2016年12月24日
よしの761もんじゅ後継(こうけい)炉(ろ)問題(もんだい)。
よしの761もんじゅ後継(こうけい)炉(ろ)問題(もんだい)。
もんじゅ は やく1ちょうえんの こくひをかけ 20ねんいじょう うんてんできなかった。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/koso/siryo/koso01/siryo07.htm
「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故の概要
1. 事故の原因究明等
(1) 事故の概要
試運転中の高速増殖原型炉もんじゅで、1995年12月8日19時47分、2次冷却系配管(Cループ中間熱交換器出口配管)からナトリウムが漏えいする事故が発生しました。
「もんじゅ」は、1994年4月初臨界達成後、原子炉の特性を確認し、1995年2月より 原子炉出力を段階的に上げる試運転を進めました。ナトリウム漏えい事故は、原子炉出力約45%での試験のために、原子炉出力を徐々に上昇させる操作を行っている時に発生しました。
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ふくしまの げんぱつは ばくはつするし もんじゅは ほとんど うごかないまま じこ なのに まだ やる ゆしゅつもする。
よのなかは まったく りくつじゃないのですね。
核燃(かくねん)サイクル 米(べい) 英(えい) 独(どく)が90ねんだい ぜんはんまでに てったい
仏(ふつ)も ていしじょうたい
いま 高速(こうそく)増殖(ぞうしょく)炉(ろ)の 開発(かいはつ)すすめているのは ロシア 中国(ちゅうごく) インド
国家(こっか)がつよくかんよし けいざいせいきにせず かいはつ すすめられるくに。
核燃(かくねん)サイクル じつようかしないのは
@ 高速(こうそく)増殖(ぞうしょく)炉(ろ)のあんぜんせいに もんだいがある
A プルトニウムが かくへいきの ざいりょうになる
B プルトニウムはつでんは けいざいてきにあわない
にほんは 日米(にちべい)原子力(げんしりょく)協定(きょうてい)で 再処理(さいしょり)が みとめられている。
協定は2018ねんに かいていされる。
こんご つかいみちのない プルトニウムがふえれば 協定の 改定(かいてい)交渉(こうしょう)に えいきょうがでるかのうせいがある。
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/2016-12-01.html
2016年12月01日
もんじゅの後継炉を開発するというこの悪い冗談話は,原発事業のブラック化であり,原爆=原発「体制の維持」(その1)
【〈永遠なる無駄づかい〉である高速増殖炉事業を再開するという奇怪】
【いわば狂気に近い原発事業維持政策の無意味さ,そのための国家予算が確保できるならば,少子化対策に振り向けよ】
【経済計算では計りきれない損失を発生しつつあるもんじゅは,フランケンシュタイン的モンスター,つまり原発推進体制ゾンビの代表格であった。その後継炉の開発・推進をするというのだから,まさしく狂気の沙汰】
本日〔2016年12月1日,一部は11月30日夕刊も含む〕の『朝日新聞』と『日本経済新聞』から引用するかたちで説明していくが,とくに,高速増殖炉もんじゅの後継炉の「開発」を決めたという,ほとんど〈狂気の沙汰〉的な国家の意思決定が大問題である。
いまどきにおいて,高速増殖炉の商用化に向けて『開発を推進させる』という国家事業が,いかに〔安倍晋三流にいえば〕「無駄,無駄,無駄……」(最近の国会審議における彼の無礼な発言)であるかは,すでに重々思いしらされている。にもかかわらず,いまさらのようにあえてでも,もんじゅ後継炉の開発を再開・推進するといのだから,これほどにまで分かりきった「超・偉大なる無駄づかい」をみこんだ企画はない。
出所)http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-19734
本日の記述は,関連する「本日の記事」だけの紹介にしておきたいのだが,筆者の論評・批判は最小限でも入れないでは済まない。安倍晋三政権下,高速増殖炉「もんじゅ」の後継炉でもって,その商用化にまで漕ぎつけたいというような国家次元の欲望は,いったいどこから出てくるのか。それは一方では,この原子炉の夢のような核燃料サイクル再生産の仕組(厳密にいえばその商用化を成就させている国はない)にあり,また他方では,プルトニウムが核兵器の原料である事実に深く関係している。
原発の経済性問題はすでに確実に「まったく割りが合わない趨勢」に向かいはじめている。いまは自然・再生可能エネルギーの開発・利用に向かうことが,もっとも賢明かつ合理的なエネルギー資源獲得の方法であり,実際にそのように実現させている国々もある。
この点では日本は完全に遅れをとっている。そのなかでの本日の報道のような「もんじゅ後継炉の開発推進政策の再開」である。狂気だと形容したこの一点は,以下の記事を読むなかで感じとってほしい核心である。原子力村は健在であるが,不健康な状態での実在である。
植田和弘監修,大島堅一・高橋 洋編著『地域分散型エネルギーシステム』(日本評論社,2016年)は,原発に依存して電気エネルギーをえる方策が,いかに無駄に満ちているかを文句なしに,異論を挟める余地もないくらいに説明している。参考文献として挙げておく。
@「もんじゅ後継炉、開発推進 10年かけ基本設計 政府方針」(『朝日新聞』2016年11月30日夕刊)
政府は〔11月〕30日,廃炉を検討中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)に代わる「高速実証炉」の開発方針を示した。フランスなど海外との協力や,もんじゅなどの国内施設を活用し,今後10年程度で基本的設計を固める。国費1兆円超を費やしたもんじゅの検証がないまま,開発が進められる。
文部科学省と経済産業省が同日,開発方針の骨子案を政府の「高速炉開発会議」(議長・世耕弘成経産相)に示した。政府は年内にも,こうした基本方針を原子力関係閣僚会議で決め,2018年をめどに開発に向けた工程表をつくる。骨子案では,原発から出る使用済み核燃料を再処理して利用するという「核燃料サイクル」を推進する方針を再確認。「世界最高レベルの高速炉の開発,実用化」を国家目標にかかげた。
高速炉開発は実験炉,原型炉,実証炉と進み,商用炉で実用化となる。骨子案は,原型炉もんじゅの後継となる実証炉開発を「最重要」と強調。そのうえで,フランスの次世代高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」など海外施設と連携する方針を明記し,10年程度かけて「基本的設計思想と開発体制を固めていく」とした。新たな実証炉は国内に設置する方針だが,具体的な場所などの言及はなかった。
一方,今〔2016〕年9月に「廃炉を含め」見直すと決めたもんじゅについては,人材やこれまでにえられた知見などを実証炉開発に「活用」すると盛りこんだ。ただ,トラブル続きでほとんど運転実績がないことへの検証はされず,「廃炉」の進め方には触れなかった。
◆キーワード◆
「高速炉」とは,プルトニウムを燃やしやすくした原子炉。普通の原子炉は主にウランを燃やすため,核分裂で出る中性子を水で減速させているが,プルトニウムが燃焼しやすいよう高速のまま使う。運転しながら,ウランから新たなプルトニウムを作る高速増殖炉も高速炉の一つ。
出所)『朝日新聞』より,http://togetter.com/li/900138
★「高速炉開発の方針」骨子案のポイント ★
