海賊」といったらみんな、日本や韓国、中国だと思う。
ところでソマリアで「海賊」といったら、みんな自分のことだとは思いません。逆です。みんなは中国、韓国や日本の船を「海賊」だと思っています。だから現地でインタビューをとるとき、漁師に話したんです。「あなたは「海賊」って言われてるけどどう思う?」って。そしたら彼はこう言いました。 「私がヨーロッパやイタリア、日本までいって、魚を密漁したら、「海賊」って言ってもOK。でも私はソマリアの海にいるんですよ」
「日本はそんな海賊呼ばわりされるような、非合法なことはやっていない」そう反論されるかもしれない。しかし私自身、こんな経験があります。
実はソマリアが津波で大変だった2005年頃、私はソマリアの水産資源を売り込むマーケティングダイレクターをやってました。日本の築地は世界一の魚市場です。ソマリアの漁業育成のため、ソマリアの魚を売り込みたかった。また関連事業への日本の投資も期待しました。
ところがあきらめました。どこへ行っても「(タダで捕れるのに)なぜ買わねばならないの」という感じでしたから。大きな水産会社を三つほど回りましたが「うちの船も、もう(ソマリアに)いるよ」とか、「俺たちでなきゃ、台湾の船がやるよ」とさえ言われました。ソマリアで密猟された魚は日本にかなり入ってきていると思います。
●日本に望むこと
いくつもの大国がこぞってソマリアに軍を出すのは、「海賊」対処だけが理由ではないでしょう。ソマリア近辺には石油が多く眠る地域もあります。またイエメンとソマリアの間の海は、ヨーロッパとアジアのきわめて重要な航路。非常に戦略的に重要な地域ですから、みんな支配したいのでしょう。魚より、廃棄物より、「海賊」より、もっと深い、一般の人々が知らない理由があるはずです。深刻な問題です。
日本の憲法前文には、「世界の大変な国を助けてあげないといけない」という意味のことが書かれているはずです。今、世界で最も危機に陥っている国の一つが、ソマリアです。それを救う責任が日本にはあるのでは、ないでしょうか?
そのための私から二つの提案があります。
一つ。まず違法な外国船による密漁・乱獲をやめさせること、そして有害な廃棄物投棄をやめさせることです。これはそんなに難しくないことでしょう。これで「海賊」行為はストップします。
二つ。各国がソマリアに軍隊を派遣していますが、それに使う膨大なお金をソマリアが自らの力で沿岸警備隊を創れるための支援に使うべきだと思います。
今回、日本も自衛隊を派遣しましたが、年のコストはおそらく1億ドル程度にはなるでしょう。アメリカからNATOからスウェーデンまで…。各国の軍隊派遣の費用を考えたらものすごい金額になります。しかしそんなにお金を費やしても、軍隊を送るだけでは「海賊」は止められないでしょう。 自衛隊は現在ジブチにいますが、駐留の見返りに莫大なお金をそこに支払いましたね。ソマリアの真の平和のために、役立つようなお金の使い方を考えて欲しいと思います。
その2)国連シニア・アドバイザー、デズモンドさんに聞いた。先進諸国による略奪と無支援が、
海賊行為をエスカレートさせている
Desmond Molloy(デズモンド・マロイ)元アイルランド国軍大尉。レバノン国連平和維持軍、カンボジア国連軍事監視団員を務めた後、シエラレオネ、ハイチで国連PKOの武装解除の責任者を務める。現在、東京外国語大学大学院平和構築と紛争予防講座伊勢崎研究室の特別客員研究員、国連開発計画(UNDP)武装解除・動員解除・社会復帰担当シニア・アドバイザー。6月16日の参議院外交防衛委員会にて「海賊対処法案」に関する参考人として発言。
●ソマリアの「海賊」は海の問題ではなく陸の問題
ソマリア領海における海賊行為の問題は、海に浮かぶ船のことだけを見ていては解決できません。この海賊行為は、実は海ではなくて陸の問題。「海賊」を組織しているのは誰なのかということに目を向けなくてはならないのです。
ソマリアには現在、暫定政権が存在していますが、この政府はソマリア国内における統治能力をほとんど持っていません。海賊行為に対しても、一切コントロールする力はない。実は「海賊」たちを組織しているのは、ソマリア北東部のプントランドや中央南部ソマリアに拠点を置く、複数の軍閥たちなのです。
