2018年07月18日
「中国論」 コバテツの新たな切り口
世界経済2位・GDPでは日本の2倍の中国 行く行くはアメリカを抜き世界の経済をリードするこの国は、一体どの様な国なのだろう?「平和民族日本」の著者・小林哲夫氏が論ずる「中国論」をご紹介したい・・・
小林哲夫の中国論
このページの概要
過去の日中戦争は、日本人の「中国観の間違い」から起こったと評しました。私は、この間違いは現在も続いて居ると思い、そこで私の中国論をここで書いて置くことにしました。結論は「日本人に取って中国は理解を越える存在だと謙虚な気持に為る事が重要」だと云う奇妙なものです。この事を中国の歴史の様々な面から説明します。
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中国論 中国と日本の近代化の速度の違い
中国はアヘン戦争以来遣られっパナシだったのに対して、日本は西洋に侵略される事無く、却って侵略する方に為ったのは「何処に違いがあったのか？」と云う問題を考えて見ます。
「中国は、どうして日本より近代化が遅れたのでしょうか？」
中国は半植民地と言われる程に列強から虐(いじ)められたのに対し日本は植民地化されずに済ませました。この問題を考える為に先ず中国の歴史を日本との違いに焦点を当てて見てみます。
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１ 中国は多民族国家
中国は日本の20倍の広い国土を持って居て、その中は様々な民族から成り立って居る多民族国家。普通に9割は漢民族と言われているが、その漢語と言われて居る言語も、実は数個の外国語に等しい言語に分かれて居る。
中国全体は謂わばEUと比較すべき地域であり、英語とフランス語程の違いのある幾つかの異なった漢語を持つ集団から成り立っている。本当は、漢民族自体が幾つかの民族から成り立って居る多民族国家だと考えた方が解り易い。（北京語・広東語・ビン南語・客家語等）
だから、統一を保つ事が困難で屡々(しばしば)分裂国家に陥り易い。しかし、地域全体は陸続きで統一が可能な領域なので、基本的には統一国家を形成して来た歴史が永い。（ここがEUとの違いで、EUは統一された事がありません）
又陸続きに住んでいる異民族が国の外から何時も中国への侵略を狙って居ると云う環境だった。秦・漢・隋・唐・宋・元・明・清等の統一王朝の間に、三国・五胡十六国・五代十国等の分裂時代があった。
「中国の本質は江南にあり」・・・北の軍事・政治と経済の江南
漢民族の基本は江南・水田地帯に在って、この人達は比較的穏やかで平和な人達だ。水田稲作は平和な性格を作る様で、その結果として江南の中国人は中国全土を支配するのには向いて居無かった。従って中国を統一した王朝の大部分は、北の漢民族か北の異民族出身だった。〈明時代だけ例外〉中国の中心と言われた中原（長安の辺り）は、政治・軍事の中心に過ぎ無い。北方の異民族が中国を支配して来た時代が多いので、中原が中心に為るのが自然だった。異民族対策上も北の方で無くては不便だと云う事情もあった。
そして経済の中心は何時も江南です。江南の水田稲作が漢民族・漢文明の主流であり、北（中原）の麦の畑作文化は一寸傍系と為り異民族の遊牧文化はもっと傍系。だから、異民族が支配者に為っても漢文化（江南文化）に同化されてしまうと云う事を繰り返している。
南宋時代（江南の臨安に都が移った）の経済・文化の繁栄は素晴らしいものがある。北の異民族に毎年貢物をして「金で買った平和だ」と今の中国人から蔑(さげす)まれ屈辱の時代と言われてるが、私は最高の評価をして居る。
中国には北の政治（軍事）と南の経済（文化）と云う二つの流れがあり、その内歴史を通じて一貫して居るのは南の文化の方でした。
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異民族に支配された歴史
最初に中国を統一した「秦」も、そもそも異民族だったと言われて居り、「唐」も異民族だと言われて居る。（この二つは自信無し）元・清は勿論異民族王朝です。そして異民族支配の国家と云うのは、それだけで不安定要素を抱えて居るから必ず滅びる。その周期は約300年と言われている。
異民族国家が滅びて漢民族の国が出来ても、それが又異民族に滅ぼされて300年周期の中に飲み込まれてしまう。これが日本と大きく違う処だ。しかし異民族支配の下でも漢文明そのものは滅びた事が無く、逆に異民族も漢文明に同化すると云う現象の繰り返しだった。
２ 19世紀は王朝末期の混乱期
