2018年05月27日
人気の「新撰組物語」その11 鬼の副長・土方の生涯
人気の「新撰組物語」その11
土方歳三
土方歳三の年齢と共に彼の生涯を追って行きましょう
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1835年 (天保6年) 5月5日(火)生まれ
歳三は武蔵国多摩郡石田村・現在の東京都日野市石田の裕福な農家に10人兄弟の末っ子(歳三は四男で兄が3人と姉が6人)として生まれます。残念ながら父親は歳三の生まれる3ヶ月前の2月5日に結核で亡く為って居ます。
1840年(天保11年) 6歳
この年、母親も結核で死去。長男は目が不自由であった為歳三の養育は次男夫婦に任される事と為ります。少年期の歳三は村でも有名なヤンチャ者で触ると痛いイバラの様な乱暴さと云う意味で" バラガキ "と呼ばれて居たんだとか。又、この頃から武士に憧れ「武士に為ったらこの竹で矢を作るんだ」と植えた竹が現在でも生家に残されて居ます。
1845年(弘化2年) 11歳
江戸上野の「いとう松坂屋呉服店」に丁稚奉公に上がるが、店の者に酷く叱られたのに耐え切れず、その日夜を徹して十里(約40キロ)の道を歩き通し日野に帰って来たと云う話が残されて居ます。未だ11歳の少年である歳三。納得の出来ない事は我慢為ら無いと云う意地っ張りな性格とその大胆な行動力に只々驚嘆するばかり。
1846年(弘化3年) 12歳
この年は長雨が続きで、遂に6月末多摩川や浅川の堤防が決壊します。万願寺や石田方面は大洪水に見舞われ歳三の生家も納屋と土蔵一棟が水害に遭い、次第に主屋も危険に為って行きました。そこで近隣の人達の協力の基、家の一部を解体し移転。それが現存する歳三の生家です。
1851年(嘉永4年) 17歳
再び奉公として上がります。今度は、松坂屋上野店の支店である江戸伝馬町の木綿問屋。この時「トシさんは物差し使いが上手い」等評判も良かった様ですが女中に手を出し妊娠させる等素行に問題があった為店を辞めさせられてしまいます。
元々奉公に前向きで無かった歳三はこれ幸いと帰って来ますが、兄達に責任を問い詰められ仕方無く夜を徹し江戸へ戻り、その女中との不始末を清算して帰宅したと言います。その後は故郷の義兄である佐藤彦五郎達の世話に為りながら成長して行きます。彦五郎の下で歳三が熱中したのは剣の修行でした。
当時、役人の少ない多摩では農民自身が治安を守れる様に剣術が盛んだったのです。そこに剣術を教えに来ていた近藤勇(18)沖田総司(9)と出会い剣で身を立て様と考え始めます。
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1853年(嘉永6年) 19歳
ペリーの黒船が来航したこの年、外国の圧力によって開国したばかりの日本は西洋諸国に侵略されるのでは無いかとの不安が国内に広がり始めて居ました。
この頃の歳三は骨接ぎ・打身の治療に良く効くとされる150年来の家伝薬" 石田散薬 "の行商をしながら合間を見つけては剣の練習に励む毎日。因みに、この石田散薬は石田村の人達が総出で製造の手伝いをして呉れていたもので、歳三は、そこに集まった人達を嬉々として指揮したと言われて居ます。元々組織を動かすのに才能があったのでしょうね。
1859年(安政6年) 25歳
4月11日 予てより稽古を積んで来た天然理心流に正式入門します。道場に程近い日野八坂神社では土方達が夢を託したと言われるものが今でも残っています。
それは古代中国の英雄「劉邦(りゅうほう)」の彫刻。劉邦とは、農民出身にも関わらず中国を統一し漢帝国の初代皇帝にまで登り詰めた人物。この彫刻を眺めながら農民である自分達も天下国家を担う様なスケールの大きい人間に為りたいと語り合ったと伝えられています。
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1860年(万延1年) 26歳
幼い頃養育をして呉れて居た次兄が40歳で急死。この頃の歳三は近藤と共に谷保村(現在の国立市)で村医者をして居る親戚の本田覚庵(ほんだかくあん)の元を度々訪問し、漢学・書道を習いました。
1861年(文久1年) 27歳
8月27日 武蔵総社六社宮(現在の大國魂神社)にて近藤が天然理心流4代目を継承する記念の「 四代目襲名披露の野試合 」を開催。源平の合戦になぞらえた紅白試合で歳三は紅組の大将を守る役で出場、型試合を披露。