彼らの中には暫定政権側についている軍閥もいるし、反政府勢力に加わっている軍閥もいますが、共通しているのは莫大な資産を所有しているということ。そして、多くがイギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパの市民権を持ち、海外の銀行口座も所有しています。
「海賊」として船に乗っているのは地元の漁民たちですが、実際にそれを管理しているのは、こうした裕福な軍閥たちです。ですから、いくら国際社会が海賊対策として国際部隊を派遣し、現場の「海賊」たちを攻撃して拘束しても、ほとんど抑止効果は期待できません。漁民たちにしてみれば、いくら拘束される危険があるといっても、国内で貧困にあえいでいるよりは海外の拘置所で手厚く扱われたほうがましだという思いがあるのです。
●先進国による略奪が、人々を「海賊」へと追い込んだ
さらに、「海賊」問題には、国際社会でもあまり認知されていない二つの大きな要因があります。
一つは、日本を含む先進国の商業漁業船が、ソマリア領海から不法に大量の漁業資源を略奪しているという事実です。その総額は年間およそ3億ドル。海賊たちが要求する身代金が年間1億ドルといいますが、それよりはるかに多いんです。この略奪行為が漁村の生活を脅かし、結果として人々が容易に海賊行為への誘いに乗ってしまうということになっているわけです。
そしてもう一つは、ソマリア領海内で、先進国による産業廃棄物の不法投棄が行われているということです。これによって、特に2004年に大津波がソマリアを襲って以降、深刻な環境破壊や健康被害が、ソマリア沿岸部でいくつも報告されています。
こうした不法行為は、国際資本と地元の軍閥の間の取り決めによって行われ、相当な金額がやりとりされているようですが、その利益は地元の人たちには一切わたっていません。住民組織などはこれを「盗人の密約」と呼んでいます。
ですから、地元の人々の目には、国際社会による艦隊派遣は、こうしたソマリア国内の政治混乱に乗じた略奪行為−−いわば「海賊」行為を隠匿し、保護するためのものとしか映っていないのです。
●海賊を生み出す、構造的な問題の解決を
国会の防衛対策委員会でも提案しましたが、今必要なのは、海賊を「組織している側」にターゲットを絞って対策を打つことです。ただ艦隊を増やすといった対症療法では、問題の根本的な解決は望めません。むしろそれによって、海賊の行動領域がセイシェルや紅海のほうにまで広がっているという事実もある。もちろん、対症療法をすべて否定するわけではありませんが、今の時点でそれをさらに強化することには意味がない、と思います。また、暫定政府に「海賊対策を」といっていくら資金を与えても、それは彼らが持つ海外の銀行口座に流れ込んでいくだけでしょう。
まずは日本を含む先進国が、漁業資源を収奪したり、廃棄物を不法投棄したりしているという事実をきちんと認識すること。そして、周辺の漁民に対する開発援助が必要です。それも、コミュニティに密着して活動しているNGO、住民組織を通しての援助が効果的でしょう。ケニアのナイロビに拠点を置いて、今なお首都のモガディシオで活動を続けているNGOがいくつもあります。とりわけ、女性のエンパワーメントを進めるNGOの活動は活発です。地元の人々の間には外国勢力に対する強い不信感がありますから、我々は「見えない存在」として支援を行うのが望ましいと思います。
そうして、人々が海賊に加わってしまう根本的な、構造的な理由を絶つこと。それ以外に、この問題の解決の糸口はないのではないでしょうか。
今年度補正予算の海賊対策費では、年間182億3800万円を計上しており、これは長期化前提の計画なのだそうです。果たしてそれだけの税金をつぎ込んで、意義ある成果や解決がされるのでしょうか? おおいに疑問が残ります。
ブルハンさんから聞いた話は、ほんの一部を紹介しただけです。当事者でないとわかり得ない、驚くべき話をたくさん聞きました。またデズモンドさんの国会での発言は、「参議院インターネット中継」(6月16日/外交防衛委員会)で見ることができます。与党参考人である森本敏氏(拓殖大学教授)らの話を聞くと、いかに内向きの議論や観点だけで、この法律が成立してしまったかがよくわかります。
大量に魚、特に「マグロ」を消費している日本人にとって、この問題は「遠いアフリカの小国の話」ではすまされないこともたくさんあるようです。「マガ9」ではこの問題について、引き続きレポートしていきます。
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