以上の様な中国の長い歴史を俯瞰したのは・・・アヘン戦争後の100年の西洋の横暴とその為に被害を受けた中国の姿が、決して中国文明の敗北では無くて単なる王朝末期の混乱期に当たったに過ぎ無い・・・と云う事を言いたい為だ。
中国人自身は決して西洋文明に敗れたとも思っていないし遅れたとも思って居なく、ずっと一貫して自国を大国であり文明国だと思って来たに違い無い。日本人は今は西洋崇拝主義だから、中国の西洋化は日本より後れて居ると軽蔑して居る人が多いが、こう云う感覚では戦前の過ちを繰り返す事に為る。
中国文明はずっと西洋と対等で、ずっと大国であり続けたと中国人は思って居り、そう考え無いと中国人を理解出来無い。
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３ 中国の動乱の歴史
農民暴動が王朝を滅ぼした中国の歴史
農民反乱が中国の歴史に如何に大きな役割を持ったかを見て見る。統一王朝を滅ぼしたのは殆どが農民暴動でした。
・黄巾(こうきん)の乱 後漢を滅ぼす（道教に基づく太平道）
・黄巣(こうそう)の乱 唐を滅ぼす ・紅巾(こうきん)の乱 元を滅ぼす 明を作った朱元璋は紅巾軍の将軍だっった (白蓮教）
・李(り)自成(じせい)の乱 明を滅ぼす
・太平天国(たいへいてんごく)の乱 清朝を揺るがす
・義和団(ぎわだん)の乱 清朝を揺るがす（白蓮教）
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中国近代の動乱
「日本の平和」と「中国の動乱」の歴史の違いを理解する為に、幕末頃以後の中国を説明します。185１年の中国の人口は4億3千万人程でした。処がその1８51年に起こった太平天国の乱によっておよそ全土の半分が反乱軍に支配される大乱となり、1８61年には人口は2億6千万に減少。10年間の大乱で1億7千万もの人間が死亡した事に為ります。（餓死等を含む）
1898年には義和団事変に乗じて清朝政府は外国に戦争を吹っ掛けて又大敗し、莫大な賠償金と駐兵権を取られました。以後、辛亥革命・軍閥間の戦闘・共産党との内戦・日中戦争・革命戦争・革命政府の失政による大量餓死・文化大革命等など数百万人以上の死者を出す大事件が目白押しです。
こう云う厳しい環境で生きて来た中国人の感覚は、日本人には到底理解出来るものではありません。その間日本では内戦としては西南戦争しかありません。対外戦争も太平洋戦争の3百万の死者が最大で、戦争が多かった割にはその犠牲者は中国と比べると桁違いです。
こう云う中国の血生臭い歴史を、我々日本人は絶対に実感出来るものではありません。中国と言うのは我々日本人には理解の及ば無い空恐ろしい国だと思います。こんな国に平和ボケした日本人が関わる事等出来ませんし、決してしては為ら無い。
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人口の推移
中国は前漢の時代（西暦0年頃）に既に6千万人に達して居ますが、その後の歴史の中で何回も1千万人前後に減少し、又6千万人前後に復元すると云う事を繰り返しています。
三国時代・隋の初め・唐の初め・宋の初め・元の初め・清の初め等が1千万人前後の少人口の時です。これ等は全て王朝末期の戦乱（その殆どが農民動乱）による減少でしたので、その後王朝の政権が確立すると瞬く間に復元します。
中国の過去の潜在的可能人口は6千万人程度であり、異常事態で激減する事があっても政治が安定さえすれば元の生産力のレベルには瞬く間に復元します。中国は専制君主の国として世界史に有名ですが、その専制君主の時代が来ると政治が安定し、その結果人口が激増し王朝末期には又農民反乱によって激減すると言う事を繰り返して居ます。
清朝初期（1644年）は1千万人で始まったのですが、清朝の政治的安定で瞬く間に６千万人を快復しました。処がここで「とうもろこし」と云う南米原産の新穀物が導入され、今まで利用出来なかった土地が開墾されて爆発的に人口が増加し、康熙帝期の1700年に1億5千万、乾隆帝期の1770年から80年に掛けて2億8千万、19世紀前半に4億を突破しました（数字は全て推定）。王朝の専制政治で食料生産力の増加が可能に為り中国の人口爆発をもたらしたと云う例です。
この様に中国の専制君主制は中国に平和と繁栄をもたらしました。専制君主制を否定的に見る西洋的偏見を一度疑ってみる必要があります。西洋の独裁者は残虐な事をし勝ちですが（ネロ・ヒットラー・スターリン等）、中国・日本には賢帝が多い様に思われます。
この様に見ると現在の中国政府の一党独裁も中国ならではの必然性が見えて来て必ずしも悪とは限ら無いと言えます。
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政府の役割
