2018年05月12日
モンゴル帝国の歴史 その1
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私の大好きな「モンゴル帝国」を今回取り上げます。この記事にどれだけの関心を示す人が居るのか甚だ心もとないのですが、あの小さな集団があの広大なユーラシア大陸を縦横無尽に駆け巡った様を想像するだけで歴史のロマンを感じるのです。
現在は、大相撲で活躍する外国人力士の代表格と為るモンゴル人達の故郷モンゴル共和国と云う国に為ってますが、身体つきも顔つきも日本とソックリですし小さな身体に秘めた闘志もビックリです。あれだけ広い範囲を支配した帝国は世界史史上モンゴル帝国だけです。
が、幾ら強大な帝国であっても必ず滅びるのが歴史の習わしで、中国化に染まって弱体化して明の朱元璋に追われてモンゴルの地へ逃げ去ったとか・・・海外遠征も規模が大きく、東はロシアを支配し西はインドの国境まで巡りました。皆さんと一緒にユーラシア大陸を駆け巡りましょう・・・
中国の指導者・習主席の「一帯一路」構想は、中国から西へとユーラシア大陸を席巻しヨーロッパ西端のスペインから南は地中海までの一大商圏構想なのですが、その規模の遠大さは流石大陸国家の目指すものでしょう。日本からみたものと中国を中心として作られた世界地図を比較して見ると大いに想像できます。
中国が海へ出ようとすると日本海を経て日本列島と沖縄諸島やフィリピン諸島に阻まれ南シナ海へ逃げるしかありませんが、大陸は陸続きで、ロシア・ヨーロッパ・インド・アフリカへと繋がって居ます。新たな陸のシルクロードと並行して海のシルクロード構想も練られています。サテ、モンゴル帝国の歴史を見て行きましょう・・・
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モンゴル帝国
モンゴル帝国 その1
モンゴル民族
モンゴル民族は、その昔にゲルマン民族大移動を引き起こし西ローマ帝国崩壊の切っ掛けを作ったフン族（Hun）が有名である。フィンランド(Finland)やハンガリ(Hungary)の国名はフンから来たと云う説もある。又、アメリカ原住民インディアンも、アジアからベーリング海峡を渡ったモンゴル民族である。
916 契丹の耶律阿保機(やりつあぼき)は、渤海を滅ぼして遼を建国、満州からモンゴルに至る大帝国を築いた
960 宋の建国
1038 タングートの李元昊が西夏を建国した
1115 遼の支配下にあった女真が台頭し、金を建国した
1125 金と宋の連合軍が遼を滅ぼす。遼の皇族耶律大石は、中央アジアに逃れ西遼（カラキタイ）を建国した。カラは黒、キタイは契丹のこと。
1127 宋は金の侵略で首都を奪われ、皇帝の弟高宗は江南に逃れて南宋を建国した
チンギスハンが登場する以前のモンゴル高原。西のペルシアには、セルジュク朝から分離したホラズム朝が、その西にはセルジューク朝が栄えて居た。
建国
1167年、モンゴルのビョルジン族にテムジンが誕生する。彼が9歳の時、父イェスゲイはタタール族に毒殺される。父の仇を討つ為苦労しながら育ったテムジンは、次第に優れた指導者として一目置かれる様に為り、昔の仲間が集まって来た。そして、ネストリウス派キリスト教徒のケレイトと組んでモンゴル高原の統一に動き出した。
先ず、対立関係にあったメルキトと戦ってこれを破り、次いでアルタイ山脈方面に居たナイマンを討った。そして多くの部族を服従させ、遂に1200年に父の仇タタールを滅ぼした。その後同盟関係にあったケレイトと対立してこれを滅ぼし、彼に敵対する部族はいなく為った。1206年、部族の指導者を集めたクリルタイでモンゴルの統治者大ハーン（チンギス・ハン：Genghis Khan)に選ばれモンゴル帝国が築かれた。
1207年チンギス・ハンは西夏を攻めて属国化し、翌年には中国遠征に乗り出す。当時の中国は金が支配して居た。チンギス・ハンは、北京の北東で金の大軍団に遭遇した。モンゴル騎兵は破壊的な力を見せ、数時問で7万の金軍を壊滅させた。その後モンゴル軍は撤退と侵攻を繰り返し金の領内を蹂躙した。
1214年チンギス・ハンは4回目の軍を起こし華北を席捲した。金は首都北京を放棄して河南の開封へ遷都した。金は河南地方のみを支配する小国に転落した。
この遠征で、遼の王族で金の官僚だった耶律楚材がチンギス・ハンの幕僚に加わった。耶律楚材は、広大な領土を支配する国家体制を整えた。1215年、チンギスハンは金の攻略を部下に任せ北に引き返した。
チンギスハンの系図
カスピ海へ
モンゴルに戻ったチンギスハンの関心は西に向けられた。イランには、ホラズム・シャー・ウッディーン・ムハンマド2世が治めるホラズム王国が控えていた。1219年、10万を超すモンゴル軍は4軍団に分かれてホラズムに侵攻した。ブハラ・首都サマルカンドを攻略し町を破壊住民を虐殺した。
ホラズム・シャーは西に逃げた。モンゴル軍は執拗に追い掛け、インダス川を越えカスピ海沿岸に達した。その後、ホラズム・シャーは病死したが、モンゴル軍はアゼルバイジャンからグルジア王国に入りロシアへと侵攻した。コーカサス北部の平原でアラン族・チュルケ族・キプチャック族の連合軍を破り、カルカ河畔の戦いでロシア連合軍を撃破した。
