ホワットアバウティズム(Whataboutism)
自身の言動を批判された者が、直接疑問に答えるのを避けて話題をそらす論法のこと。「あなただって、XXでしたよね?人のこと言えませんよね」というように、批判の矛先を他にそらすこと。駐車違反の取り締まりを受けた人が「他にも駐車違反で止めている人がいっぱいいるではないか」と他の第三者へ矛先をそらしているが、その人が駐車違反をした事実は何ら変わらないし、他の人が駐車違反をしているからといって違反してよいわけではない。
ストローマン手法(Strawman strategy)
ストローマンは相手の考えや意見を歪めて引用し、その歪められた主張に対してさらに反論するという論法のこと。あるいはその歪められた架空の主張そのものを指す。藁人形論法、案山子論法(かかし論法)ともいう。
例えば「気候変動は深刻な問題であり、地球温暖化への対策を急がなければなりません。再生可能エネルギーへの移行やエネルギー効率の向上が重要です。」という意見に対し「あなたは経済発展を阻害し、雇用を奪いたいのですか?原発や火力発電のエネルギー規制を強化することで、多くの企業が倒産し、失業者が増えることでしょう」この例では気候変動の問題とその解決策について話しているのに対し、経済発展の阻害や雇用の喪失といった極端な結果を連想させる主張を提示しています。地球温暖化に対する具体的な対策には言及せず、代わりに経済や雇用の面での負の影響というストローマン(藁人形)を作り出し、そこに焦点を当て攻撃します。
ガスライティング(gaslighting)
ガスライティングは心理的虐待の一種。被害者に些細な嫌がらせ行為をしたり、故意に誤った情報を提示して被害者が自身の記憶、知覚、正気、もしくは自身の認識を疑うよう仕向ける手法のこと。例えば、いじめの事実をいじめる側が否定してみせるという単純なものから、被害者を当惑させるために奇妙なハプニングを起こして見せるといったものまである。いじめの理由として「あの子が鈍臭い」「言ったことをやらない」「心が弱いだけ」とあたかもいじめられている側に理由があるように仕向けたりしてさらに口撃する。
「昨日の会話で、あなたは私に失礼な言葉を使いました。私はとても傷つきました。」という意見に対して「私は何も言っていませんよ。あなたは敏感すぎるんじゃないですか?そんな風に受け取るあなた自身の感情に問題があるのかもしれませんね。」と反論することで、傷ついたと主張する側の感情に問題があると仕向けて口撃する。
人身攻撃
ある論証や事実の主張に対して、その主張自体に具体的に反論するのではなく、主張した人の個性や信念を攻撃する論法。論点をすりかえる作用をもたらす。人格攻撃論法ともいう。論理性や合理性を持って判断するクリティカル・シンキングにおける論理的な誤りである誤謬のひとつ。
「AさんはXXと主張している」→「Aさんは先日〇〇について嘘をついた/Aさんは□□という問題を起こした」→「Aさんは信用できないし間違っている。したがってXXという主張は誤りである」
中庸に訴える論証(golden mean fallacy)
2つの相反する主張に対して用いられる。例えば、ある人が空は青色だといい、またある人は空は黄色だと主張したとする。ここで真実の空の色は緑色だと主張するのがこの誤謬である。緑は青と黄の混色であり2つの位置の妥協点ではあるものの、空は明らかに緑ではない。この比喩のように、2つの位置の中間に立つことは必ずしも真実とは限らない。
民衆へのアピール(propaganda)
人気へのアピールとも呼ばれ、論理的誤りのこと。それは、多くの人がそれを信じているため、誰かが何かが正しいと主張しようとするときに起こる。例えば「多くの人が延長保証を購入しているため、その家電用に延長保証を購入する必要がある」というもの。多くの人が購入している(人気がある)からといって、必ずしも購入する必要があることにはならない。
早まった一般化(hasty generalization)
例が少数にもかかわらず、そこから一般的な結論を導こうとすること。Xを満たすものが存在するという一部の事実から、全てにおいてXを満たすと判断してしまう。Xでないものが存在する可能性が全く考慮に入れられていないため、誤りになる。
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