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2017年09月10日

日本・トルコ合作映画「海難1890」とエルトゥールル号について

昨日、キューバと日本の合作映画について触れた時に
日本とトルコの合作映画について思い出したので
書こうと思います。

別に映画の評論ブログとかにしたいつもりは
これっぽっちも無いはずなんですが……。

まぁ、この映画というかエピソードに関しては
映画の公開以前から個人的に興味を持っていたし
良い機会だからブログに書きたいと思います。

日本・トルコ合作映画「海難1890」東映


「海難1890」という映画は、1890年に和歌山県串本町沖でトルコの軍艦「エルトゥールル号」が海難事故に遭い69名が救出されるも、587名のトルコ人が亡くなるという実際に遭った事故が映画前半のベースになっています。

そして、映画の後半は1985年のイラン・イラク戦争時に、テヘランに取り残されてしまった日本人の救援のため、トルコが救いの手を差し伸べてくれたエピソードを元に作られています。

イラン・イラク戦争の勃発

1985年にイラン・イラク戦争が勃発した当時、世界のどの国も自国の人間優先で、政府専用機を飛ばすなどして自国民を戦地となる国から避難させていました。

そんな中、日本は憲法の関係などで政府専用機などを飛ばすことができず、トルコ政府に助けを求めた所、トルコ政府が日本人救助を了承してくれたおかげで、テヘランに取り残された日本人が何とかギリギリの所で出国することができたのです。

しかし本来、トルコ政府の救援機に乗れる予定だったトルコ人は日本人救助の為、危険な陸路でトルコに帰国することを余儀なくされることになったり、その辺りは映画でも軽く描かれているのですが(実在のエピソードとは微妙に違うらしく、そこは映画の脚色ですね)

個人的には、なぜ日本人が陸路で出国せずにトルコ人が陸路で移動するのか、もっと「こうするしか日本人が助かる手段がないから」という言及がほしかったなぁと残念に思いました。(まぁ当時、トルコの飛行機に乗った日本人は、まさか飛行機に乗れなかったトルコ人が危険な陸路を三日もかけて帰国することになるとは知らなかった人もいたそうなので仕方ないのかな……。)

映画公開の数年前、実際のトルコ人に「エルトゥールル号」について知っているか質問してみた。


1985年のイラン・イラク戦争時、トルコ政府がなぜ自国の人間よりも日本人を優先して助けてくれたのか?その理由は1890年にトルコの軍艦「エルトゥールル号」の乗組員を日本人が救助してくれたから、その借りを返したのだとトルコ政府関係者が日本政府関係者に答えたのだという話がネット上にありました。

本当にそういう対話があったのか、ちゃんとした裏付けは無いのですが、とにかくトルコで「エルトゥールル号」事件は非常に有名で、1985年に日本人が助けてくれたことをトルコ人は忘れていない。このことはトルコ人ならだれでも知っている事だ。とトルコの政府関係者が話したということを知りまして、それは本当に事実なのかと私は疑問に持ちました。

「エルトゥールル号」の海難事故については非常に痛ましいし、当時は大変な事件だったと思うのですが日本人の我々はほとんど知らなかった事件です。

私は和歌山県在住なのですが、和歌山市内に住んでる人たちですら「エルトゥールル号」についてはよく知らないという人がほとんどでした。日本人がそんな状態なのにトルコの方が、そんなに恩義に感じてくれてるのが本当なら、なんだか申し訳ないなと思い、本当にトルコの人なら誰でも「エルトゥールル号」について知ってるのか確かめたいなぁと漠然と思っていました。

トルコ人女子高生とフェイスブックで友達になった。

そんな中、Facebookでトルコ人の女子高生とフェイスブック友達となり、チャットで話をする機会があったので「エルトゥールル号」について知っているか?という質問を投げかけた所、彼女は「知らない」と「答えました。