・核燃料サイクルを推進し,高速炉の研究開発に取り組む
・2018年をめどに,具体的な工程表を策定
・今後10年で実証炉の基本設計や開発体制を固める
・フランスの次世代高速実証炉「ASTRID」など,海外と協力
・「もんじゅ」や,実験炉「常陽」(茨城県大洗町)も活用
A「もんじゅ後継,国内に実証炉 開発体制,〔20〕18年めど 政府会議方針」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊1面)
政府の高速炉開発会議は〔11月〕30日,廃炉が検討されている高速増殖原型炉もんじゅに代わり,より実用化に近い実証炉を国内に建設するなどとする開発方針の骨子を公表した。2018年をめどに約10年間の開発体制を固める。約1兆円の国費をかけ,20年以上ほとんど運転できなかったもんじゅの反省は生かされず,高速炉開発ありきの議論が進む。(▼3面=降ろせぬ旗,14面=社説,15面=耕論)
補注)またもや〈壮大なる無駄づかい〉でしかありえない「原子力事業の一環」として,高速増殖炉の再開・推進が決められた。
会議は世耕弘成経済産業相が議長。松野博一文部科学相や日本原子力研究開発機構,電気事業連合会,三菱重工業がメンバー。骨子では,もんじゅを再運転した場合にえられる技術的な成果を「ほかの方法でも代替可能」と評価。蓄積された成果は活用するとしつつ,廃炉にしても実証炉建設への影響はないと結論づけた。もんじゅについて政府は廃炉を含め抜本的な見直しを決めている。
補注)ここで「蓄積された成果」とはなにを意味するのか? 「失敗は成功のもと」だといわれるが,もんじゅは「失敗するまえに失敗している」高速増殖炉ではなかったのか? この失敗の歴史さえ認めていない高速増殖炉「もんじゅ」事業の不首尾な推移であるからこそ,そのように詭弁以前の問答無用的な判断によって,高速増殖炉「開発・推進」を再度試みなおすというのである。だが,その実態は「賽の河原」でしかない。
高速炉は「実験炉」「原型炉」「実証炉」と進み,「商用炉」で実用化する。安全性の確認や発電技術の確立など,原型炉もんじゅで終えるべき課題を残し,つぎの実証炉に進むかたちだ。
出所)『朝日新聞』より,http://togetter.com/li/900138
補注)ここでは「実験炉」⇒「原型炉」⇒「実証炉」⇒「商用炉」へと進展させうる技術的・経済的な保障が,完全にといっていいほどなかった事実史だけは,あらためて指摘しておく。ここまで話題に接近してみると,すでにことば遊びのような次元においてのみ,高速増殖炉の「有用性」が強調されていることが実感できる。
政府は,もんじゅを廃炉にした場合でも,フランスが2030年ごろの運転開始をめざす実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画に協力することで高速炉開発を維持するとしてきた。だが同会議は,エネルギー政策の根幹とされてきた核燃料サイクル事業の施設を不確実性のある海外の計画だけに頼るのはリスクがあるとの批判も考慮し,国内での実証炉開発を明示した。
実証炉の建設時期や場所は未定。来〔2017〕年初めから実務レベルの作業グループを置き工程表策定を進める。骨子にはアストリッド計画を補完する施設として,原子力機構の高速増殖実験炉「常陽」やナトリウム研究施設「AtheNa(アテナ)」(いずれも茨城県)などの国内研究施設も示された。
B「高速炉,降ろせぬ旗 もんじゅ後継,国内に」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊3面)
政府の「高速炉開発会議」で,実証炉の国内建設をめざす方針が示された。研究段階の原型炉「もんじゅ」の開発に失敗したのに,実用化に向けてつぎの段階に進もうとしている。なぜ,高速炉開発に固執するのか。(▼1面参照)
1)使用済み燃料,行き場なし
「核燃料サイクルを止めれば,『パンドラの箱』が開いてしまう。高速炉開発を続ける意思を示す計画は,箱を封印する『お札』のようなものだ」。経済産業省幹部は,核燃サイクルと高速炉開発の旗を降ろせない理由を説明する。
補注)パンドラの箱はすでに開いている状態であるのに,このように完全に奇妙な修辞となっている。原発事業そのものが初めからパンドラの箱を開け放った事実を意味していた。このことは,原発事故(1979年3月28日「スリーマイル島」→1986年4月26日「チェルノブイリ」→2011年3月11日「フクシマ」)の3事故によって,嫌というほどに確認させられたはずである。
原発事故がほかの諸事故と根本的な性格を異ならせるのは,その規模が時間的にも空間的にも,そして経費的にも手間的にもとてつもない次元・範囲にまで拡大・浸透していくばかりであって,これが収まるところがみいだせないでいるせいである。
出所)右側画像は「パンドラの箱」の想像例,http://blog.livedoor.jp/dq10tumurin/archives/4027682.html
現に,チェルノブイリ原発事故の後始末,第2次の石棺化作業は依然つづいている。東電福島第1原発事故現場の後始末は,これからであるというほかなく,いつになったら本格的に「デブリとり出し作業が開始できる」ことになるのか,さっぱり見通しすらついていない。実質的には停頓状態にある。高速増殖炉は日本国中の原発(原子炉)の存在を技術的な与件(前提)としている。
原発事業全体を止めるという賢明なエネルギー政策に踏み切れない日本は,今後も確たる見通しもつかないまま,ともかく非常に高額な国家予算を投入してでも〔多分無駄づかいになるほかないが〕,高速増殖炉の開発・利用に向かい,これからも努力だけはするといいつづけている。だが,すでに半世紀もうまくいっていない高速増殖炉の実験化段階が,いつになったら商用化段階にまで到達できるのか? この点はいまなお不詳である。
核燃サイクルは,原子力発電所から出る使用済み燃料を再処理し,とり出したプルトニウムを燃やす。高速炉はプルトニウムを燃やしやすくした原子炉。高速炉開発を止めれば,使用済み燃料は「ゴミ」となり,青森県六ケ所村の施設で保管する理由がなくなる。政府が高速炉にこだわる理由のもう一つは,日本が保有する48トンのプルトニウム(原爆約6千発分)だ。核兵器の原料にもなり,使うみこみなくもちつづければ,国際社会から核武装の懸念が出る恐れがある。
補注)高速増殖炉の実用化が実現できなければ,原発が出す使用済み核燃料は「トイレのないマンション」のどこかに,それこそ肥溜め状態でかかえておくほかない。糞尿ならば臭いだけであるけれでも,使用済み核燃料は放射性物質を濃度を下げているとはいえ,いつまでも発散させつづけていく危険物,いうなれば厄介モノなのである。そこで高速増殖炉の出番となるわけであるが,これがうまくいかない。厳密にいうと「本格的な商用化」(経済計算面で判断し,民間企業で採算がとれるという意味で)が高速増殖炉で成功している事例はない。
2018年7月には,日本で原発を動かすことを認める日米原子力協定が期限を迎える。協定は核兵器を製造しないことを条件に,使用済み燃料からプルトニウムをとり出すことを認めている。再処理を続けつつ高速炉開発を止まれば,保有量の増加に抑えが利かず,外務省幹部は「協定の改定に影響が出ないとも限らない」という。
もんじゅの地元への配慮もある。福井県の西川一誠知事は11月25日,文部科学,経産両大臣に「地元は積極的に協力してきた。あやふやなかたちで店じまいをするようでは困る」と反発。核燃サイクルの堅持と,もんじゅを中核拠点とした県の開発構想への影響を訴える。
出所)左側画像は,http://kamesienne.blog27.fc2.com/blog-entry-290.html