中国の政府の役割は、王朝末期の大動乱の様な悲惨な歴史を繰り返さ無い事にあります。中国政府はこの様な歴史を踏まえて懸命の努力をして居る事は確かで、そう云う事情を知ら無い平和ボケした日本人が余計な口を挟む事が最も危険です。事情を知ら無い日本人に出来ることは一つも無く静かに見守るのが一番です。
下手に暴動農民に同情等をすると、動乱を招いて結局中国の人民に迷惑を与えるだけで無く、日本に対する反感も買って日本の国益を危なくするのは目に見えています。「日本人は中国農民の悲惨に目を瞑(つぶ)るな！」等と格好の好い事を言う人（例えば桜井よしこ氏）が居ますが、これは中国を知ら無い人の能天気な発言で、これがどれ程危険な発言かと言う事が判る日本人が居ない事が日本の大問題なのです。
中国農民の悲惨の解決に我々に何か出来る事がある、と考える程子供っポイ発想はありません。中国の歴史の本当の恐ろしさを知ら無い人が軽率に判った様なことを言う事は絶対に辞めて欲しいと思います。その発言が日本の未来を危くします。その失敗が日中戦争でした。
当時の日本人が言って居た日中戦争の大義は「中国に平和をもたらすこと」でした。平和ボケの日本人があの過酷な歴史で鍛えられた中国に平和をもたらす事が出来る等と自惚れた為に泥沼の戦争をしてしまいました。
最近日本で中国脅威論が騒がれて軍備の強化が叫ばれていますが、一寸やそっとの軍拡で日本の防衛が可能だと考えるのも真に甘い考えです。万一、中国が日本と戦争をしようと決心する事があったら、どんな軍隊を持って居ても防衛出来るものではありません。
そもそも中国と戦争に為る事を想定する事自体が飛んでも無い事です。例え中国政府が横暴で日本に正当性があったとしても、それを戦争や武力で何とかしよう等と考える事自体が危険なのです。日本の安全の為には、中国をその気にさせ無いと云う方法しか無いと云う事を早く理解して欲しいものです。
中国は今ナショナリズムの勃興期にあり民衆は反日感情に燃えています。日本人は中国人のナショナリズムを冷ます役割を果たすべきなのに、逆にこれに過剰反応して反中感情が高まって居るのは子供の喧嘩の様なものです。
「中国の理不尽なナショナリズムに屈服するな！」等と息巻く日本人が増えています。「中国何かに舐められて為るものか！」等と云う日本人が多いのには困ってしまいます。日本人の生命を守り世界の平和の為に、中国のナショナリズムの過熱を冷ます様な冷静さを日本人に期待して居ます。
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４ 中国と日本の違い 「負け方の天才日本」
中国と日本の近代化の違いについて「日本は富国強兵に成功したから植民地にされ無かった」と考える人が多いのですがこれは時間的に論理が合いません。明治維新の改革が進んで日本が日清戦争に勝つ迄、黒船来航から40年もの間日本は侵略されませんでした。
中国が侵略を受けたと考えられる「アヘン戦争」のその頃から日本と中国は違って居たのです。サテ何処が違っていたのでしょうか？文明の進み具合が違っていたとは思えません。清朝の文明は凄いものがあって、日本・西洋・中国はこの時同等のレベルにあったと私は思っています。
そこで私は中国の民衆と日本の民衆の性格の違いに注目しました。それはアヘン戦争と馬関戦争の違いです。二つの戦争共にこちらから攻撃を仕掛けたと云う点は同じです。（これは不当なアヘン貿易を阻止する為の正当な攻撃だったかも知れませんが、戦争の切っ掛けを作ったのは中国の方です。その原因は勿論英国の不法にありますが・・・・）
しかし戦争に負ける「負け方」に大きな違いがあります。長州は直ぐに負けを認めて講和しその後友好関係が出来ます。処が中国は負けを認めることが出来ずズルズルと対立関係を引き擦ります。これは中国の民衆の中華意識又は自尊心に関わる問題ですが、負けを認める事が出来ず民衆の排外意識は高まるばかりでした。
そして太平天国の乱と云う１億人以上の人が死亡する未曽有の大惨事を引き起こしてしまい、その鎮圧に西洋の軍隊を使う様な事もします。その後も民衆の攘夷意識を政府は抑える事が出来ませんでした。又或る時には民衆の排外意識を利用して外国を牽制しよう等（義和団の乱）と云う混乱振りでした。
中国で商売をしたいと思った西洋人達は、こんな混乱した国で自分達の安全を確保する為には、絶対に駐兵が必要だと考えたのも尤もと云う状態でした。
これに対して、日本の幕末の動乱は比較に為ら無い穏やかなもので、治安は保たれて居たので外国人は不安を感じ無いで貿易が出来たのが日本が侵略され無かった理由です。
