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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年08月18日

二百三十二話 お題:咽び泣く(息が詰まるほど激しく泣く) 縛り:出会い(出会うこと)、浅黄(薄い黄色)、キス(口づけ)、抱負(豊かであること)、ワンステップ(4分の2拍子の社交ダンスで、フォックストロットの変型のステップ)

 大学の友人の話である。

最近彼は元気がなく、一体どうしたんだと聞いてみると、
「あぁ……聞いてくれるか。信じてはもらえないだろうけど」
 そう言って彼は話し始めた。
「俺、最近彼女と別れた、っていうか、いきなり彼女が消えちまったんだけどさ。どうも俺の彼女――過去から今の時代へタイムスリップしてきたっぽいんだわ」
 私が唖然としていると、彼は一度溜め息をつき、続けた。
「まぁ、そうなるよな。でもふざけてる訳じゃないんだ。出会いは家の近所の弁当屋だった。彼女はそこで働いてたんだ。彼女は色んなところが変わってて、でもだからこそ素敵だった。びっくりするぐらい日本の古い色に詳しくて、その中でも浅黄っていう色が一番好きだって言ってたけど、俺はその色のよさが全然わからなかった。初めてキスしようとした時、俺をひっぱたいて逃げたし、俺が部活で社交ダンスをやってるって言ったらワンステップは踊れるのって聞いてきた。ワンステップはクイックステップの元々の名前で、名前が変わったのは九十年近く前なんだ。彼女が過去からタイムスリップしてきたのなら納得できることが、たくさんあったんだ」
 どうして彼女が過去からタイムスリップしてきたとわかったんだ、と聞くと、
「彼女から話してくれたんだよ。元旦に彼女が一年の抱負を聞いてきて、俺は彼女と一緒に毎日楽しくすごすって答えた。そしたら彼女が言ったんだ。私は過去から来た人間で、もしかしたらまた時間を越えて未来に行ってしまうかもしれないって。俺も最初冗談だと思ったよ。でも、彼女は消えちまったんだ。一緒に映画を観てて、俺は彼女の肩を抱いてたのに、気づいたら彼女の感触がなかった。彼女はまるで初めからいなかったみたいに消えちまったんだ。泣いたよ。咽び泣くってこういうことなのか、って思うくらい泣いた」
 私は彼に、大丈夫か、と聞いた。すると彼は、
「辛いよ。死にたいくらい辛い。でもさ、気づいたんだよ。彼女が未来に行ったのなら、その時まで俺が生きてさえいればまた彼女と会えるかもしれないって。生き続けてやるんだ。五十年でも、百年でも、彼女にまた会えるその時まで」
 決意に満ちた声でそう言った。

posted by ペン牛 at 15:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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