補注)原発事業に地域社会・地方都市の生存をかけたかのような行き方は,露骨な表現になるが「寄生虫的な生き方」である。電力会社からのおこぼれで地方自治体が寿命を長らえているかのような「原発という麻薬への依存症」は,自然・再生可能エネルギーの開発・利用によって「町おこし」につなげる方途とは,百八十度,方向性を逆にしている。
−−ここまで記事を読んだだけでも分かるように,将来に向けて高速増殖炉の開発を推進させるとはいっているものの,結局は目先の利害にそれぞれの関係利害者・組織・官庁がこだわっている様相しかみえてこない。それがゆえの「関連する諸事情の進行」になっている。
そもそも,高速増殖炉の実用化・商用化は,原発の電力を生産するためのコストがほかの発電方式に比較して,無条件に一番安価であるという条件(要求)を満たすために,つまりその根拠を提供するためには,どうしても必要不可欠であった。しかし,この高速増殖炉の実用化(商用化)が本格的に実現されることがないまま,ずるずると半世紀も時間を費やしてきた。いまもなお,いっこうにらちがあかない原発技術が高速増殖炉である。
要は金喰い虫でしかない高速増殖炉へのこだわりは,原発体制そのものへのこだわりそのものである。日本は,ドイツやイタリアのように「原発からの乳離れ」ができない国でありつづけたきた。したがっていまもな,原発にすがるような「電源構成比率の発想」を捨てきれないでいる。もっとも「3・11」後において記録されてもいるように,2013年9月から2015年8月まで,原発ゼロでも電力確保のできる国であることは実証されている。ところが,こうした事実は直視したくないのが「日本原子力村の利害関係集団」である。
2)常道外れた実証炉開発 〔←ここで記事本文に戻る〕
原発の開発は,実験炉から原型炉,実証炉を経て実用化をめざす。それは開発の常道だ。高速増殖原型炉「もんじゅ」は高速炉の実用化に向け,基本的な発電性能や安全性を確認する役割を担っていた。
しかし,出力100%で運転したことは一度もなく,事故を起こして20年以上もまともに運転できなかった。そのため,性能も安全性も十分には確認できていない。にもかかわらず,高速炉開発会議は,今後10年程度で実証炉の基本的設計思想を固めるとする。出力100%運転時のデータや発電性能,信頼性の確認などは,フランスの実証炉「ASTRID(アストリッド)」などで蓄積できるとした。
ところが,2030年ごろの運転開始をめざすとされるアストリッドは,建設されるかどうかさえ不透明。日本が期待するデータがえられたとしても,遠い将来だ。原子力委員会の前委員長代理の鈴木達治郎・長崎大学教授は「いまのような透明性のない議論をしていては,世界から,日本はいったいプルトニウムをなにに使うのかと疑われ,信頼されなくなる」と話している。
C「廃止,当面10年で2170億円 東海再処理施設,廃棄物山積み 原子力機構70年計画」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊7面)
日本原子力研究開発機構は〔11月〕30日,原発の使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」(茨城県)の廃止に向けた工程を原子力規制委員会に報告した。廃止完了までに70年かかり,当面の10年間に必要な費用は2170億円余りとみこむ。施設には放射能が強い大量の廃液や,プールの底に山積みされた放射性廃棄物があり,廃止はきわめて困難な作業となる。
「規制委から疑問も」 報告によると,廃止作業は汚染状況の調査や設備の除染から始め,10年後以降に機器の解体や建屋の除染にとりかかる。再処理で出た高レベル放射性廃液が約400立方メートルあり,12年半かけてガラスで固める作業を続ける。防火や耐震対策などが国の新規制基準に適合しておらず,その対策も合わせて進める。
ただ,ガラスで固める設備は老朽化で故障が相次ぎ,今〔2016〕年は予定の4分の1しか処理できなかった。中身がよくわからない廃棄物の容器が多数あり,確認のうえ分別しなければならない。使用済み燃料の被覆管が入ったドラム缶は貯蔵プールの底に整理されずに山積みされている。作業のための取出し装置を新たにつくる必要がある。
こうした状況から,規制委は,計画どおりに廃止作業が進むか疑問を呈している。田中俊一委員長は〔11月〕30日の会見で,「非常にリスクの高い廃棄物が相当ある。ずるずる放置するわけにはいかない」と述べ,原子力機構や所管する文部科学省にあらためて説明を求める考えを示した。(記事引用終わり)
−−原発を廃炉にしたあと,その後始末にかかる経費は,他のすべての装置・機械類に比較すると,膨大だと形容したらよいほど非常に高額であり,しかもその後始末のためにかかる時間も非常に長期である。原発コスト「安価」論はすでに神話の地位から転げ落ちているにもかかわらず,この安価論がいまだに信仰されているのだから,恐るべき邪教が日本の電力産業のなかでは猛威を振るっているわけである。
出所)http://nonukes.exblog.jp/21746678/
◇ 福島原発事故 廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 ◇
=『毎日新聞』2016年11月27日 21時38分,最終更新 11月28日 06時47分 =
東京電力福島第1原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超に上り,従来の政府想定のほぼ2倍に膨らむと経済産業省が試算していることが〔11月〕27日,分かった。政府は拡大する費用の一部を東電を含めた大手電力と新電力(電力自由化で新規参入した業者)の電気料金に上乗せする方針で,国民負担の増大は必至だ。
経産省は,東電の経営改革や資金確保策を協議する有識者会議を開催しており,年内にも結論を出す方針。試算は会議の議論のベースになるとみられる。政府の従来の想定は,
賠 償 = 5.4兆円
▽除 染 = 2.5兆円
▽汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備= 1.1兆円
▽廃 炉 = 2兆円の計 11兆円
となっていた。新たな試算は,賠償が約8兆円,除染が4兆〜5兆円程度に膨らむ見通し。廃炉も従来の2兆円が数兆円規模で拡大する公算が大きい。中間貯蔵施設の整備費は変わらないが,全体では20兆円を上回るみこみとなった。
政府の従来想定は2013年末時点に見積もったが,賠償や除染の対象が増加している。廃炉も原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取出し費用などが拡大。経産省は既に現状で年800億円の費用が年数千億円程度に達するとの試算を明らかにしている。
費用の工面について,政府はこれまで,賠償は国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構がいったん立て替え,東電を中心に大手電力が最終的に負担金を支払い,▽除染は国が保有する東電株の売却益を充当,▽中間貯蔵施設は電源開発促進税を投入,▽廃炉は東電が準備−−との枠組みを示してきた。
政府は,賠償費の増加分について,原子力損害賠償・廃炉等支援機構の立て替え増額を検討。これとは別に,大手電力や新電力が送電会社の送電線を利用する料金への上乗せも検討している。この料金は政府の認可制となっており,最終的に電気料金に転嫁される。除染費も東電株の売却益で賄えない可能性が高く,東電などに負担を求める案が検討されている。その場合,最終的に電気料金に転嫁される可能性がある。
