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2021年05月22日
【第9回】貸借対照表、ROE、ROA
企業分析の基本として
貸借対照表は、企業の「財務状況」が分かる決算書。
一般的にはバランスシート(B/S)と呼ばれている。
バランスシートを見ると、企業の「資産」と「資本(純資産)」、「負債」の状況が分かります。
左側の「資産の合計」と右側の「負債と資本を合わせた合計」が必ず同じになります。
左側と右側の合計が同じ=バランスが取れているので、バランスシートと呼ばれる。
1つ1つの指標や指数をじっくりと検証するのが理想ですが、3つの項目を中心に見ます。
どの指標も前期と比較すると、財務状況がよくなっているのか、悪くなっているのか知ることが出来ます。また可能であれば、数年間の推移を追うと、更に理解が深まります。
自己資本比率とは、企業の総資産に占める自己資本の比率。。。そのままですね。
返済の必要がない資金の割合を示しているので、数値が高いのが望ましいです。
自己資本比率は40%以上あれば優良だと言われています。
ただし、業種により自己資本比率が低い業種もあれば高い業種もあります。
なので、業種平均や同業者の数値と比較するのが望ましいです。(以下参考です)
ROE(Return of Equity):自己資本利益率、返済しなくてよい資産のこと。
・利益が大きくなる、自己資本が小さくなる⇒ROEは大きくなる
・利益が小さくなる、自己資本が大きくなる⇒ROEは小さくなる
ROEが高いということは小さな自己資本で大きな利益を得られているということになる。
つまり、経営の効率が良い悪いの判断もできるということが分かります。
あなたが100万円の投資をしようとしています。企業がその100万円を使って、10万円の利益を出すA社。1万円の利益を出すB社。があるとすれば、A社がよいですね。もし配当を出す企業であれば、ROEが高くないと配当金を出すことも難しくなるかもしれません。
ROA(Return of Assets):総資産利益率、総資産に対してどれだけの利益を生み出しているかの指標。
ROEと分母が異なるだけで考え方は同じ。
・利益が大きくなる、総資産が小さくなる⇒ROAは大きくなる
・利益が小さくなる、総資産が大きくなる⇒ROAは小さくなる
ROAが高いということはROEと同じように資産を効率よく使って経営が出来ているということになる。
ROEは主に株主から集めたお金をどれだけ効率よく使っているかを見る。
ROAは銀行からの借り入れなども含めた、これまで調達したすべての資金を使ってどれだけ効率よく経営しているかを見る。
むずかしい。。。数字で考えてみましょう。
上記でROEは20%、ROAは10%という企業があったとします。
以下は、正解はありません。一例として書き出します。
会社経営側からすれば、ROAは経営全体を表しているので、資産を使っていくら利益を出せているのが見えます。ROEだと見えてきません。
投資側からすれば、自ら投資したお金がどれだけ効率的に使われて増えているのか。
ROEは分母が純資産なので、主に株主のお金になります。
例えばある企業のROEが15%だったとします。
これは例えば株主から集めた資金が1000万円だったとしたとき、翌年には15%増えて1150万円になるということ。そしてその後もずっとROE15%だとすると、理論的には5年後には当初の投資金額1000万円が2倍の2000万円になる計算です。この感覚を持ってROEをみると尚更ROEが大事な数値に見えてきます。
もちろん純資産が増えたからと言って株価が同じように動くとは限りません。
ただ資産が増えるとPBRが小さくなります。
PBRが低くなると投資家は割安判断をするのでやはり株価はあがりそうです。
このようにROEは投資金額に対していくら儲かったのかを確認するのに重宝します。
ROEは企業のパフォーマンスを判断するのにとても便利な数値だが、ROEだけを見ていると思わぬ落とし穴にはまる可能性もある。
例えば、ROEのみで判断するとき以下の3社があった場合、あなたはどの会社を選びますか?
