2016年09月10日
二百五十五話 お題:充溢(満ちあふれること) 縛り:眺め(眺めた時の景色)、テレビゲーム(小型コンピューターを利用し、テレビの画面上にゲームを映し出して遊ぶ装置)、元帳(簿記で、全ての勘定口座を設け、取引を仕訳帳から転記して各勘定別に記録・計算する帳簿)、剃刀(頭髪・ひげなどを剃るのに用いる刃物)、戯け(愚か者)
大学でできた男友達の家に遊びに行ったところ、家の中がガラクタで埋め尽くされていたのでお前少しは片づけろよ、と言ったところ彼が、
「仕方ないだろ。俺呪われてんだから」
と言ったので詳しい話を聞いてみた。
「子供の頃親父と山登りに行ってさ。大して高い山じゃなかったんだけど眺めがすごくよくて、山からの景色をずーっと眺めてたら」
こんなところまでよく来たな小僧、と声がしたのだという。声のした方を見ると人の背丈を優に超える巨大な狐がいた。
「その狐、ここまで来た褒美にお前が好きなものをくれてやろうって言ったのに、俺が要らないものばっかりよこすんだ。俺がテレビゲームが欲しいって言ったらどっかの会社の元帳よこすし、プラモデルが欲しいって言ったら錆びた剃刀よこすし……でもあることを思いついたんだ」
狐に自分が要らないものを言えば、欲しいものがもらえるのではないか――彼はそれを実行した。
「そしたら戯け、小賢しい真似をしおって、って言われて顔をひっかかれたんだ。俺が大泣きしたら写真撮ってた親父が戻ってきて、大慌てで山を下りてさ。傷の深さの割には治りがやたら早くて、傷跡も残らなかったんだけど」
それ以来、まるで彼に引き寄せられるように要らないものが集まってくるようになったという。
「一応インターネット使って売ったりもしてるんだけどキリがなくてさ……最近はもう人生自体が嫌になってきたよ」
なお彼の家のガラクタの中から直せばまだ使えそうな石油ファンヒーターを見つけたので、ありがたくいただくことにした。
「仕方ないだろ。俺呪われてんだから」
と言ったので詳しい話を聞いてみた。
「子供の頃親父と山登りに行ってさ。大して高い山じゃなかったんだけど眺めがすごくよくて、山からの景色をずーっと眺めてたら」
こんなところまでよく来たな小僧、と声がしたのだという。声のした方を見ると人の背丈を優に超える巨大な狐がいた。
「その狐、ここまで来た褒美にお前が好きなものをくれてやろうって言ったのに、俺が要らないものばっかりよこすんだ。俺がテレビゲームが欲しいって言ったらどっかの会社の元帳よこすし、プラモデルが欲しいって言ったら錆びた剃刀よこすし……でもあることを思いついたんだ」
狐に自分が要らないものを言えば、欲しいものがもらえるのではないか――彼はそれを実行した。
「そしたら戯け、小賢しい真似をしおって、って言われて顔をひっかかれたんだ。俺が大泣きしたら写真撮ってた親父が戻ってきて、大慌てで山を下りてさ。傷の深さの割には治りがやたら早くて、傷跡も残らなかったんだけど」
それ以来、まるで彼に引き寄せられるように要らないものが集まってくるようになったという。
「一応インターネット使って売ったりもしてるんだけどキリがなくてさ……最近はもう人生自体が嫌になってきたよ」
なお彼の家のガラクタの中から直せばまだ使えそうな石油ファンヒーターを見つけたので、ありがたくいただくことにした。
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