1225年山のような戦利品と多くの奴隷を連れてチンギスハンは故国に戻った。ロシアや金に侵攻して居た部隊も戻って来た。1226年、チンギスハンは再度西夏を攻めた。これが最後の戦いと為った。落馬による負傷が原因で60歳の生涯を閉じた。
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ロシア侵攻
チンギス・ハンの後には3男のオゴタイが帝国を継いだ。彼は1234年に金を滅ぼし首都を外モンゴルのカラコルムに定めた。そして、1236年に甥のバトゥにロシア・東ヨーロッパ遠征を指示した。
バトゥは先ず、ヴォルガ川の東側にあるブルガールを攻めた。ブルガール族は遊牧民だったが、キャンプ生活を捨て毛皮交易で豊かな都市を作って居た。部族の大半はイスラム教に改宗し、改宗し無かったブルガールがヨーロッパに移住してブルガリアを作った。モンゴル軍の襲撃でブルガールは壊滅し二度と再建され無かった。
【ロシア侵攻】
1237年12万のモンゴル軍は凍てついたヴォルガ川を越えてロシアに侵入した。最初にリャザン公国を攻め、見せしめに君主とその一族を虐殺した。続いてモスクワを落とし、迎え討ったスズダリ軍を破り、ロシア平原を縦横無尽に駆け巡った。抵抗するロシアの公国は悉く殲滅された。そして、キエフに「雲霞の如きタタールの大群」が押し寄せ、町は徹底的に破壊された。
夥しい避難民がロシアからポーランドやハンガリーに逃げ込んだ。モンゴル軍は軍を二手に分け、主力はハンガリーに、2万の別働隊はポーランドに侵攻した。
ポーランド侵攻
クラクフの聖マリア教会
ポーランドに侵攻した別働隊のモンゴル軍はビスワ川を越えクラクフに迫った。教会の塔の上から敵の来襲を告げるトランペットが鳴り響いた。
突然ラッパの音が鳴り止み、ラッパ手はモンゴル軍の放った矢で喉を射抜かれて居た。この事を悼んで今でもクラクフの聖マリア教会では、1時間毎に塔の上からラッパが吹き鳴らされて居る。迎撃体制を敷く間も無く、モンゴル軍はクラクフに突入、町は炎上した。
更に西に向かうモンゴル軍を、ポーランド軍とドイツ騎士団がポーランドのレグニツァ付近で迎え撃った。
モンゴル騎兵は突進し、小競り合いの後、突然馬首を返して逃げた。おとり作戦に引っ掛かったヨーロッパ軍は追撃する。何時の間にかヨーロッパ軍はバラバラに為り、各部隊は個別に包囲されて叩き潰された。これが、ワールシュタットの戦い（レグニツァの戦い：1241年）で、ポーランド王ヘンリク2世は戦死、ヨーロッパ騎士団は壊滅した。ワールシュタットとはドイツ語で「死体の山」の意味。
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ハンガリー侵攻
ブダとペストを結ぶくさり橋、対岸がペスト
ハンガリーに侵攻したバトゥは、首都ペスト付近で国王ベーラ4世率いるハンバリー軍10万と対峙した。ヨーロッパ最強のハンガリー騎兵は勇敢に戦い、モンゴル軍を圧倒した。勝利を確信した時、ポーランドに遠征して居た別働隊のモンゴル軍が突入して来た。ハンガリー軍は総崩れと為りペストは陥落した(モヒの戦い)。
モンゴル軍はイタリア侵攻の準備を始めた。しかし、オゴタイ・ハン急死の報を受け突然撤退した。ヨーロッパはモンゴルに征服される危機を脱した。
バトゥはモンゴルには帰らず、ロシアにサライを首都とするキプチャク・ハン国を建国する。オゴタイハンの後は息子のグユクが第3代ハーンに就くが2年後に亡くなりフビライの兄モンケが即位した。
【タタール（Tatar）】 ロシア人が呼んだモンゴル人の事、中国語では韃靼（だったん）。ヨーロッパでは、ギリシャ語の地獄の住民を意味するタルタロスに重ねてタルタル人（Tartar）と呼んだ。
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中東侵攻
モンケは弟フビライに南宋攻略を、もう一人の弟フラグにイラン方面攻撃を命じた。
スルタン・ハッサン・モスク (カイロ)
【ペルシア侵攻】
1256年フラグはペルシアに進軍した。チンギス・ハンの下で鍛え抜かれた兵士とカタパルトや火薬などを装備した軍団の前に、殆どのイスラム太守は帰順した。しかし、エルブールズ山脈に潜む暗殺教団は200もの要塞を築いて抵抗した。モンゴル軍は2年掛かりで要塞を一つ一つ潰し、暗殺教団を抹殺した。
【バグダード陥落】
フラグはバグダードに迫った。第37代カリフのムスターシムは迎え撃ったが敗れ、500年続いたアッバース朝は滅んだ(1258年)。モンゴル軍のバグダードでの虐殺はすざましく、80〜200万人が殺された。この破壊の先頭に立ったのはグルジアのキリスト教軍だった。バグダードの陥落はイスラム世界に大きな衝撃を与えた。
【シリア・パレスチナへ】
フラグはチグリス川を越え、シリアに侵攻した。最早モンゴル軍に立ち向かう君主は無く、アレッポ、ダマスカスが次々と陥落して行った。残るイスラム国家はエジプトのマムルーク朝のみと為った。
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モンゴル帝国の歴史 その2 につづく
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今回はアウトドアー用品を特集しました・・・
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