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2017年03月30日

ソースティン・ヴェブレン『有閑階級の理論』(1899)

ヴェブレンは、階級の上下を消費の見せびらかしや見栄の張り合いによって示そうとする文明社会の経済を「野蛮」と評して、読者からの熱狂的な評価と同時に敵意をも買い取った。もともと人間の本能は「有用性や効率性を高く評価し、不毛性、浪費すなわち無能さを低く評価する」ものであったが、暴力で他を屈服させるようになるとその証拠として戦利品を見せびらかすようになり、市場社会が開かれると習得に有閑が必要な礼節や教養が重んじられ、見知らぬ人との接触が多くなる機会産業の時代には有閑よりも消費が評価される。裕福さのわかりやすいシンボルが必要だからだ。
 消費は個人の欲望の充足というよりも、「裕福である」とか「どの階層に属しているか」を見知らぬ他者に対して示す自己表現の手段となった。これは経済学の議論からすれば、「供給されたものはすべて需要される」という供給ベースの考え方を批判し、需要の側から経済を考える視点になる。


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