2016年08月30日
二百四十四話 お題:筒抜け(秘密の内容などがそっくり他に漏れてしまうこと) 縛り:義兵(正義のために起こす兵)、豊富(豊かであること)、史料(歴史研究の材料となる文献や遺物などの総称)、競り(競売)、満開(花が十分に開くこと)
古本市で行われた競りで競り落とした史料に書かれていた話である。
昔北陸のある藩で藩主の圧政に抵抗するための義兵が立ち上がった。しかし義兵の中に裏切者がいて内情が筒抜けだった上、兵力も物資も藩主の方がずっと豊富だったため、義兵はすぐに鎮圧されてしまった。義兵の最後の生き残りは満開の桜の木に、どうか自分の命と引き換えに藩主に天罰が下るようにと刻みつけて自決したという。それからすぐに、まるで何かに呼ばれたかのように藩主がその桜の木を見に来た。そして藩主が桜の木のすぐ側まで近づくと、どこからともなく、
「命を懸けて請われた以上応えぬ訳にもいくまい」
という声がして、藩主は桜の木の根元から出てきた手に足を掴まれ、そのまま地面の中に引きずり込まれたという。なお藩主の後は息子が継いだのだが、こちらは善政を敷いたので義兵などは立ち上がらなかったそうだ。
昔北陸のある藩で藩主の圧政に抵抗するための義兵が立ち上がった。しかし義兵の中に裏切者がいて内情が筒抜けだった上、兵力も物資も藩主の方がずっと豊富だったため、義兵はすぐに鎮圧されてしまった。義兵の最後の生き残りは満開の桜の木に、どうか自分の命と引き換えに藩主に天罰が下るようにと刻みつけて自決したという。それからすぐに、まるで何かに呼ばれたかのように藩主がその桜の木を見に来た。そして藩主が桜の木のすぐ側まで近づくと、どこからともなく、
「命を懸けて請われた以上応えぬ訳にもいくまい」
という声がして、藩主は桜の木の根元から出てきた手に足を掴まれ、そのまま地面の中に引きずり込まれたという。なお藩主の後は息子が継いだのだが、こちらは善政を敷いたので義兵などは立ち上がらなかったそうだ。
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