どうやら、トルコの人なら誰でも「エルトゥールル号」について知ってるというのは誇張された話で残念ながら、まったく知らないトルコ人もいるというのが分かりました。

その時は「エルトゥールル号についてトルコ人は日本に恩義を感じている。トルコ人なら誰でもエルトゥールル号について知っている」とトルコ政府関係者が話したというのは、リップサービス的な物だったのかなぁと、ちょっと個人的には残念に思ったりもしました。

後に知ったのですが、年配の人たちは「エルトゥールル号」について学校の教科書で習った為、みんな知っているのですが、最近のトルコの教科書では「エルトゥールル号」を取り上げていない為、若年層は「エルトゥールル号」を知らないというのが真相らしいです。

そんな中「海難1890」が日本とトルコで公開された。

しかし「海難1890」という映画が公開されたことによって若年層のトルコ人にも「エルトゥールル号」事件の認知度が高まったと思います。公開前後、トルコ側の映画公式Facebookページをチェックしていたのですが、とても好意的かつ、日本に対して友好的な書き込みが多かったです。

「海難1890」の田中光敏監督

映画制作にあたって「海難1890」の田中光敏監督は、原作の無い映画作品を作るのは初めてで、取材など大変だったそうです。映画の構想、企画から公開まで10年もの歳月がかかったというのですから、大変な労力を費やされたであろうことは想像に難くないですね。

そもそも今回の映画は串本町の町長が田中光敏監督の同級生だった為、その串本町長が田中光敏監督に「エルトゥールル号」のエピソードを元に映画を作ってもらえないか?と話を持ちかけたのが始まりだったそうです。

串本町長から「エルトゥールル号」について聞いた田中光敏監督は当初、映画化は無理だと思った。

田中光敏監督は「エルトゥールル号」のエピソードを串本町長から初めて知り、1890年の「エルトゥールル号」と1985年にイラン・イラク戦争の際、トルコが日本を助けてくれたという事実は非常に良い話だけど、映画化するのはまず無理だろうと思ったそうです。

なぜなら映画を作るにあたっては、色んな企業からお金を集めないといけないのですが、その資金が集まらないだろうと思ったのだそうです。映画を作ってヒットさせるには人気の原作であったり、有名な賞を受賞した小説が原作じゃないと難しいため、原作が無い作品は資金集めが困難という壁もあったんですね。詳しくは田中光敏監督がインタビューで語っておられます。

映画「海難1890」田中光敏監督インタビュー<ノーカット版>※予告編付き

史実をベースとした映画としては

個人的に、もう少し言及してほしかった部分もあったりしたのですが、そもそも「エルトゥールル号」を知らないような若いトルコの方達や日本人に、広く知らしめられたであろうことは大きな功績だと思いますし実際、この映画をきっかけに日本人とトルコ人の関係が良くなっている事実があるのは非常に喜ばしいことだと思います。

海難1890(予告編)

串本は日本の本州最南端で非常に美しい海が印象的な街です。温暖な気候の時期はエメラルドグリーンの海が輝き、日本の本州では唯一、サンゴが自生していることからダイビングのスポットとしても人気なのだそうです。私は日本の色んな場所に行きましたが串本の海は本当に美しく、本州で最もエメラルドグリーンが美しい海と言っても過言ではないと思います。

興味を持たれた方には一度、足を運んでいただきたい場所です。ちなみに周囲には、海外観光客からの人気も高い世界遺産「熊野古道」や「那智の滝」など観光名所もあります。地酒の「黒牛」「那智の滝」なども有名です。

少し足を伸ばすと花粉症抑制効果があると言われる「じゃばら」で有名な「北山村」パンダで有名な「白浜アドベンチャーワールドなどもあります。電車だと特急列車でも、かなり移動に時間がかかる上、列車の揺れが非常に激しいので、もし観光で行く際は白浜の空港まで飛行機で行くのがおススメです。

 






posted by リコ at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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