Wordの標準書式で組んだ場合の問題点　①部分的に字送りが広くなる: Wordで美しい日本語組版を目指す。

2022年11月04日

Wordの標準書式で組んだ場合の問題点　①部分的に字送りが広くなる

「Wordの基本書式の問題点（版面編）」で紹介したWordと日本語組版ソフトの版面の考え方の違いのために実際の文書を入力したときにいくつかの問題点が浮上してきます。一つ一つは取るに足らないという人もいますが、これらをWordでも出来る範囲で修正していくと、全体としてきっと満足のいくものになるのではと思います。
実際の問題点のいくつかの例をあげ、その原因と対策について考え修正をしてみたいと思います。
今回はWordの基本書式のままで文書を組んでいくと、部分的に字送りが広くなる（文字と文字の間が広すぎる）問題に焦点を当ててみます。原因は一つではありませんので、それぞれの場合について原因と対処法を説明しています。

興味ある方は続きをご覧ください。

問題点１　字送りが広すぎる

例１の図の中の赤枠で囲まれた部分は文字送りが広過ぎるため間の抜けた感じがします。しかしこの例に挙げた３か所はそれぞれ原因が違います。
① 版面に横幅が文字サイズに合っていないため行全体の字送りで調整されているため字送りが開いてしまう。
② 英単語など、半角英字で組まれた単語は途中で分けることができないという、その行に入りきらない単語は次行に追い出されるため、残りの日本語が均等割りされている。
③ 挿入されている図のサイズが本文の文字サイズの倍数でないため残りのエリアの文字の送りで調整されるため。
このように原因が違うため解決方法もそれぞれですので、各原因の解決策をそれぞれ説明をしていきます。

①の原因

この個所は版面の幅が文字サイズの文字数倍よりも広いことが原因です。標準書式の場合２段組みに設定すると、文字サイズ10.5ポイント・19字組・36行・行送り18ポイントに設定されて、余白は左右共に31ミリに設定されています。
しかし、基本的な組み方で行うと1段が文字サイズ10.5ポイント・19文字・2段組み・段間2文字で計算すると、全体では40字組と同じになるため、前項の「基本書式の罠」で話したように余白は左右それぞれ30.8ミリ・30.9ミリとなります。これを合わせておかないと、2段組みのページと1段組みのページでの文字の入るエリアがずれるため見栄えが悪くなります。
この場合は余白を左余白30.8ミリ・右余白30.9ミリに変更してください。これだけでも体裁が変わります。

②の原因

ここでの問題は版面の幅ではなく、次の行にある英単語の長さにあります。組版ルールでは英単語は分離禁止となっていますので、この場合の単語AdobeReaderが前の行に入りきれないと言う事で、次の行に追い出された結果です。
この例の場合はAdobeとReaderは別の単語ですので間には半角スペースを入れるべきです。半角スペースを入れても行頭・行末では無視されますのでスペースが開くことはありません。
これ以外でも長い単語が原因の場合は、英単語には必ず途中に半角のハイフォンを入れてもよい場所が決まっていますので、適切な場所に半角ハイフォンを入れることで解決できるようになります。

③の問題

ここで問題となるのは、挿入してある図の横幅になります。版面の横幅から図の横幅を引いた空間に残りの文字がはいるわけですから計算をしてみましょう。
1段には19文字入るわけですから、挿入した図の右横に文字を5文字入れるとすると、図の横幅は14文字分になるため文字サイス×文字数ですから　10.5×14＝147ポイント、ミリにすると約51.744ミリです。
しかしWordの場合、図と文字列の間には間隔が設定できます標準設定では3.2ミリですのでこれも考慮に入れると51.744－3.2＝48.544となりますが入力できるのは少数2位までですから48.54ミリになります。