裸一貫で生まれ、裸一貫で死んでいく。
人間、本来無一物。
生きてるだけで丸儲け。
悩まず・悶えず・煩わず
『生きてるだけで丸儲け』について、浄土真宗本願寺派の僧侶の江田智昭さんは、著書『お寺の掲示板』(新潮社)の中で次のように述べています。(79〜80頁)
「日本のお笑いBIG3の一人、明石家さんまさんを知らない人はいないでしょう。
彼の座右の銘で、色紙にもよく記していたという言葉が、この『生きてるだけで丸儲け』です。
丸儲けというと、『坊主丸儲け』のように揶揄する言葉にも聞こえますが、さんまさんはなぜこの言葉を座右の銘としたのでしょうか。
一九八五年に日本航空123便が墜落事故を起こし、五百二十名が犠牲になりました。
この便にさんまさんも搭乗予定だったそうですが、収録が早く終わり、一便早めたため、同便に乗らずに済んだそうです。
『生きてるだけで丸儲け』という言葉には、さんまさんが心の底から感じている気持ちがあらわれているのでしょう。
大竹しのぶさんとの間に生まれた『いまる(芸名IMALU)』さんの名前もこの言葉から取られているそうです。
誰しも人生の中でうまくいくこと、うまくいかないこと、さまざまなことを経験します。
さんまさんは『生きてるだけで丸儲け』という言葉を何万回とファンのために書き続けることによって自分自身への暗示をかけていたのではないかと思います。
この考え方が自分の身体の中に完全に浸透すれば、すべてのことが当たり前でなくなります。
このことにより、どんな状況に置かれても幸せな気持ちで生きていくことができるのです。
(中略)
禅には『本来無一物』という言葉があり、相国寺(京都)の有馬頼底老師が、以前あるテレビ番組で『本来無一物』を説明する際に、このようにおっしゃっておられました。
『本来自分のものだと、【おれが】とか、【これは私のものだ】という執着心、これがさまざまな形で人間を阻害しております。
本来何一つ持って生まれたわけではなく、何一つ持って死ぬわけじゃない。
これさえしっかり胸におさめておれば、ほんとに素晴らしい生き方ができるんじゃないか。
これが禅の生き方なんですね。』」
『本来無一物』
裸一貫で生まれ、裸一貫で死んでいく。
人間、本来無一物。
生きてるだけで丸儲け。
悩まず・悶えず・煩わず
『お寺の掲示板』(著者 江田智昭 新潮社)
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『[禅的] 持たない生き方』(著者 金嶽宗信 ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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