2017年01月26日
よしの910韓国の長時間労働、社会に大きな負担
よしの910韓国の長時間労働、社会に大きな負担
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO11597850S7A110C1000000/?n_cid=MELMG008
韓国の長時間労働、社会に大きな負担
2017/1/23 6:30
日本経済新聞 電子版
• 韓国
• 看護師の張さん(38)は2015年、8年間勤めたソウルの病院を辞めた。今はソウルから約70キロ南にある平沢の米軍病院で働く。収入は約3分の2に減ったが、後悔はしていない。「ソウルの病院では、8時間のシフトが終わってもさらに仕事を割り振られた。1日12時間働いて、仕事を終えるには週末も出勤しなくてはならなかった」と振り返る。
• 張さんは極度のストレスで怒りっぽくなっていたと話す。ストレスがついに限度を超えたため、退職を決意した。新たな職場は、誰もがシフトを終えるとすぐに帰る。張さんは「仕事を家に持ち帰らなくてよいのがうれしい」と話す。
• ■長く働くのが当然と考える企業風土
•
• 画像の拡大
• ラッシュ時に混雑するソウルの地下鉄駅
• 韓国では、張さんのような例はどこにでもある。たとえば、ウリィ銀行の部長は朝6時から夜10時まで働く。サムスン電子の幹部は、上司からの電話に備えてシャワーにまで携帯電話を持ち込む。
• 経済協力開発機構(OECD)のデータによると、15年の韓国の平均労働時間は2113時間で、加盟35カ国中2番目に多かった。日本は1719時間で、OECD加盟国の平均は1766時間だった。
• 韓国人は、なぜ他の国よりも長く働くのだろうか。政策研究大学院大学の魏茶仁准教授は理由を3つ挙げる。
• 1つ目は労働者に交渉力がない点だ。魏氏は「企業の権限が強すぎて、契約社員は雇用主に何も要求できない」と指摘する。2つ目は長時間労働に陥りやすい賃金構造だ。賃金が非常に低いため「収入を増やすには残業するしかない。(長時間働いている人の)多くは契約社員だ」と話す。3つ目は上司が長時間労働を当然と考える企業文化にある。こうした環境では、部下は職場に長時間いなくてはならないという圧力を感じる。
• 看護師の張さんは文化の違いがあるとみる。「韓国の病院では、機械のように働く。だが米系の病院では、同僚と話し合って勤務時間やシフトを変更できる。これはその職場に特有というわけではなく、文化の違いだと思う」と述べた。
• ソウル大学経済学部の李政a教授は、長時間労働をよしとする風潮では、もはや社会が持たないと懸念。政府と企業にもっとオープンで革新的な労働環境の整備を訴える。
• 長時間労働は、職場の事故やけがの増加を招くという指摘もある。負の影響は社会全体にも及ぶという。
• ■「これでは子供を持つ時間などない」
• 14年の韓国の合計特殊出生率は1.2とOECD加盟国の中で最も低く、日本の1.4をやや下回った。
• 会社に長時間いれば、子どもを持つために時間を割けなくなる。魏氏は「女性の労働時間は男性よりもやや少ないが、家事労働を加えると大幅に上回る。これでは子どもを持つ時間などない」と話す。
• 自殺も深刻な問題だ。13年の韓国の自殺率は人口10万人あたり28.7人で、OECD加盟国の中で最も高かった。長時間労働と自殺率の高さに直接の相関関係はないが、残業は人々の生活満足度に負の影響をもたらすことが各種調査で示されている。
• もっとも、変化の兆しはある。たとえば、児童書を手掛けるボリ出版は社員の自由時間を増やすため、12年に1日6時間労働を導入した。編集者のキム・ヌリさんは「6時間労働は素晴らしい。自分の時間が増えた」と喜ぶ。同社によると、会社も社員たちもこの制度に満足しているという。
• (ソウル=金再源)
• [日経産業新聞2017年1月12日付]
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO11597850S7A110C1000000/?n_cid=MELMG008
韓国の長時間労働、社会に大きな負担
2017/1/23 6:30
日本経済新聞 電子版
• 韓国
• 看護師の張さん(38)は2015年、8年間勤めたソウルの病院を辞めた。今はソウルから約70キロ南にある平沢の米軍病院で働く。収入は約3分の2に減ったが、後悔はしていない。「ソウルの病院では、8時間のシフトが終わってもさらに仕事を割り振られた。1日12時間働いて、仕事を終えるには週末も出勤しなくてはならなかった」と振り返る。
• 張さんは極度のストレスで怒りっぽくなっていたと話す。ストレスがついに限度を超えたため、退職を決意した。新たな職場は、誰もがシフトを終えるとすぐに帰る。張さんは「仕事を家に持ち帰らなくてよいのがうれしい」と話す。
• ■長く働くのが当然と考える企業風土
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• ラッシュ時に混雑するソウルの地下鉄駅
• 韓国では、張さんのような例はどこにでもある。たとえば、ウリィ銀行の部長は朝6時から夜10時まで働く。サムスン電子の幹部は、上司からの電話に備えてシャワーにまで携帯電話を持ち込む。
• 経済協力開発機構(OECD)のデータによると、15年の韓国の平均労働時間は2113時間で、加盟35カ国中2番目に多かった。日本は1719時間で、OECD加盟国の平均は1766時間だった。
• 韓国人は、なぜ他の国よりも長く働くのだろうか。政策研究大学院大学の魏茶仁准教授は理由を3つ挙げる。
• 1つ目は労働者に交渉力がない点だ。魏氏は「企業の権限が強すぎて、契約社員は雇用主に何も要求できない」と指摘する。2つ目は長時間労働に陥りやすい賃金構造だ。賃金が非常に低いため「収入を増やすには残業するしかない。(長時間働いている人の)多くは契約社員だ」と話す。3つ目は上司が長時間労働を当然と考える企業文化にある。こうした環境では、部下は職場に長時間いなくてはならないという圧力を感じる。
• 看護師の張さんは文化の違いがあるとみる。「韓国の病院では、機械のように働く。だが米系の病院では、同僚と話し合って勤務時間やシフトを変更できる。これはその職場に特有というわけではなく、文化の違いだと思う」と述べた。
• ソウル大学経済学部の李政a教授は、長時間労働をよしとする風潮では、もはや社会が持たないと懸念。政府と企業にもっとオープンで革新的な労働環境の整備を訴える。
• 長時間労働は、職場の事故やけがの増加を招くという指摘もある。負の影響は社会全体にも及ぶという。
• ■「これでは子供を持つ時間などない」
• 14年の韓国の合計特殊出生率は1.2とOECD加盟国の中で最も低く、日本の1.4をやや下回った。
• 会社に長時間いれば、子どもを持つために時間を割けなくなる。魏氏は「女性の労働時間は男性よりもやや少ないが、家事労働を加えると大幅に上回る。これでは子どもを持つ時間などない」と話す。
• 自殺も深刻な問題だ。13年の韓国の自殺率は人口10万人あたり28.7人で、OECD加盟国の中で最も高かった。長時間労働と自殺率の高さに直接の相関関係はないが、残業は人々の生活満足度に負の影響をもたらすことが各種調査で示されている。
• もっとも、変化の兆しはある。たとえば、児童書を手掛けるボリ出版は社員の自由時間を増やすため、12年に1日6時間労働を導入した。編集者のキム・ヌリさんは「6時間労働は素晴らしい。自分の時間が増えた」と喜ぶ。同社によると、会社も社員たちもこの制度に満足しているという。
• (ソウル=金再源)
• [日経産業新聞2017年1月12日付]
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