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結論としては、中国民衆の攘夷感情と行動が中国政府が抑え切れ無い程に過激だった事が外国の侵略を誘う原因に為ったと云う論です。別言すれば中国人の持っている「中華思想」が被害を大きくしたと言えるかも知れません。
一方日本は「負け方の天才」で、それは今度の戦争の敗戦後の歴史が証明しています。アメリカ占領中の日本人の従順さは他の国では絶対に見られ無い現象でした。アメリカは今回同じ様な成功をイラクで期待した様ですが全く見当違いでした。
又中国民衆の排外感情の激しさは今も見られます。以前の反日デモの暴力部分を政府が押さえ切れ無かったのがそれです。あの時日本大使館に対する侵害に対して中国政府が謝罪をし無かった事を私は重く考えて居ます。それは民衆の手前「謝罪出来なかった」と云う事で、中国政府の民衆に対する恐怖心を読み取りました。
アヘン戦争以来の中国民衆の排外エネルギーとどう付き合うか？が今後の日本の課題だと私は考えています。中国民衆の現在の攘夷・排外感情（ナショナリズム）は日本に向かって居るからです。能天気に中国の悪口を言って居る人が日本に多く為ったのは日本側の大問題です。それは日中間の対立に油を注ぐだけで対立解消の為には有害無益だからです。
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５ 侵略を誘発した要因・・中国の無法
西洋は軍事力を背景にアジア諸国を侵略し植民地化しました。日本は西洋の真似をして、中国、朝鮮を侵略しました。これ等の侵略は、専ら軍事力による暴力によるものでしたから、西洋と日本の悪逆を非難する歴史認識が定着しています。
しかしこの侵略に付いて、今まで侵略した方の経済要因等を追求する事ばかりに気を取られて、侵略された方の要因を検討する事が少なかった様に思われます。日本が侵略されず、侵略する方に回った事を考えてみると「中国が侵略され、日本が侵略され無かったのは何故か？」と云う疑問の建て方も必要な気がして来ました。
サテ、満州を植民地にする必要があると日本人が考えたのは、当時の国際法上で合法的に得た権益を中国人に無法に踏みにじられて居ると思ったからです。中国人の日本人居留民に対するテロ等が多発した為でした。日中戦争も同じく日本人居留民の安全を確保するのが目的でした。
但し、念の為に言って置きますが、日本の侵略と言う事が背景にあって、それに対する中国人の反感であったのですから、どちらが悪いかと言えば日本の侵略の方が先行して居ました。しかしながら例え日本が先に侵略したのが悪いとしても、それに対する反感から一般日本人を殺害するのは問題だと思います。
これはどちらが良い、悪い、許される、許され無い、と云う問題では無くて、こう云うテロを行って居た事が戦争に繋がったと云う視点が必要です。日本では西洋の理不尽に反抗する、この様な乱暴は比較的少なかったと言えます。戦後アメリカに占領された時に、日本人がアメリカ人を反米感情から殺害したと云う例は殆ど知りません。
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６ 中国のナショナリズム
満州事変も日中戦争も、日本人居留民の安全が危なく為ったのでその安全を確保する為に軍事行動を取ったのだと云う事を述べました。何故日本人居留民が襲われる様に為ったのか？と云う理由は日本の侵略にあったと云う事は認めた上での論です。詰まり中国の民衆が暴発し無ければ戦争に為ら無かったと云う論理です。
この様に言うと「それでは日本の侵略に対して何もしないで我慢しろと言うことか？」と云う反論が当然あるでしょう。勿論「何もしないで我慢しろ」と云う事ではありませんが、何と云ってもテロは行けないとは言えるでしょう。どんな社会でもテロは犯罪でありそれを正当化する事は出来ません。
ナショナリズムの行き過ぎ
戦争に為ら無い様に配慮した上ででも出来る事は沢山あったと思われます。日本の侵略を撥ね返す為に中国は戦争をしたのですが、その戦争で一千万人以上の人が死んだと言われて居ます。こんな莫大な死者を出すだけの価値があったとは私には思えません。
死亡者の数の問題では無くて、侵略を撥ね返す為にそもそも命を掛ける価値はあるのか？と云う問題提起も必要です。
日本の侵略が全く理性を超えて居て、理由も無く滅多やたらと中国人を殺害して居ると云う状況があったとしたら、この様な問題提起は論外だと思います。
例えばナチスのホロコーストを命を掛けて防止する事には誰も反対出来ない正当性があります。しかしそう云う状況に無い場合は、私は民族解放の為の戦争と言えども賛成出来ません。これは矢張りガンジーの非暴力直接行動の知恵を理想とします。遅かれ早かれ何れは開放されたに違い無いと思われるからです。