廃炉費は,東電が他社との提携などによる経営効率化で捻出した資金を積み立てる制度の創設を検討する。ただ,東電が経営努力のみで賄いきれるかは不透明で,電気料金の引き上げにつながる可能性もある。
註記)http://mainichi.jp/articles/20161128/k00/00m/040/085000c
東電は「3・11」以後すでに,ゾンビの電力会社になっていた。しかし,このように生かして継続企業にさせている。そういう事情であるから当然のように,あちこちに無理・矛盾が露呈されるほかない経営状態に置かれている。テレビのニュースなどを介して,東電の現社長廣瀬直己の表情を観るときがよくあるが,この会社の雰囲気が伝わってくるような印象を強く受ける。
出所)画像は廣瀬直己,http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13151523973
D「〈社説〉もんじゅ後継 無責任さにあきれる」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊)
利害関係者だけが集まり,密室で不合理な政策を決めていく。手痛い失敗の検証や反省がないまま,成否が見通せない巨額のプロジェクトに突き進む。政府はきのう,非公開の会議で,高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の後継となる高速実証炉の開発を国内で進める方針を示した。無責任さに驚き,あきれる。
1兆円超を投じたもんじゅは,1994年の初臨界からの20年余で,わずか220日ほどしか動いていない。扱いの難しい冷却用ナトリウムを漏らすなど,事故を起こしたからだ。開発の最初の段階にあたる実験炉「常陽」の稼働実績はもんじゅの十数倍,約3千日だ。技術開発は,段階が進むとまさに段違いに難しくなる。
政府がめざす高速炉は,もんじゅのように炉内で燃料のプルトニウムを増やしていく増殖機能はないが,原理は同じだ。原型炉さえ満足に動かせなかったのに,安上がりで安全な実証炉を造れるのか。国際協力を踏まえるというが,頼りにする仏「ASTRID(アストリッド)」計画は,仏政府が建設の是非を数年後に決めるという段階だ。
そもそも,議論の場がおかしい。きのうの会議の参加者は経済産業相や文部科学相,電力会社でつくる電気事業連合会,原子炉メーカーの三菱重工業,もんじゅの運営主体である日本原子力研究開発機構と,もんじゅの関係者ばかり。原子力機構の2人は三菱重工業と文科省の出身で,役所と企業の思惑だけで話を進めていると言っていい。
なぜ,ここまで高速炉開発にこだわるのか。
原発で生じた使用済み核燃料を再処理し,とり出したプルトニウムを燃料に使う。その核燃料サイクルの中核に位置づけてきたのがもんじゅだ。もんじゅ廃炉の方向性は示したものの,後釜を欠けばサイクルが崩壊し原発推進にも影響しかねない。そんな危機感があるのだろう。
だが日本はすでにプルトニウムを48トン,通常の原爆で6千発分を保有する。高速炉の実用化に具体的な展望がないいま,経済性も欠くサイクルへのこだわりは国際的な疑念を招くだけだ。
原子力行政については,一度決めた政策に固執する硬直性への批判が根強い。それでも福島第1原発事故後は,利害や経緯にとらわれない議論の大切さが広く認識されるようになった。政府はいま,過去の教訓に目をつぶり,お手盛りの会議で,疑問だらけの高速炉開発に税金をつぎこもうとしている。こんな愚行は許されない。
−−この社説の批判はしごく正当である。このような「高速炉開発に税金をつぎこもうとしている」「こんな愚行は許されない」ことは,自明である。同じ国家予算を投入するにしても,日本社会全体のためによりよく生産的に活かせる分野・領域が,ほかにいくらでもある。
最近においてたとえば,教育面での話題をみれば,野菜類が高くなってしまい学校給食を2週間休止したいと決めたが,反対があってそうはしなかったとか,無償(返済義務なし)の奨学金制度を何万人かに給付するとかいったふうな,実にみみっちい(?)話題がいまの日本社会のなかでは,いっそう切実な現実の問題として話題になっている。
そうした国家予算の現状のなかで,高速増殖炉に投入している国家予算は,基本的に無駄金の浪費になっている。そうではなく,自然・再生可能エネルギーの開発・利用の方面に,その資金を投入するのもいいし,あるいは,社会保障制度を支えるためにその金額を振り向けたほうが,どのくらい日本社会のためになるか。この程度のことも分からないというでもいうのか?
たとえば少子化で困っている? 子ども1人生んだ世帯(片親の1人所帯でも同じに処遇する)には無条件,生活保護水準の給付金(1世帯分,ここでは1ヵ月に15万円としておくが)を支出すればよい。2人目を生んだらその2倍給付してあげればいい。そうすれば,そのための能力を有する夫婦などがその気になってくれる場合が大いに高まり,その多くが喜んで人間再生産作業に励んでくれることが期待できる。以上は,現状において制度化されている出産関係や子ども関係の諸手当に対して,さらに上乗せすればよい話題として提示している。
出所)https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160502-OYTET50020/
現在,出生数は100万人を少し超える程度であるが,これをなるべく増やすための算段を必死になっておこなったらよい。たとえばまた,子ども3人生んだら,この子どもたちが18歳になるまでは両親の年収にプラス300万円(子ども1人 × 100万円,年額−−前段の話とは金額に差があるが,あくまで考え方そのもに関する単なる例示なので,そのあたりは気にしないでほしい)を給付してあげればいい(この程度のことは実質的におこなっている先進国がある)。ここでつぎのように計算してみる。
仮に子どもが「2人がいる」世帯のための給付されるべき予算総額(「 100万人 × 2人」× 100万円)は,2兆円である。戦争中は戦争のための人的資源を確保するためであったが「産めよ,殖やせよ」と,帝国臣民に対していたずらにせかしていた(兵隊さんとして軍隊にとられるのは20歳になってからだったから長期計画であったといえるが,その前に大日本帝国は「敗戦」していた)。だが,21世紀のいまにおける人口減少という事態は,また別の意味で国家にとって由々しき問題である。戦争のためであれ平和のためであれ,とりあえずはそのようにいっておけばよい。
2兆円は消費税のほぼ1%分である。もんじゅなど高速増殖炉の実用化のために無駄に浪費してきた金額は,つぎのようになっている。これはあくまで,国家側の担当機関が公表した数値・統計である。(画面 クリックで 拡大・可)
出所)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/28/1365680_03.pdf
きわめて単純明快な主張をする。高速増殖炉の開発促進のためにかける予算があるなら,とりあえず,その枠はすべて少子化対策のために向けたらよい。そうしたほうがよほど,日本の国家利益のためになるのではないか。再生可能エネルギーの開発・利用の問題もあるが,ここではひとまず,別途にそのようにも関連づけていっておく。つぎの文章はフランスの場合に関するものである。
このようにたくさんの手当がありますが,その他にも所得税が子どもが多いほど少なくなったり,育児休暇もとりやすい職場環境が整っていたり,公共交通機関や各種施設(博物館・美術館など)が子どもがいると割引になるなど,フランス社会の子育て支援は日本とは比べ物にならないほど充実しています。日本も本気で少子化問題にとり組みたい場合は,これくらいやる必要があるのではないでしょうか?
