2018年07月03日
硫黄島 祖父の戦争体験記 その3
祖父の戦争体験記 その3
敵来る
昭和20年2月17日、私は10人位で高射砲の陣地作りの作業指導に行った。父島で世話になった砲兵隊で顔見知りばかりなり。
昼食をご馳走になって雑談に花を咲かせていた。その時、この部隊に電話が入る。敵機動部隊北上中その数約800なり、である。サア大変だ、来るものが来た。戦争だ。敵は内地に行くのでない硫黄島に来たのだ。
軍人である我等、恐ろしいだの命が惜しいなど口には出せない。皆喜んでいるような顔はしているが内心は穏やかでない。次々と電話が入る。南硫黄島付近を北上中と云う。もう直ぐ硫黄島に来るのだ。この部隊の兵も我等工兵も少しも騒がぬ。作業を続行する。夕方終わり、我が陣地に帰る。帰っても誰も騒いでいない。皆平気な顔をしている。その夜は穴の中で寝る。朝になった。
包囲さる
昭和20年2月18日、私は目が覚めた。穴の外に出て海上を見て驚いた。平常驚かない私であるが、この時ばかりは驚いた。海面一杯敵の軍艦である。島は完全に包囲されている。恐れていたものが遂に来た。私は生まれてこれ程多い軍艦を見た事がない、聞いた事も無い。
大部分の艦は錨を下ろしている。大本営発表では、米国には最早軍艦は無い、爆弾も無くセメントの爆弾を落していると言うが、軍艦が無い処では無い。大艦隊が目の前に居るではないか。戦艦は白い40センチ砲を6門揃えて島に向けている。大艦隊は全部砲身を島に向けている。どの艦も一発も撃たぬ。不思議である。私は全員に知らせた。
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応戦準備
我等工兵もこの時とばかり武器も弾薬も飲料水も、何でも地上にあるものは全部地下穴に引きずり込む。敵は撃って来ない。飛行機も全く飛ばぬのだ。嵐の前の静けさである。無気味である。我方も一発も撃たぬ。実に静かである。お陰で我等は地上にあったもの全部地下に引きずり込んでしまった。
硫黄島最高司令官栗林忠道中将は全部隊に命令を下した。
「諸士待望の敵来る、諸士は太平洋の防波堤と為り最後の一兵たりとも尚ゲリラと為りて敵を悩ますべし」
である。最後の一兵たりとも戦えとは聞いたが、最後の一兵と為っても死なずゲリラと為って戦えと言うのである栗林中将は玉砕を覚悟でこの様な命令を出したものと思われる。胸中は察しられる。2万の部下と共に死ぬ積りであったかも知れない。
攻撃始まる
24時間何事も無く過ぎた。敵さんこのまま帰ってくれ、頼む、と思ったがそうはいかん。島に向けていた40センチ砲以下一斉に火を吹いた。島には大地震が起こった。火柱は天に届くと思われる様だ。黒煙は島を覆う、鉄片はウナリを生じて四散する。
直径1メートルもあるラワンの大木も根の方が上になってフッ飛ぶ。轟音は雷が100も200も一度に落ちたような物凄さである。地下30メートルの穴の中でも身体が飛上る。正にこの世の地獄と為った。
続いて母艦からグラマン機が飛出して来た。その数の多いこと空一面であり、昼間だのに暗く為った。雲も見え無いほど多く飛んで来て機銃掃射をする。小型の爆弾を無数に落す。兵隊を見れば地面スレスレまで下って追い掛け必ず殺す。草も木も空中高く舞い上がる。
近くの母艦から来るので、入れ替わり立ちかわりだから空には何時も同じ位が舞っている。空一杯である。日本の機銃の様にトントントンドドドウなどの音で無い。何十機も一度に掃射する音は、雨の様にザーザーである。スコールが降るような音である。何物も残さず地上のものをなぎ倒すのである。
次はサイパンから大型機B24が何十機も揃ってやって来る。ブルンブルンと唸りながら来る。銀色である。1万メートル以上の空を飛んで来るので、日本の高射砲など届かない。下の方でバンバンと広がるだけだ。敵さん日本の高射砲の高さを計算に入れて弾丸の届かぬ高さで来るので平気で飛んで来る。
戦闘機も日本は全部遣られているので手も足も出ない。島の上に来た奴は1トンという恐ろしい爆弾を落す。次から次と落すその音は恐ろしい。気の弱い奴は気ちがいになる。ヒューヒューと音を立てて落ちる。続いて大地震が起こる。炸裂する。岩石も土砂と一緒に中天に舞い上がる。そして落下する。
直径10メートル、深さ5メートル位の穴が地面に出来る。人間が居れるような状況に無い。まるで地獄である。連絡等で外に出た日本軍は必ず殺される。夜間を利用して出るより方法は無い。
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夜間の攻防
夜間は敵さん照明弾を数多く打ち上げ、落下傘に吊るした。照明弾は空中に長いことあって地上を照らすのである。次から次と夜通しで島全体を昼の様に明るくする。歩いていると空と海から良く見えるので直ぐに弾丸が飛んで来る。手の出しようも無い。これからどう為るか判らんが、命の無くなるのは判っている。
運が悪いのだ。内地勤務であれば、こんなことには為らないのにナアと思う。どう思ってもしょうがない。今は戦わなければ為らぬ。
我が軍は毎日死んで往く。敵は多い。上陸した奴をやっつけるより無い。我軍は彼等の上陸を待って一発も撃たずに地中に居るのだ。命令があるまで我軍は撃て無いのだ。一発でも撃てば忽ちむらがる飛行機にやられる、全滅する。敵に我軍陣地を知られたら大変なんだ。
地中30メートルに我軍全部無事なのである。今は只彼等の上陸を待っているのである。砲弾は物凄く為るばかりである。硫黄島は敵の砲弾によって打ち砕かれて、方角も判らなく為った。目標物が全部遣られたら方角は判らなく為る。目的地に行け無くなる。
10日間引続いて撃ちまくるのであるから、島に砲弾の当らぬ所は無い。草も木も一本も無くなった。支那の戦争もこれ程酷くは無かった。米軍も10日間撃ちまくって日本軍の抵抗が無いので、全滅したと思ったかも知れん。上陸気配が見え出した。地中にある日本軍は生きて居たのだ。
つづく
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