1863年(文久3年) 29歳 京都へ
1月 何れ手柄を立てて武士に取り立てられたいと願う土方達の基に朗報が舞い込みました。京都警護の為に剣客を募集すると言う幕府の知らせです。腕さえ確かなら身分・年齢は問わ無いと云う画期的な条件。
当時の京都は、幕府に反発する浪士が暗殺事件を度々起こし治安が乱れていました。土方達が鍛錬を重ねた剣を活かせるこの上無い場です。
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2月4日 小石川伝通院にて浪士隊234名が顔合わせを行い
2月5日 浪士隊編成と諸注意が伝えられます。
2月8日 将軍・徳川家茂警護の為の浪士組に参加。
2月23日 京都に到着、壬生に帯陣。
3月12日 会津公お預かりと為る。京都守護職として市中の見回りを始めます。
3月26日 そんな上洛して間も無い頃は、市中見回りで目立った功績も挙げられず正式な組織にも所属せず、6月3日には蜆橋(しじみばし)にて大坂力士と乱闘事件を、更に8月13日には芹沢鴨が大和屋庄兵衛宅の焼き打ち等立て続けに問題を起こしてしまいます。都の人々からは"腕っぷしだけで街をウロツク野暮で危険な他所者達"と冷ややかな眼差しを向けられ苦しい状況でした。そんな彼らが初めて功績を認められたのが8月18日の政変。
長州藩と一部の公家が会津藩・薩摩藩を中心とした勢力によって御所から追放されたのです。締め出された長州が逆襲して来る恐れがある為、会津藩の軍が御所の守りを固め無くては為りません。そこで人手不足の会津から土方ら浪士組にも出動要請が届きます。
これは天皇が住まう御所を武家の名門である会津藩の要請で守ると云うとても名誉な事だったのです。浪士組は御所の東側にある仙洞御所(せんとうごしょ)を守る様命じられました。この時に配られたのは黄色い襷(たすき)。会津藩が戦闘の際に敵味方を区別する為に身に着ける何て事の無い物。しかし土方達に取っては伝統と権威ある会津藩を背負った事を意味する重要なものでした。
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その後、御所により近い健礼門(けんれいもん)へと配置が変わりました。浪士組が信頼を得た事が伺えます。又、局長を始めとした組織形成を取って居りそれに沿った働きを行っていた点でも只の浪人の集まりでは無いと高く評価されました。
これらの功績がやっと認められ会津藩から遂に「新選組」の名を拝命する事と為りました。この名は、過つて会津で藩主の本陣を守った精鋭部隊の名称でもあり彼等はこの名誉ある名のもとより危険な任務へと身を投じて行きます。
そんな栄光の影で新選組内部には亀裂が入って行きます。素行の悪さに頭を痛めた会津藩から、とある人物の暗殺要請が出されてしまいました、それは芹沢一派。
9月9日 祇園山緒にて局長新見錦を切腹に処します。
9月18日 には泥酔して眠っている芹沢一派を惨殺。この様な出来事を乗り越え京の大都会で華々しく活躍を始めた新選組。
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1864年(元治1年) 30歳
5月下旬 炭薪商の古高俊太郎を捕え拷問の末(8月18日の政変の後に)京を追われた長州人らが6月下旬の強風の日を選んで御所に火を放ち、その混乱に乗じて中川宮朝彦親王(なかがわのみや あさひこしんのう)を幽閉、一橋慶喜・松平容保らを暗殺し、孝明天皇を長州へ連れ去る計画がある事を自白させました。
6月5日 池田屋事件
古高の自白から隊士を近藤・土方の二手に分け捜索して居た新選組は、近藤率いる半隊が藩士達の潜む旅館を発見し22:00頃(4名で)斬り込みます。一方、過激派の藩士たち(20名以上)は早くから近藤たちの気配を察知、抜刀し待ち構えていました。
その知らせを聞いた土方は、直ぐ様池田屋の応援に駆け着けましたが直ちに突入はせず、池田屋の周りを固め、後から駆け着けた会津藩・桑名藩の兵を池田屋に入れさせようとせず、未だ立場の弱かった新選組の手柄を守ったと言われています。土方らしい冷静で機転の利いたエピソードです。この働きにより、新選組の名は天下に轟き土方は23両(約70万円)もの恩賞を賜ります。
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7月18日 禁門の変が勃発し、九条河原に出陣します。
11月 伊東甲子太郎入隊。
