借金生活２０００

とにかく仕事を探すことにした
フルキャストという派遣の仕事が目についた
給料がすぐにもらえるらしい
すぐにフルキャストに登録したがなかなか仕事がない
引越しの仕事ならあると言われたので
とりあえず行ってみる事にした
翌朝、現地へ集合してサンバイザーを渡されて
現場へとつれていかれた
仕事が始まってすぐ気付いたのだが相当な重労働である
特にタンスなんかは異常に重たい
毛布みたいな物がタンスに巻かれているために
手袋がすべる事すべる事
こんな重たいものを持って階段を昇るのである
もっと高く上げろ、かわせ、下に置くな、ぶつけるな
ぶつけるな、下に置くな、ぶつけるな、下に置くな
何十回も言われた、相手のベテランはあきれかえっていた
開始1時間で腕がパンパンになった
物をしっかり持てずにダンボールがすべる
ベテラン）物を投げるな！ちゃんと置け！
投げているつもりはないがこれが限界なのである
ベテラン）引きずるなって言ってんだろ！しっかり持て！
握力が全くない、手袋が脱げる、こんなにきついなんて
ベテラン）なんで引越しに来た！！
ベテラン）ああ使えねえ！マジいらつく！
気が遠くなりそうだった、もう謝ることしかできなかった
ベテラン）坂本ちゃん、しっかり持て
坂本ちゃんとは電波少年のガリ勉のことである
もう坂本ちゃんでもなんでもいいや
ベテラン）キン骨マン、ひきずるな！
ベテラン）ヤギ、もう少しで終わりだがんばれ
めったくそに言われまくった、ガリガリなものならなんでもいいらしい
そして、やっと仕事が終わった
もう二度と引越しの仕事はしない
今日1日で8千円である
金を稼ぐのはしんどいなあと思った
なんか働くのが嫌になってしまった

残金あと13万3千円
家が無いというのが一番不安である
履歴書を書くのがめんどくさかった
面接場所まで行くのもめんどくさかった
いや、本当はしばらく働きたくなかっただけかもしれない
負けた6万があれば
本当は20万近くあったのにと頭によぎる
とりあえずパチスロで天井付近を探してみようかな
なんて思った
パチンコ屋を渡り歩いて3件目でいい台があった
吉宗で1000G近い台があった
チャンスである
なんと5千円でBIGをゲット！
最高の出だしである
今頃ダイハツの奴らは昼飯を食って
長い行列ができるトイレで
早くさしてくれよとイライラしてる事でしょう
皆さんお疲れ様お疲れ様
こっちは働きもせず一気にまくりますんでよろしく
と思ったら単発・・・・・
出玉はすべて飲まれ
追加5万円でREG、さらに突っ込んで
気付けば残金6万8千円
どうするんだよ、おい！
どうするんだよ、おい！
今夜もナイトパックで1500円必要だし
とにかく酒を飲んで飲んで飲みまくった
漫画喫茶のトイレで3回くらい吐いた
オレはなんて悲しい奴なんだ
若いカップルとすれ違った
そうですよね、ここは寝るためではなく
遊びに来る場所ですよね
悲しいのである　　泣

ダイハツを飛び出してしまった私
どうするんだ？
まだやめると言ってないから
戻ろうと思えば戻れるぞ
しかし荷物は重いのである
必要最低限の物以外全部捨てたつもりが
紙袋4個ほとんどが着るものである
また稼いだらいくらでも買えるだろと言い聞かせ
半分以上は捨ててしまった
コインロッカーに鍵をかけないでそのまま放置しました
どこかのホームレスさん拾ってくださいませ
行く場所なんて決まってなかった
とにかく電車で遠くへ行きたかった
京都に行ったけど居心地が悪く
流れ流れて大阪の梅田にいた
とりあえず漫画喫茶に入って
片っ端から求人を見た
疲れて寝てしまった
きづいたら朝の7時だった
もちろん仕事にはいくつもりはない
ただ、いつも宿舎の中で行きたくないと思っているのとは違い
中学校をずる休みしたような
なぜかわからないけどものすごい不安であった
私はどこへ向かっているのだろう？

ダイハツでの生活はもう耐えられなかった
特に風呂と土日に嫌気がさしていた
風呂は入らないわけにはいかないし
だがこのガリガリの体を毎回お披露目するのはもう嫌で嫌で
ガッチリした男共が前も隠さずに
自身満々である
私はそんな人種ではないのである
個室の風呂で入浴剤を入れ
1時間ゆっくり入りたいのである
土日も最悪だ
私の部屋の相棒はとにかく外出しない
最初は私も相棒も気をつかって話していたが
今では話題がまったくない
2日間ずーっと一緒というのは相当辛いものがあった
部屋にはテレビがなかったので
バリッバリッとスナック菓子の音がよく響いた
本当にスナック菓子が好きな奴だった
いたたまれない私は日曜日に久しぶりにパチンコ屋に行った
6万負けて何かが壊れました
その次の日身内に不幸があったといい
荷物をまとめて宿舎を出た

