宗教とは何でしょうか?
ブリタニカ国際大百科事典に、
こう書いてあります。
「ラテン語のrelegere(再読する)、
またはreligare(つなぐ)に由来するとされている。
日本語の『宗教』は古くから漢訳仏典にあったものを、
明治にreligionの公式訳語として採用採用して以来広まったもの。
一般的にいえば、
宗教とは、
人と自分の神聖とみなすものとの関係をさし、
神 godはその人格的または超人間的な象徴にすぎない。
この『神聖』という概念を提出したのは R.オットーである(1917)。
しかし何を聖とするか、
またその象徴の範囲をどこにおくかで定義の仕方は種々あり、
信念を重視するシュライエルマッハーの『絶対的依存感情』、
E.B.タイラーの『霊的存在への信念』、
また R.R.マレットのマナの研究による超自然的・神秘的能力に対する畏敬、
または P.ラディンや E.デュルケムの社会的団結力のシンボルとしての価値を重視する見方などがある。
しかし、
宗教は、
単に個人の宗教感情でも社会的・文化的産物でもなく、
その双方を基に形成される人間の行為として成立しているもので、
全人間的な把握を必要とする。
伝統的社会では、
単に神話やマナとして存在していることもあるが、
文化の展開につれ、教義や儀式が体系化されている。」
現代社会+政治・経済用語集には、
こう書いてあります。
「経験や理性でもって理解しがたく、
コントロールできない現象や存在に対して究極的な意味と価値を与えたもの。
原始宗教・民族宗教・世界宗教など多様な宗教がある。
多くの場合、
教祖や教典、教義、典礼などをもつ。
宗教の定義は千差万別である。
主な学説には次のものがある。
主知的観点:ミュラーは宗教の知的・思弁的側面を強調して『無限なるものを認知する心の能力』とした。
主情的観点:シュライエルマッハーは、宗教のもつ畏怖(いふ)とか感動といった非合理的側面を強調して『ひたすらなる依存感情』とした。
主意的観点:人間の意志、実践的生活への動機づけの側面から、
カントは『いっさいの義務を神の命令として認知すること』とした。
聖と俗の観点:デュルケームはタブーによって分離され、
禁忌された『聖なるもの』が俗なる社会、
個人を絶対的に支配する象徴ととらえた。
社会集団の観点:宗教は教団、教会、宗派など何らかの集団を構成し、
教義や儀礼を通じてその価値体系を個人に内面化するものと考える。」
倫理用語集には、
こう書いてあります。
「一般的に、
超越的なものに対して信仰を抱き、
教祖や教義、儀礼、組織などをもつもの。
宗教は次のように分類される。
①宗教の原初的な形態である原始宗教と、その進化・複雑化した宗教。
②特定の民族や国家に根づいた民族宗教と、民族や国家を超えた世界宗教。
③人間の本性に基づく自然宗教と神の啓示に依拠する啓示宗教。
④多数の神を崇(あが)める多神教と唯一の神を崇拝(すうはい)する一神教。
また、
宗教はさまざまに定義されてきた。
①霊的・超自然的な存在、絶対者への信仰という信念に基づく定義。
②人間が直面する様々な問題に対する応答としての社会的機能に基づく定義、
③聖なるものや絶対者に対する畏怖(いふ)や崇敬の感情に基づく心理的な定義、
④儀礼や宗教的な行為に基づく実践的な定義。
しかし、
現在では、
こうした宗教の定義は西洋中心的であり、
その概念は定義できないとして批判されてもいる。」
宗教と信仰を混同しないでください。
宗教は、
教団を営み、
ヒエラルキー(階層制)です。
信仰は、
神聖なものを信じ尊ぶことです。
信仰心を持つことは、
非常に重要です。
しかし、
特定の宗教や宗派に固執する必要はありません。
教団に所属せずとも、
個人的に信仰することはできます。
『信仰は、人間が生きる拠り所とすべき力の一つだ。
そして、それが皆無となることは破滅を意味する』(ウィリアム・ジェームズ)
『浅薄な哲学は人の心を無神論に傾け、深遠な哲学は人の心を信仰へ導く』(フランシス・ベーコン)
『どんな本も
どんな教師も
それについて
あなたに教えることはできません
ひとをあてにしてはなりません
宗教団体に加わってもなりません
ひとは そのすべてを
自分自身から
学ばなくてはならないのです』(J・クリシュナムルティ)
『自灯明 法灯明』
(自らを拠り所とし、法を拠り所とする)
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