註記)「フランスの子ども手当はこんなに手厚い! −先進国の中でも出生率回復に成功しているフランスは,子育てのための各種手当が非常に充実。少子化に悩む日本が参考にできる部分は多くあるです」,https://allabout.co.jp/gm/gc/43675/3/ ←この頁は参照に値する。
その記述中に出てくる諸手当を合計してみたらよい。本ブログ筆者のいって〔要求して〕いる中身(金額水準に対する要求)は,別に突飛な発想でもなんでもない。
日本の子ども手当も,制度的には一定程度整備されてはいるものの,その現実的な影響力において力量不足がめだつのであり,当面する課題を切開し,進展させるほどに充実していない。それと同時に「子どもを産める年齢層の女性たち」が,結婚そのものにまでたどりにくくなっている社会的な状況もある。つまり,単に子ども手当だけの問題が少子化をかこむ日本国の問題ではなく,問題はもっと複雑・多様である。原発の問題から話題がだいぶズレてきた。以上の記述では,論点をあえて単純化した論及に留めている。
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〔※ 明日以降に続く〕 続編の記述ができしだい,ここにリンクを張る予定である(2016年12月2日に設定済み)。
もんじゅ は やく1ちょうえんの こくひをかけ 20ねんいじょう うんてんできなかった。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/koso/siryo/koso01/siryo07.htm
「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故の概要
1. 事故の原因究明等
(1) 事故の概要
試運転中の高速増殖原型炉もんじゅで、1995年12月8日19時47分、2次冷却系配管(Cループ中間熱交換器出口配管)からナトリウムが漏えいする事故が発生しました。
「もんじゅ」は、1994年4月初臨界達成後、原子炉の特性を確認し、1995年2月より 原子炉出力を段階的に上げる試運転を進めました。ナトリウム漏えい事故は、原子炉出力約45%での試験のために、原子炉出力を徐々に上昇させる操作を行っている時に発生しました。
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ふくしまの げんぱつは ばくはつするし もんじゅは ほとんど うごかないまま じこ なのに まだ やる ゆしゅつもする。
よのなかは まったく りくつじゃないのですね。
核燃(かくねん)サイクル 米(べい) 英(えい) 独(どく)が90ねんだい ぜんはんまでに てったい
仏(ふつ)も ていしじょうたい
いま 高速(こうそく)増殖(ぞうしょく)炉(ろ)の 開発(かいはつ)すすめているのは ロシア 中国(ちゅうごく) インド
国家(こっか)がつよくかんよし けいざいせいきにせず かいはつ すすめられるくに。
核燃(かくねん)サイクル じつようかしないのは
@ 高速(こうそく)増殖(ぞうしょく)炉(ろ)のあんぜんせいに もんだいがある
A プルトニウムが かくへいきの ざいりょうになる
B プルトニウムはつでんは けいざいてきにあわない
にほんは 日米(にちべい)原子力(げんしりょく)協定(きょうてい)で 再処理(さいしょり)が みとめられている。
協定は2018ねんに かいていされる。
こんご つかいみちのない プルトニウムがふえれば 協定の 改定(かいてい)交渉(こうしょう)に えいきょうがでるかのうせいがある。
http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/2016-12-01.html
2016年12月01日
もんじゅの後継炉を開発するというこの悪い冗談話は,原発事業のブラック化であり,原爆=原発「体制の維持」(その1)
【〈永遠なる無駄づかい〉である高速増殖炉事業を再開するという奇怪】
【いわば狂気に近い原発事業維持政策の無意味さ,そのための国家予算が確保できるならば,少子化対策に振り向けよ】
【経済計算では計りきれない損失を発生しつつあるもんじゅは,フランケンシュタイン的モンスター,つまり原発推進体制ゾンビの代表格であった。その後継炉の開発・推進をするというのだから,まさしく狂気の沙汰】
本日〔2016年12月1日,一部は11月30日夕刊も含む〕の『朝日新聞』と『日本経済新聞』から引用するかたちで説明していくが,とくに,高速増殖炉もんじゅの後継炉の「開発」を決めたという,ほとんど〈狂気の沙汰〉的な国家の意思決定が大問題である。
いまどきにおいて,高速増殖炉の商用化に向けて『開発を推進させる』という国家事業が,いかに〔安倍晋三流にいえば〕「無駄,無駄,無駄……」(最近の国会審議における彼の無礼な発言)であるかは,すでに重々思いしらされている。にもかかわらず,いまさらのようにあえてでも,もんじゅ後継炉の開発を再開・推進するといのだから,これほどにまで分かりきった「超・偉大なる無駄づかい」をみこんだ企画はない。
出所)http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-19734
本日の記述は,関連する「本日の記事」だけの紹介にしておきたいのだが,筆者の論評・批判は最小限でも入れないでは済まない。安倍晋三政権下,高速増殖炉「もんじゅ」の後継炉でもって,その商用化にまで漕ぎつけたいというような国家次元の欲望は,いったいどこから出てくるのか。それは一方では,この原子炉の夢のような核燃料サイクル再生産の仕組(厳密にいえばその商用化を成就させている国はない)にあり,また他方では,プルトニウムが核兵器の原料である事実に深く関係している。
原発の経済性問題はすでに確実に「まったく割りが合わない趨勢」に向かいはじめている。いまは自然・再生可能エネルギーの開発・利用に向かうことが,もっとも賢明かつ合理的なエネルギー資源獲得の方法であり,実際にそのように実現させている国々もある。
この点では日本は完全に遅れをとっている。そのなかでの本日の報道のような「もんじゅ後継炉の開発推進政策の再開」である。狂気だと形容したこの一点は,以下の記事を読むなかで感じとってほしい核心である。原子力村は健在であるが,不健康な状態での実在である。
植田和弘監修,大島堅一・高橋 洋編著『地域分散型エネルギーシステム』(日本評論社,2016年)は,原発に依存して電気エネルギーをえる方策が,いかに無駄に満ちているかを文句なしに,異論を挟める余地もないくらいに説明している。参考文献として挙げておく。
@「もんじゅ後継炉、開発推進 10年かけ基本設計 政府方針」(『朝日新聞』2016年11月30日夕刊)
政府は〔11月〕30日,廃炉を検討中の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)に代わる「高速実証炉」の開発方針を示した。フランスなど海外との協力や,もんじゅなどの国内施設を活用し,今後10年程度で基本的設計を固める。国費1兆円超を費やしたもんじゅの検証がないまま,開発が進められる。
文部科学省と経済産業省が同日,開発方針の骨子案を政府の「高速炉開発会議」(議長・世耕弘成経産相)に示した。政府は年内にも,こうした基本方針を原子力関係閣僚会議で決め,2018年をめどに開発に向けた工程表をつくる。骨子案では,原発から出る使用済み核燃料を再処理して利用するという「核燃料サイクル」を推進する方針を再確認。「世界最高レベルの高速炉の開発,実用化」を国家目標にかかげた。
高速炉開発は実験炉,原型炉,実証炉と進み,商用炉で実用化となる。骨子案は,原型炉もんじゅの後継となる実証炉開発を「最重要」と強調。そのうえで,フランスの次世代高速実証炉「ASTRID(アストリッド)」など海外施設と連携する方針を明記し,10年程度かけて「基本的設計思想と開発体制を固めていく」とした。新たな実証炉は国内に設置する方針だが,具体的な場所などの言及はなかった。
一方,今〔2016〕年9月に「廃炉を含め」見直すと決めたもんじゅについては,人材やこれまでにえられた知見などを実証炉開発に「活用」すると盛りこんだ。ただ,トラブル続きでほとんど運転実績がないことへの検証はされず,「廃炉」の進め方には触れなかった。