私であればB社を選びます。
なぜなら、借金が少ないからです。
C社が若い勢いのある企業で1株当たりの利益(EPS)が毎年伸びている。コンセンサス上回っているなど他の要因があれば、C社かもしれません。ROAはどれも10%ですので、稼ぐ力は基本的に同じと考えられます。それであれば、財務状況が問題なさそうなA社が良いと思います。
この例を見てわかっていただけたでしょうか
ROEは何も利益を上げることだけで大きくなるわけではなく、負債を増やすことでも大きくなります。
ROEだけを見ていると他人資本が加味されていないので実際の経営資源が見えません。ROEが高くてももしかしたら借金まみれの経営をしているかもしれません。ですので、ROAも一緒に見る必要があります。
ROEとROAを実際どのように投資判断に使うのか
ただ業界によっても平均値が異なります。
例えば製造業はサービス業に比べて設備への投資費用などが掛かるので利益率は低めになります。
ですので、8%、5%という基準を頭に入れつつも投資先企業のROE、ROAを競合他社と比較すると良いと思います。
一時的なROE、ROAをみるのだけでなく、これまでのROEを線でとらえることも大事なことになります。
これまでも継続的にROEが高い水準なのか、数値は伸びているのかそれとも落ち込んできているのか。
平均よりROE、ROAが高くとも、これまでよりは数値が落ちている場合は収益性が低くなっている可能性が高いです。長期間保有を考えている場合は、その理由を確認もしくは推測しておくと投資するしないの判断が、明確になります。
貸借対照表とは
貸借対照表は、企業の「財務状況」が分かる決算書。
一般的にはバランスシート(B/S)と呼ばれている。
バランスシートを見ると、企業の「資産」と「資本(純資産)」、「負債」の状況が分かります。
左側の「資産の合計」と右側の「負債と資本を合わせた合計」が必ず同じになります。
左側と右側の合計が同じ=バランスが取れているので、バランスシートと呼ばれる。
ここまでのポイント
・貸借対照表(B/S)で企業の財務状況が掴めることから、安全性を見極められる。
・資産:現金や預金、建物など財産にあたるもの
・負債:銀行などからの借入金や支払手形のこと。返済義務のあるもの。
・資本(純資産):経営活動によって得られた利益。これまでの利益。起業するにあたって用意したお金。
・貸借対照表(B/S)で企業の財務状況が掴めることから、安全性を見極められる。
・資産:現金や預金、建物など財産にあたるもの
・負債:銀行などからの借入金や支払手形のこと。返済義務のあるもの。
・資本(純資産):経営活動によって得られた利益。これまでの利益。起業するにあたって用意したお金。
バランスシートで確認するのは3つ!
1つ1つの指標や指数をじっくりと検証するのが理想ですが、3つの項目を中心に見ます。
1.【安全性】自己資本比率
2.【収益力】ROEとROA
3.【成長性】純資産増加率
2.【収益力】ROEとROA
3.【成長性】純資産増加率
どの指標も前期と比較すると、財務状況がよくなっているのか、悪くなっているのか知ることが出来ます。また可能であれば、数年間の推移を追うと、更に理解が深まります。
自己資本比率とは
自己資本比率とは、企業の総資産に占める自己資本の比率。。。そのままですね。
返済の必要がない資金の割合を示しているので、数値が高いのが望ましいです。
自己資本比率は40%以上あれば優良だと言われています。
ただし、業種により自己資本比率が低い業種もあれば高い業種もあります。
なので、業種平均や同業者の数値と比較するのが望ましいです。(以下参考です)
ROEとは
ROE(Return of Equity):自己資本利益率、返済しなくてよい資産のこと。
ROEの計算式
ROE(%)=当期純利益÷自己資本(純資産)×100
ROE(%)=当期純利益÷自己資本(純資産)×100
・利益が大きくなる、自己資本が小さくなる⇒ROEは大きくなる
・利益が小さくなる、自己資本が大きくなる⇒ROEは小さくなる
ROEが高いということは小さな自己資本で大きな利益を得られているということになる。
つまり、経営の効率が良い悪いの判断もできるということが分かります。
あなたが100万円の投資をしようとしています。企業がその100万円を使って、10万円の利益を出すA社。1万円の利益を出すB社。があるとすれば、A社がよいですね。もし配当を出す企業であれば、ROEが高くないと配当金を出すことも難しくなるかもしれません。
ROEとROAとは
ROA(Return of Assets):総資産利益率、総資産に対してどれだけの利益を生み出しているかの指標。
ROAの計算式
ROA(%)=当期純利益÷総資産×100
ROA(%)=当期純利益÷総資産×100
ROEと分母が異なるだけで考え方は同じ。
・利益が大きくなる、総資産が小さくなる⇒ROAは大きくなる
・利益が小さくなる、総資産が大きくなる⇒ROAは小さくなる
ROAが高いということはROEと同じように資産を効率よく使って経営が出来ているということになる。
ROEとROAの違いは?
