日常では知らないお葬式のマナーがあります。
特に、宗派によってお焼香の仕方が違っていますよね。
誰かが亡くなりお葬式に出席することになったときに、慌てないように宗派、それぞれのお焼香の違いを知っておきましょう。
日本の仏教の宗派は13ある
日本人のほとんどの方は仏教の13ある宗派のどれかに入っています。
これは江戸時代に地域ごとに入る宗派があてはめられ、その宗派に入らなくてはいけない政策が施行されたことによるものです。
近くのお寺の宗派に入信することの定めにより、入る宗派が決まりました。
個人でどの宗派に入りたいかで決めたものではないのです。
自分の先祖がどの宗派のお寺の近くに住んでいたかで宗派が分かれているのです。
現在では改宗する人もいるので、先祖とは違う宗派の人や仏教ではない全く別の宗教に変えてしまった人もいるので必ず先祖と同じというわけではありません。
【日本にある13宗派】
仏教が伝来してから宗派は時代とともに分かれ、派生してきています。
もとは「南部六宗」「平安二宗」「禅」があり、そこから派生したものが幾重にも分かれ、残った宗派が13あるということになります。
1法相宗
開祖:中国伝来
成立した時代:飛鳥時代
本山:藥師寺・興福寺
ご本尊:釈迦如来
系統:奈良仏教系
有名なお寺:法隆寺/清水寺
2華厳宗
開祖:中国伝来
成立した時代:奈良時代
本山:東大寺
ご本尊:毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)
系統:奈良仏教系
有名なお寺:国分寺
3律宗
開祖:中国伝来
成立した時代:奈良時代
本山:唐招提寺
ご本尊:毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)
系統:奈良仏教系
有名なお寺:浄瑠璃寺
4天台宗
開祖:最澄
成立した時代:平安時代
本山:延暦寺
ご本尊:釈迦如来
系統:天台寺門派/天台真盛宗/本山修験宗
有名なお寺:寛永寺/輪王寺/中尊寺/浅草寺/四天王寺
5真言宗
開祖:空海
成立した時代:平安時代
本山:高野山金剛峰寺/東寺/智積院/長谷寺
ご本尊:大日如来
系統:高野山真言宗/東寺派/醍醐派/豊山派/智山派
有名なお寺:新勝寺/平間寺/有喜寺/護国寺/室生寺
6融通念仏宗
開祖:良忍
成立した時代:平安時代
本山:大念仏寺
ご本尊:阿弥陀如来
系統:浄土派
有名なお寺:なし
7浄土宗
開祖:法然
成立した時代:平安時代
本山:知恩院
ご本尊:阿弥陀如来
系統:西山浄土宗/西山深草派/西山禅林寺派
有名なお寺:平等院/高徳院/増上寺
8浄土真宗
開祖:親鸞
成立した時代:鎌倉時代
本山:西本願寺/東本願寺
ご本尊:阿弥陀如来
系統:本願寺派/大谷派/誠照派/高田派/山門法派/興正寺派/木辺派/仏光寺派/山元派/出雲路派
有名なお寺:なし
9時宗
開祖:一遍
成立した時代:鎌倉時代
本山:清浄光寺
ご本尊:阿弥陀如来
系統:浄土系
有名なお寺:なし
10曹洞宗
開祖:道元
成立した時代:鎌倉時代
本山:永平寺/総持寺
ご本尊:釈迦如来
系統:禅系
有名なお寺:泉岳寺/修善寺
11臨済宗
開祖:栄西
成立した時代:鎌倉時代
本山:建仁寺/妙心寺/東福寺/円覚寺/建長寺/南禅寺/相国寺/大徳寺/天龍寺/永源寺/方広寺/向嶽寺/仏通寺/国泰寺/興聖寺
ご本尊:釈迦如来
系統:禅系
有名なお寺:金閣寺/銀閣寺/西芳寺/竜安寺/東慶寺/瑞嶽寺
12黄檗宗(おうばくしゅう)
開祖:隠元
成立した時代:江戸時代
本山:万福寺
ご本尊:釈迦如来
系統:禅系
有名なお寺:なし
13日蓮宗
開祖:日蓮
成立した時代:鎌倉時代
本山:見延山久遠寺/本門寺/妙願寺/本国寺/法華経寺
ご本尊:釈迦如来/顕本法華宗/本門仏立宗/真文流
有名なお寺:本門寺/法華経寺/誕生寺/清澄寺/本能寺
宗派によるお焼香の仕方
13宗派のうちお葬式でお焼香をする宗派としない宗派があります。
この中で8宗派がお焼香という作法がありますので、宗派別にお焼香のやり方をご紹介します。
【浄土真宗本願寺派】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:右手、左手、中指の三本で抹香をつまみそのまま香炉に焚きます。焼香の回数は1回です。
抹香ではなくお線香の場合は、1本の線香を3つに折って立てずに香炉に横にしておきます。
3:遺影に向かって合掌、一礼をして下がります。
【真宗大谷派】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:右手、左手、中指の三本で抹香をつまみそのまま香炉に焚きます。焼香の回数は2回です。
抹香ではなくお線香の場合は、1本の線香を3つに折って立てずに香炉に横にしておきます。
3:遺影に向かって合掌、一礼をして下がります。
【浄土宗】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:これといった作法はなく、僧侶や喪家によって違います。抹香を1〜3回押しいただいて、香炉に焚く。線香なら、1〜3本に折って香炉に横に置く。
3:遺影に向かって合掌、一礼をして下がります。
※『押しいただくとは?』つまんだ抹香を額の高さまで上げることを「押しいただく」といいます。
【真言宗】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:抹香を3回押しいただくか、初めの1回だけ押しいただき2回目3回目はそのまま香炉に焚くかのどちらかになります。線香の場合は3本立てます。
3:遺影に向かって合掌して一礼をして下がります。
【日蓮宗】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:抹香を1回焼香するか2回か3回かは、地域によって違いがあります。線香の本数も同じです。
3:遺影に向かって合掌して一礼をして下がります。
【曹洞宗】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:抹香を2回行います。1回目は押しいただき2回目はそのまま香炉に焚きます。線香の場合は1本立てます。
3:遺影に向かって合掌して一礼をして下がります。
【天台宗】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:抹香を3回焼香をする。線香なら3本立てる。押しいただくかは決まりがないようです。
3:遺影に向かって合掌して一礼をして下がります。
【臨済宗】
1:遺影に向かって合掌して一礼をする。
2:抹香をつまみ押しいただいて香炉に焼香します回数は1回です。線香の場合は1本立てます。
3:遺影に向かって合掌して一礼をして下がります。
日本人の宗教観
日本人は無宗教とよく言われますが、実はほとんどの人が仏教徒です。
亡くなる時にお寺にお葬式を頼みますが、この時に自分の宗派のお寺さんに頼みます。
この宗派があるということは、仏教徒というわけです。
海外の宗教のように、日常に宗教が入り込んでいるわけではないので、知らない人が多いのです。
お葬式をどこで上げるか、この習慣だけが強く残っているのが日本の状況です。
それでも、お地蔵さんがあれば手を合わせたりする人も多く、気にはしていなくても心のどこかに仏教が染みついているのでしょうね。