◆キーワード◆
「高速炉」とは,プルトニウムを燃やしやすくした原子炉。普通の原子炉は主にウランを燃やすため,核分裂で出る中性子を水で減速させているが,プルトニウムが燃焼しやすいよう高速のまま使う。運転しながら,ウランから新たなプルトニウムを作る高速増殖炉も高速炉の一つ。
出所)『朝日新聞』より,http://togetter.com/li/900138
★「高速炉開発の方針」骨子案のポイント ★
・核燃料サイクルを推進し,高速炉の研究開発に取り組む
・2018年をめどに,具体的な工程表を策定
・今後10年で実証炉の基本設計や開発体制を固める
・フランスの次世代高速実証炉「ASTRID」など,海外と協力
・「もんじゅ」や,実験炉「常陽」(茨城県大洗町)も活用
A「もんじゅ後継,国内に実証炉 開発体制,〔20〕18年めど 政府会議方針」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊1面)
政府の高速炉開発会議は〔11月〕30日,廃炉が検討されている高速増殖原型炉もんじゅに代わり,より実用化に近い実証炉を国内に建設するなどとする開発方針の骨子を公表した。2018年をめどに約10年間の開発体制を固める。約1兆円の国費をかけ,20年以上ほとんど運転できなかったもんじゅの反省は生かされず,高速炉開発ありきの議論が進む。(▼3面=降ろせぬ旗,14面=社説,15面=耕論)
補注)またもや〈壮大なる無駄づかい〉でしかありえない「原子力事業の一環」として,高速増殖炉の再開・推進が決められた。
会議は世耕弘成経済産業相が議長。松野博一文部科学相や日本原子力研究開発機構,電気事業連合会,三菱重工業がメンバー。骨子では,もんじゅを再運転した場合にえられる技術的な成果を「ほかの方法でも代替可能」と評価。蓄積された成果は活用するとしつつ,廃炉にしても実証炉建設への影響はないと結論づけた。もんじゅについて政府は廃炉を含め抜本的な見直しを決めている。
補注)ここで「蓄積された成果」とはなにを意味するのか? 「失敗は成功のもと」だといわれるが,もんじゅは「失敗するまえに失敗している」高速増殖炉ではなかったのか? この失敗の歴史さえ認めていない高速増殖炉「もんじゅ」事業の不首尾な推移であるからこそ,そのように詭弁以前の問答無用的な判断によって,高速増殖炉「開発・推進」を再度試みなおすというのである。だが,その実態は「賽の河原」でしかない。
高速炉は「実験炉」「原型炉」「実証炉」と進み,「商用炉」で実用化する。安全性の確認や発電技術の確立など,原型炉もんじゅで終えるべき課題を残し,つぎの実証炉に進むかたちだ。
出所)『朝日新聞』より,http://togetter.com/li/900138
補注)ここでは「実験炉」⇒「原型炉」⇒「実証炉」⇒「商用炉」へと進展させうる技術的・経済的な保障が,完全にといっていいほどなかった事実史だけは,あらためて指摘しておく。ここまで話題に接近してみると,すでにことば遊びのような次元においてのみ,高速増殖炉の「有用性」が強調されていることが実感できる。
政府は,もんじゅを廃炉にした場合でも,フランスが2030年ごろの運転開始をめざす実証炉「ASTRID(アストリッド)」計画に協力することで高速炉開発を維持するとしてきた。だが同会議は,エネルギー政策の根幹とされてきた核燃料サイクル事業の施設を不確実性のある海外の計画だけに頼るのはリスクがあるとの批判も考慮し,国内での実証炉開発を明示した。
実証炉の建設時期や場所は未定。来〔2017〕年初めから実務レベルの作業グループを置き工程表策定を進める。骨子にはアストリッド計画を補完する施設として,原子力機構の高速増殖実験炉「常陽」やナトリウム研究施設「AtheNa(アテナ)」(いずれも茨城県)などの国内研究施設も示された。
B「高速炉,降ろせぬ旗 もんじゅ後継,国内に」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊3面)
政府の「高速炉開発会議」で,実証炉の国内建設をめざす方針が示された。研究段階の原型炉「もんじゅ」の開発に失敗したのに,実用化に向けてつぎの段階に進もうとしている。なぜ,高速炉開発に固執するのか。(▼1面参照)
1)使用済み燃料,行き場なし
「核燃料サイクルを止めれば,『パンドラの箱』が開いてしまう。高速炉開発を続ける意思を示す計画は,箱を封印する『お札』のようなものだ」。経済産業省幹部は,核燃サイクルと高速炉開発の旗を降ろせない理由を説明する。
補注)パンドラの箱はすでに開いている状態であるのに,このように完全に奇妙な修辞となっている。原発事業そのものが初めからパンドラの箱を開け放った事実を意味していた。このことは,原発事故(1979年3月28日「スリーマイル島」→1986年4月26日「チェルノブイリ」→2011年3月11日「フクシマ」)の3事故によって,嫌というほどに確認させられたはずである。
原発事故がほかの諸事故と根本的な性格を異ならせるのは,その規模が時間的にも空間的にも,そして経費的にも手間的にもとてつもない次元・範囲にまで拡大・浸透していくばかりであって,これが収まるところがみいだせないでいるせいである。
出所)右側画像は「パンドラの箱」の想像例,http://blog.livedoor.jp/dq10tumurin/archives/4027682.html
現に,チェルノブイリ原発事故の後始末,第2次の石棺化作業は依然つづいている。東電福島第1原発事故現場の後始末は,これからであるというほかなく,いつになったら本格的に「デブリとり出し作業が開始できる」ことになるのか,さっぱり見通しすらついていない。実質的には停頓状態にある。高速増殖炉は日本国中の原発(原子炉)の存在を技術的な与件(前提)としている。
原発事業全体を止めるという賢明なエネルギー政策に踏み切れない日本は,今後も確たる見通しもつかないまま,ともかく非常に高額な国家予算を投入してでも〔多分無駄づかいになるほかないが〕,高速増殖炉の開発・利用に向かい,これからも努力だけはするといいつづけている。だが,すでに半世紀もうまくいっていない高速増殖炉の実験化段階が,いつになったら商用化段階にまで到達できるのか? この点はいまなお不詳である。
核燃サイクルは,原子力発電所から出る使用済み燃料を再処理し,とり出したプルトニウムを燃やす。高速炉はプルトニウムを燃やしやすくした原子炉。高速炉開発を止めれば,使用済み燃料は「ゴミ」となり,青森県六ケ所村の施設で保管する理由がなくなる。政府が高速炉にこだわる理由のもう一つは,日本が保有する48トンのプルトニウム(原爆約6千発分)だ。核兵器の原料にもなり,使うみこみなくもちつづければ,国際社会から核武装の懸念が出る恐れがある。
補注)高速増殖炉の実用化が実現できなければ,原発が出す使用済み核燃料は「トイレのないマンション」のどこかに,それこそ肥溜め状態でかかえておくほかない。糞尿ならば臭いだけであるけれでも,使用済み核燃料は放射性物質を濃度を下げているとはいえ,いつまでも発散させつづけていく危険物,いうなれば厄介モノなのである。そこで高速増殖炉の出番となるわけであるが,これがうまくいかない。厳密にいうと「本格的な商用化」(経済計算面で判断し,民間企業で採算がとれるという意味で)が高速増殖炉で成功している事例はない。
2018年7月には,日本で原発を動かすことを認める日米原子力協定が期限を迎える。協定は核兵器を製造しないことを条件に,使用済み燃料からプルトニウムをとり出すことを認めている。再処理を続けつつ高速炉開発を止まれば,保有量の増加に抑えが利かず,外務省幹部は「協定の改定に影響が出ないとも限らない」という。
もんじゅの地元への配慮もある。福井県の西川一誠知事は11月25日,文部科学,経産両大臣に「地元は積極的に協力してきた。あやふやなかたちで店じまいをするようでは困る」と反発。核燃サイクルの堅持と,もんじゅを中核拠点とした県の開発構想への影響を訴える。
出所)左側画像は,http://kamesienne.blog27.fc2.com/blog-entry-290.html
