借金生活２０００

梅雨も明け暑い時期が今年もやってきた。
朝起きてセミの声を聞くだけで熱中症になって倒れそうになるのは私だけであろうか？
とにかく、この時期長袖で炎天下で作業するのは大変である。
毎朝今日はどんな作業をするんだと気が重たくなってしまう。
番頭)たー坊Nさんと枚方行ってくれ
私)えっ？今日梅田の現場ですよね？
番頭)欠員が出たんや、Nさんもう車で待ってるから、すぐに行ってくれ。
まだ飯の途中だしトイレも行ってないのに、しかもNさんとならきっと土木の現場であろう。
今日も暑くなるだろう、気が遠くなりそうである。
Nさん)おっ、出たなたー坊。早よ乗れや。
私)おはようございます。
Nさん)昨日来てたやつトンコしたわ。ブロック積みの手元や、疲れるで。たー坊も明日トンコやな。
私)いやいや、大丈夫です。
Nさん)ほんまかぁ？とりあえずコンビニ行くか、どこがいい？ローソンか？ファミマか？
私)どうせセブンイレブンしか行かないんですよね。
Nさん)わかってきたなたー坊。出発や。
とりあえずセブンイレブンへ行き、トイレをして一服できた。Nさんとの作業はきつい仕事が多いが、話しは面白いし仕事前に必ずコンビニに寄ってくれるから助かるのである。
Nさんは朝から唐揚げをガブガブ食べている。体力あるよなぁと感心してしまう。
現場に着くとパレットに積まれたコンクリートブロックが並んでいた。今日はひたすらモルタルを練り、ブロックをひたすら運ぶのであろう。
作業が始まると一輪車でブロックを運んでいたが、途中狭いところがあって、結局両手で一つずつブロックを運ぶことになった。
しかし、重たいし暑い。今日１日中これをやるというのか？
Nさん)たー坊バテてきたな(笑)まあ暑いからみんなそうなるけどな。とりあえず、昼までずっとモルタル練っとけ。
私)はい。ありがとうございます。
モルタルはミキサーに入れてスイッチを押すだけなので助かるのである。
なんとか昼まで乗りきったが、体力の7割は使ったであろう。
食欲もわかず飲み物ばっかりガブガブ飲んでいた。
本当に夏の現場はしんどい、別に仕事などいくらでもある。今は4万円くらい持っているので、正直いつ辞めたっていいのである。
しかし、今はもう少し頑張ってみようとなどと思っていた。
少しずつお金が貯まっているのが、何よりの原動力である。
嫌になったらすぐ辞める。そんな私でも毎日少しずつ積み上げがあれば、なんとか頑張れるのである。
相変わらず体力や仕事での積み上げは無いが、少しずつではあるが金は間違いなく貯まっている。
それが何よりの原動力である。
そういう何かを持っているか持っていないかである。
体力の無い私でもそういう気持ちひとつでなんとか頑張れる。
クソ暑い中なんとか頑張り、やっと今日の仕事も終わった。
Nさん)意外と動いてくれたなたー坊。今日どうやった
私)いやぁ、もうフラフラですね。やばいです。
Nさん)暑いからな。しゃあないな。トンコしたらあかんで。
私)大丈夫です。
仕事を終えた充実感に浸り、寮に帰ってシャワーを浴び、冷えたビールを飲む。
夏のビールはやはりとんでもなくうまい。
明日はどこの現場なんだろうという不安もあるが、今はこの晩酌を楽しむことにした。
当然今日もパチンコなど行く気はない。
だからこそ頑張れるのである。