日本の米軍占領の事を思い出せばその事が判ります。占領中の日本には誰一人民族解放の為にアメリカと戦争すべきだと考えた人間はいませんでした。それにも関わらず占領は短期間の内に終了したと云う経験を持っています。
中国の人にはこう云う発想を是非一度考慮してみて欲しいと願っています。勿論、日本人は日本が行った侵略について、再びあの様なことをしないと云う決心を新たにすると云う事が必要な事は云うまでもありません。
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７ 近代化の問題
日本では明治維新によって文明開化し近代化に励みました。この近代化は「西洋化」と同じ意味で使われています。この時、文明開化と近代化と西洋化は自由民権とか民主主義と云う意味で使われて居ます。
この当時アジアは遅れていたが日本だけは一早く追い着いたと日本人は考えています。この近代と云う時代を作り出した西洋には普遍的な文明があると今も日本人は考えて居ます。詰まり世界中の全ての国は、遅かれ早かれ近代化して西洋の様な国に成るべきだと云う考えです。
この考えから、民主主議や議会制、法律体系だけで無く、科学や学問、西洋音楽や西洋絵画、西洋演劇までもが人類に普遍なものだと錯覚されて来ました。日本にあった音楽・絵画・演劇・俳句などは全て地方的で普遍性の無いものと蔑まれ、更には江戸時代には民主主義も自由も法律も科学精神も学問も無かったと日本人自身が思い込む様な惨めな事に成りました。
日本人自身が日本の事をこの様に自虐的に考えるのは日本人だけの問題なのですが、この考えを中国に当て嵌めたのが近代日本の大きな間違いでした。
明治の文明開化で一早く西洋の模倣に成功した日本は、模倣が遅れて居た中国を軽蔑する資格があると思い込んでしまいました。日中戦争は、近代化に遅れた中国に日本が先生と為って近代を持ち込もうとした思い上がりが招いた悲劇でした。要するにこれは日本人の西洋崇拝とその裏返しの劣等感が招いた悲劇でした。
西洋には西洋の文化があり、日本には日本の文化があり、中国には中国の文化があると云う当たり前の事に気が付かず、西洋に普遍的真理があると誤解した日本人の間違いでした。西洋の民主主義等に普遍的真理などありません。アメリカに民主主義を押し付けられて、アフガニスタンもイラクも大迷惑を受けて居るのがその証拠です。
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中国の文明をもう一度再認識して欲しいと思います。中国は火薬を発明した国で、明時代には既に大砲や鉄砲も持って居たのですが、清朝の専制君主が政治の安定の為にこれ等を禁止した為に、日本と同じく発達が止まった事で有名です。徳川幕府の封建性と清朝の専制君主制が、鉄砲の発達を止めて平和な生活を作ったと言う歴史があります。
これに対して西洋では民主主義と自由主義で戦争と武器が発達しました。この野蛮さに近代中国は一時負けたのです。中国が一時遅れた国と見えたのは軍事力で西洋が一歩先んじて居ただけです。軍事力（武器生産技術や軍隊組織や愛国心を含む）等の遅れを取り戻す事等簡単な事です。中国は間も無くアメリカに対抗出来る軍事力を持つ国に為るでしょう。
そう為った時に中国人は、西洋に普遍的真理がある等とは考え無いと思います。中国文明、西洋文明、日本文明等が、夫々平等の存在と感じられる時代が直ぐそこに来て居ると私は思います。
以上
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素敵な「自転車と家庭水族館」管理人
一読で理解するには、とても困難で大きくて深い問題提議ですネ。ジックリと何度も読み返して理解を深めたいと思いました。
現状の日本政府は、北朝鮮からの防衛を隠れ蓑にして本質は対中国を過大に意識している様に感じます。最近の「陸上イージスシステム構想」や「南西諸島へのミサイル防衛基地化」の動きは、徒に中国の疑心暗鬼を擽(くすぐ)り不愉快な感情対立へと進まなければ好いのですが・・・「ヘリ搭載の空母」でF35の垂直離着陸戦闘機の導入は、中国の空母の脅威に対する対策でしょうから。
防衛は大切ですが、身の程に併せた規模と思想で最小限に抑えて欲しいものです。その内「矢張り核が無ければ・・・」と言い出す日が来ないとも限りませんし、その様な雰囲気も感じられる今日この頃です・・・
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