補注)原発事業に地域社会・地方都市の生存をかけたかのような行き方は,露骨な表現になるが「寄生虫的な生き方」である。電力会社からのおこぼれで地方自治体が寿命を長らえているかのような「原発という麻薬への依存症」は,自然・再生可能エネルギーの開発・利用によって「町おこし」につなげる方途とは,百八十度,方向性を逆にしている。
−−ここまで記事を読んだだけでも分かるように,将来に向けて高速増殖炉の開発を推進させるとはいっているものの,結局は目先の利害にそれぞれの関係利害者・組織・官庁がこだわっている様相しかみえてこない。それがゆえの「関連する諸事情の進行」になっている。
そもそも,高速増殖炉の実用化・商用化は,原発の電力を生産するためのコストがほかの発電方式に比較して,無条件に一番安価であるという条件(要求)を満たすために,つまりその根拠を提供するためには,どうしても必要不可欠であった。しかし,この高速増殖炉の実用化(商用化)が本格的に実現されることがないまま,ずるずると半世紀も時間を費やしてきた。いまもなお,いっこうにらちがあかない原発技術が高速増殖炉である。
要は金喰い虫でしかない高速増殖炉へのこだわりは,原発体制そのものへのこだわりそのものである。日本は,ドイツやイタリアのように「原発からの乳離れ」ができない国でありつづけたきた。したがっていまもな,原発にすがるような「電源構成比率の発想」を捨てきれないでいる。もっとも「3・11」後において記録されてもいるように,2013年9月から2015年8月まで,原発ゼロでも電力確保のできる国であることは実証されている。ところが,こうした事実は直視したくないのが「日本原子力村の利害関係集団」である。
2)常道外れた実証炉開発 〔←ここで記事本文に戻る〕
原発の開発は,実験炉から原型炉,実証炉を経て実用化をめざす。それは開発の常道だ。高速増殖原型炉「もんじゅ」は高速炉の実用化に向け,基本的な発電性能や安全性を確認する役割を担っていた。
しかし,出力100%で運転したことは一度もなく,事故を起こして20年以上もまともに運転できなかった。そのため,性能も安全性も十分には確認できていない。にもかかわらず,高速炉開発会議は,今後10年程度で実証炉の基本的設計思想を固めるとする。出力100%運転時のデータや発電性能,信頼性の確認などは,フランスの実証炉「ASTRID(アストリッド)」などで蓄積できるとした。
ところが,2030年ごろの運転開始をめざすとされるアストリッドは,建設されるかどうかさえ不透明。日本が期待するデータがえられたとしても,遠い将来だ。原子力委員会の前委員長代理の鈴木達治郎・長崎大学教授は「いまのような透明性のない議論をしていては,世界から,日本はいったいプルトニウムをなにに使うのかと疑われ,信頼されなくなる」と話している。
C「廃止,当面10年で2170億円 東海再処理施設,廃棄物山積み 原子力機構70年計画」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊7面)
日本原子力研究開発機構は〔11月〕30日,原発の使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」(茨城県)の廃止に向けた工程を原子力規制委員会に報告した。廃止完了までに70年かかり,当面の10年間に必要な費用は2170億円余りとみこむ。施設には放射能が強い大量の廃液や,プールの底に山積みされた放射性廃棄物があり,廃止はきわめて困難な作業となる。
「規制委から疑問も」 報告によると,廃止作業は汚染状況の調査や設備の除染から始め,10年後以降に機器の解体や建屋の除染にとりかかる。再処理で出た高レベル放射性廃液が約400立方メートルあり,12年半かけてガラスで固める作業を続ける。防火や耐震対策などが国の新規制基準に適合しておらず,その対策も合わせて進める。
ただ,ガラスで固める設備は老朽化で故障が相次ぎ,今〔2016〕年は予定の4分の1しか処理できなかった。中身がよくわからない廃棄物の容器が多数あり,確認のうえ分別しなければならない。使用済み燃料の被覆管が入ったドラム缶は貯蔵プールの底に整理されずに山積みされている。作業のための取出し装置を新たにつくる必要がある。
こうした状況から,規制委は,計画どおりに廃止作業が進むか疑問を呈している。田中俊一委員長は〔11月〕30日の会見で,「非常にリスクの高い廃棄物が相当ある。ずるずる放置するわけにはいかない」と述べ,原子力機構や所管する文部科学省にあらためて説明を求める考えを示した。(記事引用終わり)
−−原発を廃炉にしたあと,その後始末にかかる経費は,他のすべての装置・機械類に比較すると,膨大だと形容したらよいほど非常に高額であり,しかもその後始末のためにかかる時間も非常に長期である。原発コスト「安価」論はすでに神話の地位から転げ落ちているにもかかわらず,この安価論がいまだに信仰されているのだから,恐るべき邪教が日本の電力産業のなかでは猛威を振るっているわけである。
出所)http://nonukes.exblog.jp/21746678/
◇ 福島原発事故 廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 ◇
=『毎日新聞』2016年11月27日 21時38分,最終更新 11月28日 06時47分 =
東京電力福島第1原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超に上り,従来の政府想定のほぼ2倍に膨らむと経済産業省が試算していることが〔11月〕27日,分かった。政府は拡大する費用の一部を東電を含めた大手電力と新電力(電力自由化で新規参入した業者)の電気料金に上乗せする方針で,国民負担の増大は必至だ。
経産省は,東電の経営改革や資金確保策を協議する有識者会議を開催しており,年内にも結論を出す方針。試算は会議の議論のベースになるとみられる。政府の従来の想定は,
賠 償 = 5.4兆円
▽除 染 = 2.5兆円
▽汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備= 1.1兆円
▽廃 炉 = 2兆円の計 11兆円
となっていた。新たな試算は,賠償が約8兆円,除染が4兆〜5兆円程度に膨らむ見通し。廃炉も従来の2兆円が数兆円規模で拡大する公算が大きい。中間貯蔵施設の整備費は変わらないが,全体では20兆円を上回るみこみとなった。
政府の従来想定は2013年末時点に見積もったが,賠償や除染の対象が増加している。廃炉も原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取出し費用などが拡大。経産省は既に現状で年800億円の費用が年数千億円程度に達するとの試算を明らかにしている。
費用の工面について,政府はこれまで,賠償は国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構がいったん立て替え,東電を中心に大手電力が最終的に負担金を支払い,▽除染は国が保有する東電株の売却益を充当,▽中間貯蔵施設は電源開発促進税を投入,▽廃炉は東電が準備−−との枠組みを示してきた。
政府は,賠償費の増加分について,原子力損害賠償・廃炉等支援機構の立て替え増額を検討。これとは別に,大手電力や新電力が送電会社の送電線を利用する料金への上乗せも検討している。この料金は政府の認可制となっており,最終的に電気料金に転嫁される。除染費も東電株の売却益で賄えない可能性が高く,東電などに負担を求める案が検討されている。その場合,最終的に電気料金に転嫁される可能性がある。
廃炉費は,東電が他社との提携などによる経営効率化で捻出した資金を積み立てる制度の創設を検討する。ただ,東電が経営努力のみで賄いきれるかは不透明で,電気料金の引き上げにつながる可能性もある。
註記)http://mainichi.jp/articles/20161128/k00/00m/040/085000c
東電は「3・11」以後すでに,ゾンビの電力会社になっていた。しかし,このように生かして継続企業にさせている。そういう事情であるから当然のように,あちこちに無理・矛盾が露呈されるほかない経営状態に置かれている。テレビのニュースなどを介して,東電の現社長廣瀬直己の表情を観るときがよくあるが,この会社の雰囲気が伝わってくるような印象を強く受ける。
