2012年10月17日
中国市場におけるP&Gの浮き沈み(9)
中国市場におけるP&Gの浮き沈み
慶応大学
商学部4年フ組
13期生
李 梅
朱 琲クン
慶応大学
商学部4年フ組
13期生
李 梅
朱 琲クン
P&Gの中国市場における成功の要因
1. 中国進出の時点と場所の選択
中国の経済発展においては、地域格差が存在している。広東省は、改革開放政策の最前線で、経済発展が発達している場所である。P&Gは中国に進出した1988年の時点では、広東省は改革開放以来の四回目の経済発展周期を迎えてきた。そのGDPは底をついた1990年から上がり始まった。1992年、1993年に22.1%と22.3%の成長率でピークを達した。90年代以降、中国東部の市場化レベルの向上につれて、非国有経済の発展は著しくて、特に対外開放地域の拡大によって、東部の経済発展の原動力は中部、西部より強かったのであろう。GDPの成長率から見ると、東部は中部、西部よりそれぞれ2.2と2.8ポイント高かった。収入の差から見ると、経済発展の傾向と殆ど一緒である。都市部住民の一人当たり可処分所得であれ、農村部住民の一人当たり純収入であれ、中・西部より東部のほうが明らかに高い。経済指標の分析から見ると、経済発展の総量でもスピードでも、東部は中・西部より優れていることが分かるのであろう。P&Gは中国経済発展の格差を把握して、広東省の経済開放性及び購買力を考慮して、広東省を拠点として中国市場に進出することは、その成功要因の一つだと言えるのであろう。
2.マーケティング戦略
1)消費者至上の経営理念
P&Gの成功は、「消費者至上」の理念とは密接にかかわっている。この理念を全てのところまで着実にさせるために、P&Gはいろんな工夫をしてきた。毎年、P&Gの製品は全世界160以上の国、地区で消費者と接触している。消費者によりよい製品やサービスを提供するために、1934年にアメリカで消費者研究機構を設立して、アメリカ工業業界で真っ先に科学分析方法で消費者の需要を分析する企業となった。20世紀70年代になると、P&Gはフリーダイアルで消費者とコミュニケーションをとるはじめての企業であった。今まで、P&Gはさまざまなツールと技術で全世界50億以上の消費者と交流している。
中国でのP&Gの「消費者至上」の理念は、単に消費者のニーズを満足することに表しているだけではなく、より重要なのは、消費者のニーズを育てる、導くことである。P&Gは広告やキャンペーンを通して、中国の消費者にどうやって髪を洗うことや、どうやって歯を磨くことを教えた。経済的利益を得た同時に、かつてない長期的な社会的効果ももたらした。髪を洗う新しい概念を提起することから常に髪を洗うように導くことまで、正しく歯を磨くことから正しく歯磨を選ぶことまで、まめに手を洗うことから殺菌することまで、中国消費者の生存意識、生活習慣の変化をもたらしたし、ヘルシーな生活スタイル、新しい健康理念や健康用品の全てを消費者に送る。消費者としては受け入れやすいし、ロイヤルティを高めることもできた。
2)ブランド戦略―多数のブランドで市場を占有する
中国におけるP&Gのマーケティング戦略としては、ブランドの価値創造に注目することが挙げられる。経済発展によって、中国国民の生活水準が大幅に高められて、人々の好みが多様になっていて、ブランドを追求するようになった。表にも示されているように、P&Gは中国消費者の異なる好みに合わせて、そのブランドイメージを高めるだけではなく、同じ製品でも機能の異なる多数のブランドを出すことを通して、高い市場占有率を獲得して、中国におけるP&Gの速い発展を支えてきた。洗濯用洗剤を例として、P&Gは、消費者の好みによって、全世界で機能の異なる九つのブランドを出したが、中国でTideとARIELの二つのブランドしか出していない。顧客ロイヤルティが低い、消費者好み差異が大きいシャンプ市場では、消費者の異なるニーズを満足させるために、REJOICE、PANTENE、Head & Shoulder、VS、CLAIROLの五つのブランドを出した。同じREJOICEでも、異なる機能の五つのパッケージがある。
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