ROEは主に株主から集めたお金をどれだけ効率よく使っているかを見る。
ROAは銀行からの借り入れなども含めた、これまで調達したすべての資金を使ってどれだけ効率よく経営しているかを見る。
むずかしい。。。数字で考えてみましょう。
当期純利益:100万円
総資産:1000万円 (内訳:純資産500万円、負債500万円)
とすると、
ROE=100/500=20%
ROA=100/1000=10%
総資産:1000万円 (内訳:純資産500万円、負債500万円)
とすると、
ROE=100/500=20%
ROA=100/1000=10%
上記でROEは20%、ROAは10%という企業があったとします。
以下は、正解はありません。一例として書き出します。
会社経営側からすれば、ROAは経営全体を表しているので、資産を使っていくら利益を出せているのが見えます。ROEだと見えてきません。
投資側からすれば、自ら投資したお金がどれだけ効率的に使われて増えているのか。
ROEは分母が純資産なので、主に株主のお金になります。
例えばある企業のROEが15%だったとします。
これは例えば株主から集めた資金が1000万円だったとしたとき、翌年には15%増えて1150万円になるということ。そしてその後もずっとROE15%だとすると、理論的には5年後には当初の投資金額1000万円が2倍の2000万円になる計算です。この感覚を持ってROEをみると尚更ROEが大事な数値に見えてきます。
もちろん純資産が増えたからと言って株価が同じように動くとは限りません。
ただ資産が増えるとPBRが小さくなります。
PBRが低くなると投資家は割安判断をするのでやはり株価はあがりそうです。
このようにROEは投資金額に対していくら儲かったのかを確認するのに重宝します。
ROEだけでは判断できないことも
ROEは企業のパフォーマンスを判断するのにとても便利な数値だが、ROEだけを見ていると思わぬ落とし穴にはまる可能性もある。
例えば、ROEのみで判断するとき以下の3社があった場合、あなたはどの会社を選びますか?
私であればB社を選びます。
なぜなら、借金が少ないからです。
C社が若い勢いのある企業で1株当たりの利益(EPS)が毎年伸びている。コンセンサス上回っているなど他の要因があれば、C社かもしれません。ROAはどれも10%ですので、稼ぐ力は基本的に同じと考えられます。それであれば、財務状況が問題なさそうなA社が良いと思います。
この例を見てわかっていただけたでしょうか
ROEは何も利益を上げることだけで大きくなるわけではなく、負債を増やすことでも大きくなります。
ROEだけを見ていると他人資本が加味されていないので実際の経営資源が見えません。ROEが高くてももしかしたら借金まみれの経営をしているかもしれません。ですので、ROAも一緒に見る必要があります。
投資にどう使うのがよいか
ROEとROAを実際どのように投資判断に使うのか
1,一般的にROEは8%以上、ROAは5%以上が優良企業
ただ業界によっても平均値が異なります。
例えば製造業はサービス業に比べて設備への投資費用などが掛かるので利益率は低めになります。
ですので、8%、5%という基準を頭に入れつつも投資先企業のROE、ROAを競合他社と比較すると良いと思います。
2,継続的に高い数字を維持しているか
一時的なROE、ROAをみるのだけでなく、これまでのROEを線でとらえることも大事なことになります。
これまでも継続的にROEが高い水準なのか、数値は伸びているのかそれとも落ち込んできているのか。
平均よりROE、ROAが高くとも、これまでよりは数値が落ちている場合は収益性が低くなっている可能性が高いです。長期間保有を考えている場合は、その理由を確認もしくは推測しておくと投資するしないの判断が、明確になります。
ここまでのポイント
・ROEは株主のお金が効率的に使われているか確認できる指標である。
・ROAは企業が全ての資産(負債+純資産)を効率的に使い経営できているかを確認する指標である。
・ROEは8%以上が1つの目安である。
・ROAは5%以上が1つの目安である。
・継続的にROE、ROAの高い企業が優良企業である。
・ROEは株主のお金が効率的に使われているか確認できる指標である。
・ROAは企業が全ての資産(負債+純資産)を効率的に使い経営できているかを確認する指標である。
・ROEは8%以上が1つの目安である。
・ROAは5%以上が1つの目安である。
・継続的にROE、ROAの高い企業が優良企業である。