1865年(慶応1年) 31歳
2月23日 山南敬助が脱走の罪により切腹。映画やドラマ等では当たり前の様に土方と山南の確執が取り上げられて居ますが実の処真相は定かではありません。
江戸の試衛館で剣術に明け暮れて居た頃からの同士です。反りが合わ無いや意見の相違等は今更分かり切った事と言えます。山南は新選組内での居場所がもう無いと感じて居た。だからこそ切腹の為に脱走をしたのではないでしょうか。山南の切腹後、近藤も土方も沖田も山南の命日には欠かさず墓参りをしていたと言われて居ます。
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3月 西本願寺の東北の方向にある普段は使われていない北集会所(きたしゅうえじょ)・太鼓番屋・堂宇(どうう)に屯所を移転。この背景に、西本願寺が長州藩士を匿う事があったので寺の動きを内部から監視する目的も兼ねて居ました。
4月 大規模な隊士募集の為江戸に下ります。この時に新選組は総員134名にまで増大。隊が編成され隊長の下には2人の伍長が着き、伍長の下に平隊士(約5名)が編成され一隊13名程度で組織されます。新選組が戦力・組織として最も充実した時期を迎えたのです。
1866年(慶応2年) 32歳
1月22日 薩長同盟が結ばれる。
1月23日 伏見奉行所の坂本龍馬を襲撃するも逃がしてしまう。
6月7日 第二次長州征伐が開始。
8月20日 将軍 徳川家茂(21)の死亡が公表され
8月21日 には第二次長州征伐が中止されます。
8月28日 三条大橋の長州征伐制札が鴨川に投げ捨てられ
9月2日 に長州批判の制札が新たに建てられますが
9月5日 に再び三条大橋の制札が捨てられてしまいます。
9月10日 に再び三条大橋に制札が建てられるのと同時にこの制札(三条大橋の)警護を新選組が命じられました。
9月12日 制札投棄犯の土佐藩士8名と戦い1名を捕縛、1名を殺害。
12月5日 徳川慶喜が15代将軍に就任。
12月25日 考明天皇が36歳で崩御。
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1867年(慶応3年) 33歳
3月20日 伊東ら御陵衛士13名、新選組を脱退。
6月10日 新選組が幕府直参と為る事が決定。
6月15日 屯所を不動堂村に移転。
6月23日 新選組の幕臣取り立ての通達が正式に届く。
9月20日 江戸で隊士を募集する為に京都を出発。
10月14日 将軍徳川慶喜(31)が大政奉還を行います。この時土方は、江戸で隊士募集中でした。隊士募集を終えた土方は
10月21日 の朝、集った隊士を連れて江戸を出発、神奈川宿に泊まる。
10月22日 には大磯
10月23日 は箱根
10月30日 は四日市
11月3日 に京都へ到着します。
11月10日 伊東ら御陵衛士の元にスパイとして潜入させて居た斎藤が帰隊しその陰謀を聞く。
11月15日 坂本龍馬が暗殺される。
11月18日 伊東甲子太郎らを七条油小路で斬殺。
12月9日 王政復古の大号令で朝廷は江戸幕府の廃止を決定。続けて、徳川将軍に領地の返納を求めて来ました。一方的に廃止を求められた幕府勢力は反発。(これが鳥羽・伏見の戦いへと繋がります。)
12月28日 近藤勇が御陵衛士の残党に狙撃され負傷。
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1868年(慶応4年/明治元年) 34歳
1月3日 鳥羽・伏見の戦いが始まりました。旧幕府軍は朝廷を担ぐ薩摩、長州と衝突します。土方は負傷して鋳た近藤の代わりに新選組を率いて伏見奉行所を拠点に戦いましたが、新政府軍の銃撃の前に惨敗してしまいます。
この時土方は、友人の佐倉藩士 依田七郎(よだしちろう)にこう語りました。「これからの戦は、銃や大砲でなければダメだ。自分達は剣を履き、槍を取ったがひとつも役に立た無かった」と。
1月15日 敗れた旧幕府軍と土方率いる新選組は軍艦で江戸へ脱出せざる負えませんでした。江戸で土方は髷(まげ)を落とし羽織と袴も脱ぎ捨て西洋の服を身に纏い、銃を手にしたのです。部下には新式の歩兵銃や大砲など近代兵器を与え次の戦いに備えたのです。
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その12に つづく
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