出所)画像は廣瀬直己,http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13151523973
D「〈社説〉もんじゅ後継 無責任さにあきれる」(『朝日新聞』2016年12月1日朝刊)
利害関係者だけが集まり,密室で不合理な政策を決めていく。手痛い失敗の検証や反省がないまま,成否が見通せない巨額のプロジェクトに突き進む。政府はきのう,非公開の会議で,高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の後継となる高速実証炉の開発を国内で進める方針を示した。無責任さに驚き,あきれる。
1兆円超を投じたもんじゅは,1994年の初臨界からの20年余で,わずか220日ほどしか動いていない。扱いの難しい冷却用ナトリウムを漏らすなど,事故を起こしたからだ。開発の最初の段階にあたる実験炉「常陽」の稼働実績はもんじゅの十数倍,約3千日だ。技術開発は,段階が進むとまさに段違いに難しくなる。
政府がめざす高速炉は,もんじゅのように炉内で燃料のプルトニウムを増やしていく増殖機能はないが,原理は同じだ。原型炉さえ満足に動かせなかったのに,安上がりで安全な実証炉を造れるのか。国際協力を踏まえるというが,頼りにする仏「ASTRID(アストリッド)」計画は,仏政府が建設の是非を数年後に決めるという段階だ。
そもそも,議論の場がおかしい。きのうの会議の参加者は経済産業相や文部科学相,電力会社でつくる電気事業連合会,原子炉メーカーの三菱重工業,もんじゅの運営主体である日本原子力研究開発機構と,もんじゅの関係者ばかり。原子力機構の2人は三菱重工業と文科省の出身で,役所と企業の思惑だけで話を進めていると言っていい。
なぜ,ここまで高速炉開発にこだわるのか。
原発で生じた使用済み核燃料を再処理し,とり出したプルトニウムを燃料に使う。その核燃料サイクルの中核に位置づけてきたのがもんじゅだ。もんじゅ廃炉の方向性は示したものの,後釜を欠けばサイクルが崩壊し原発推進にも影響しかねない。そんな危機感があるのだろう。
だが日本はすでにプルトニウムを48トン,通常の原爆で6千発分を保有する。高速炉の実用化に具体的な展望がないいま,経済性も欠くサイクルへのこだわりは国際的な疑念を招くだけだ。
原子力行政については,一度決めた政策に固執する硬直性への批判が根強い。それでも福島第1原発事故後は,利害や経緯にとらわれない議論の大切さが広く認識されるようになった。政府はいま,過去の教訓に目をつぶり,お手盛りの会議で,疑問だらけの高速炉開発に税金をつぎこもうとしている。こんな愚行は許されない。
−−この社説の批判はしごく正当である。このような「高速炉開発に税金をつぎこもうとしている」「こんな愚行は許されない」ことは,自明である。同じ国家予算を投入するにしても,日本社会全体のためによりよく生産的に活かせる分野・領域が,ほかにいくらでもある。
最近においてたとえば,教育面での話題をみれば,野菜類が高くなってしまい学校給食を2週間休止したいと決めたが,反対があってそうはしなかったとか,無償(返済義務なし)の奨学金制度を何万人かに給付するとかいったふうな,実にみみっちい(?)話題がいまの日本社会のなかでは,いっそう切実な現実の問題として話題になっている。
そうした国家予算の現状のなかで,高速増殖炉に投入している国家予算は,基本的に無駄金の浪費になっている。そうではなく,自然・再生可能エネルギーの開発・利用の方面に,その資金を投入するのもいいし,あるいは,社会保障制度を支えるためにその金額を振り向けたほうが,どのくらい日本社会のためになるか。この程度のことも分からないというでもいうのか?
たとえば少子化で困っている? 子ども1人生んだ世帯(片親の1人所帯でも同じに処遇する)には無条件,生活保護水準の給付金(1世帯分,ここでは1ヵ月に15万円としておくが)を支出すればよい。2人目を生んだらその2倍給付してあげればいい。そうすれば,そのための能力を有する夫婦などがその気になってくれる場合が大いに高まり,その多くが喜んで人間再生産作業に励んでくれることが期待できる。以上は,現状において制度化されている出産関係や子ども関係の諸手当に対して,さらに上乗せすればよい話題として提示している。
出所)https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160502-OYTET50020/
現在,出生数は100万人を少し超える程度であるが,これをなるべく増やすための算段を必死になっておこなったらよい。たとえばまた,子ども3人生んだら,この子どもたちが18歳になるまでは両親の年収にプラス300万円(子ども1人 × 100万円,年額−−前段の話とは金額に差があるが,あくまで考え方そのもに関する単なる例示なので,そのあたりは気にしないでほしい)を給付してあげればいい(この程度のことは実質的におこなっている先進国がある)。ここでつぎのように計算してみる。
仮に子どもが「2人がいる」世帯のための給付されるべき予算総額(「 100万人 × 2人」× 100万円)は,2兆円である。戦争中は戦争のための人的資源を確保するためであったが「産めよ,殖やせよ」と,帝国臣民に対していたずらにせかしていた(兵隊さんとして軍隊にとられるのは20歳になってからだったから長期計画であったといえるが,その前に大日本帝国は「敗戦」していた)。だが,21世紀のいまにおける人口減少という事態は,また別の意味で国家にとって由々しき問題である。戦争のためであれ平和のためであれ,とりあえずはそのようにいっておけばよい。
2兆円は消費税のほぼ1%分である。もんじゅなど高速増殖炉の実用化のために無駄に浪費してきた金額は,つぎのようになっている。これはあくまで,国家側の担当機関が公表した数値・統計である。(画面 クリックで 拡大・可)
出所)http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/12/28/1365680_03.pdf
きわめて単純明快な主張をする。高速増殖炉の開発促進のためにかける予算があるなら,とりあえず,その枠はすべて少子化対策のために向けたらよい。そうしたほうがよほど,日本の国家利益のためになるのではないか。再生可能エネルギーの開発・利用の問題もあるが,ここではひとまず,別途にそのようにも関連づけていっておく。つぎの文章はフランスの場合に関するものである。
このようにたくさんの手当がありますが,その他にも所得税が子どもが多いほど少なくなったり,育児休暇もとりやすい職場環境が整っていたり,公共交通機関や各種施設(博物館・美術館など)が子どもがいると割引になるなど,フランス社会の子育て支援は日本とは比べ物にならないほど充実しています。日本も本気で少子化問題にとり組みたい場合は,これくらいやる必要があるのではないでしょうか?
註記)「フランスの子ども手当はこんなに手厚い! −先進国の中でも出生率回復に成功しているフランスは,子育てのための各種手当が非常に充実。少子化に悩む日本が参考にできる部分は多くあるです」,https://allabout.co.jp/gm/gc/43675/3/ ←この頁は参照に値する。
その記述中に出てくる諸手当を合計してみたらよい。本ブログ筆者のいって〔要求して〕いる中身(金額水準に対する要求)は,別に突飛な発想でもなんでもない。
日本の子ども手当も,制度的には一定程度整備されてはいるものの,その現実的な影響力において力量不足がめだつのであり,当面する課題を切開し,進展させるほどに充実していない。それと同時に「子どもを産める年齢層の女性たち」が,結婚そのものにまでたどりにくくなっている社会的な状況もある。つまり,単に子ども手当だけの問題が少子化をかこむ日本国の問題ではなく,問題はもっと複雑・多様である。原発の問題から話題がだいぶズレてきた。以上の記述では,論点をあえて単純化した論及に留めている。
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〔※ 明日以降に続く〕 続編の記述ができしだい,ここにリンクを張る予定である(2016年12月2日に設定済み)。
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