人生は楽しい！

化粧を分類すると、「日常からの解放」の意味合いを持つ「ハレ」と、「日常的印象管理」の意味合いをもつ「ケ」の2つに分けられる。前者は「変身」的な意図が強く、特定の自己アピールの意味が含まれ、役者が入念な化粧（メイクアップ）によって役柄を強調するのが、その典型である。一方、後者は基礎化粧に代表されるように自己改善や自己の魅力の強化などを主な目的として行われるものである。
また、化粧は、「他者からこのように認められたい」と考える自分を演出するためにも行われる。しかし、化粧をした自分自身が他者からどのように見られているかを自分で直接確認することは難しい。そのため、自身の属する社会の文化的規範を学習し、比較しながら、どのような自分を他者に印象づけたいのかといったことを考えなければならない。近年は、自己演出としての化粧を行う人も多くなっている（2.5節参照）。自己の特徴や魅力を、化粧によってアピールしたり、改善したりすることで、より周囲に自分を理解しても
らいやすくなる。その点から、化粧にはコミュニケーションの手段としての役割が期待されるのである。