一度頭にやめたいという事がよぎると
朝起きてから仕事に行くまでがものすごい苦痛になった
前からももちろん嫌であったが
最近仕事に行く直前までなんか理由つけて休もうと思い
本当にギリギリの時間になって
やっと仕事に行く決心がつくのである
それにしても周りの奴らの目が死んでいる
ダイハツの仕事のきつさを物語っている
しかし工場は殺風景である
他の人はどうか知らないが
私は職場につくとものすごいテンションが下がる
ラジオ体操の前にダイハツの会社の歌が流れる
これもまた非常にテンションが下がる
オレが社長だったらmihimaruGTの俄然Yeahにするのにな
仕事がきついとなおさらパチンコに行きたくなる
嫌だなあ、早くやめたいなあ

生活レベルを下げるか30万稼ぐか
なぜオレはこんなところで働いてるのか
早く帰ってビールが飲みたい
ボルトが車の中に落ちた
最悪だ早く上の人をよばなきゃ
ガガガガガ
押忍番長は天井1280G吉宗は1800なんぼだっけ？
ガガガガガ
1万円以内になんとか引いて1G連
もし1G連しないならなんとか100G以内に
あー、ボルトが焼きついてしまった
それにしても手が痛い、腱鞘炎治らない
工場での同じ事の繰り返し
その間にいろんな事を考えてしまう
もっぱら考える事はパチスロの事ばかり
ダイハツは確かに給料がよかった
でも毎日やめたくてやめたくて仕方がなかった
半年経てばとりあえず20万くらいもらえる
共同宿舎は近くにパチンコ屋は無く
バスで近江八幡まで行くのに600円くらいかかった
金を貯めるにはいい環境だった
ただ、もう心が折れそうだった
トイレに行きたくなってきた
ここの職場とにかく忙しい、ラインが動いてる間に
トイレに行くことは至難の業である
あー、腹がいたい
あー、嫌だ嫌だ嫌だ
こないだ見たタクシーの求人が頭によぎった
あと3ヶ月頑張れる気はしなかった

節約をするのは難しい
生活レベルを下げるのは難しい
であれば給料の高い仕事につくしかないのである
仕事の掛け持ちもしてみたが
2つ仕事を持つとシフトの調整が大変で
体力的にも相当がんばらないと厳しい
高給の求人をいろいろと見たが
本当に稼げるのか怪しいとこばかりである
工場であれば間違いないだろうと思い
私はダイハツに就職する事になった
しかし、ダイハツの仕事は非常にハードであった
部屋は見ず知らずの男と共同2人部屋であった
しきりはカーテンだけであった
バリッバリッと不快なスナック菓子を食べる音
ケータイで大声でしゃべられる事
深夜になにやら怪しい行為をされる事
非常にストレスがたまる生活であった
風呂も共同で大嫌いであった
ダイハツに来て一週間
やめたくてやめたくて仕方がなかった

債務整理をして半年
そんなに無駄遣いをした覚えもない
ただ貯金はたまらなかった
そんな時急な出費が重なった
友人の結婚式と車の車検である
車検に関しては前からわかっていたことである
毎月2万ずつでも残しておけば
全く問題はなかったのだが
生活レベルを下げるべきであった
その一言につきる
当時の私に1ヶ月2万円節約するのは実に大変なことでした
いや今でも大変だ
ようするに覚悟が足りなかった
お金を完全に管理できる人には無関係かもしれないが
その事を次の月へ次の月へ繰り越すクセができてると
完全に首が回らなくなって初めて気付く
ギャンブルを完全にやめてないのが一番のネックである
2、3万くらいなんとかなると心のどこかで思ってしまう
実際は2、3万すぐに作る事は相当大変なのです
2万ギャンブルで勝つどころか、4万円負けて窮地に追い込まれる
昔、私は節約が好きだった
ギャンブルは努力の価値を下げる
節約を無意味にさせる
勝負する金がなくなって初めて気付く
パチンコ屋で3万勝ってても5万負けてても
その店を出るまでその先どうなるかわからない
水物なのである
だからギャンブルをしてはダメなのである

借金グセとバカは死ぬまで治らない
法的手段で自ら作った借金を助けてもらい
あとは給料の範囲内で生活すればいいだけなのに
それもできない
そんな奴は救いようがないのかもしれない
そう私のことである
ギャンブルの悪いところとは
金銭感覚をマヒさせること
努力の価値をさげること
積み上げた物を一気に破壊すること
またギャンブルをしたのである
なぜまたやったんだ？

借金の催促がしばらく止まることになり
さらに利息がゼロになる
さらに2ヶ月後から支払い開始らしい
コンビニでノートを買い
久しぶりに家計簿をつけることにした
1ヶ月の給料で十分やりくりができる
さらに2ヶ月余裕ができたので
実質34万余裕が出る
薄暗い部屋にろうそくをつけて
気分はまるでクリスマスパーティである
借金があることには変わりがないが
月の給料でやりくりできるチャンスがやってきた事は非常に大きい
こんだけ借金作っときながら
本当に幸せな気分がした
部屋に張り紙をする事にした
・のどもと過ぎれば熱さ忘れる
200万払って知った私の教訓である