2016年08月10日
二百二十四話 お題:佳良(優れていること) 縛り:経産婦(既に出産を経験している女性)、細緻(細かく行き届いて、綿密なこと)、赤信号(危険や停止を示す赤色の交通信号)、純度(品質の純粋さの度合い)、警戒線(重大な犯罪や災害などが発生したときに、一定の区域に警官を配置して検問や通行禁止などを行う警戒態勢)
知人の男性記者から聞いた話である。
「三年くらい前かなぁ。正に頭のいい馬鹿って感じのやつが捕まったんだけど、ニュースにもなったからお前も知ってるんじゃないか?」
彼の言う頭のいい馬鹿についてなんとなく心当たりはあったが、詳しいことは知らなかったので、彼に詳しく教えてくれと頼むと、
「おう、任せろ。まぁその馬鹿は言っちまえば偏見の塊でな。女は若ければ若いほど優れているが、若くても純潔でない女には一切価値がない、だから価値のない女は積極的に排除していこうっていう考えを広めて、信者みたいなのをどんどん増やしていったんだよ」
その男性はネット上で自分の信者達とコミュニティを作り上げ、更に無価値な女性を排除する行動を取れば取るほど思想の純度が高まると信者達を扇動したのだという。
「考えは馬鹿丸出しなのに、信者を増やしていく手口は慎重かつ細緻っていう最悪なパターンでな。結果として経産婦を中心に百人以上の女性が殺傷された。まぁその馬鹿が逮捕されたことで全部終わったんだけどな」
男性が逮捕された後信者達は活動しなかったのか、と聞くと、
「あぁ、それなんだけどよ。その馬鹿、警察から車で逃げ回って警戒線が敷かれたんだが、それを突破しようとして赤信号を無視したせいで女の子を轢き殺しちまったんだよ。そのことが報道されたおかげで皆目が覚めたのさ。なにせ若くて純潔な女以外は価値がないって言ってたやつが自分の手で女の子を殺したんだからな――まぁ、ああいう馬鹿の記事は金になるから、俺としてはそこまで嫌いじゃないんだがね」
そう言って彼は喉飴を一粒口の中に入れた。
「三年くらい前かなぁ。正に頭のいい馬鹿って感じのやつが捕まったんだけど、ニュースにもなったからお前も知ってるんじゃないか?」
彼の言う頭のいい馬鹿についてなんとなく心当たりはあったが、詳しいことは知らなかったので、彼に詳しく教えてくれと頼むと、
「おう、任せろ。まぁその馬鹿は言っちまえば偏見の塊でな。女は若ければ若いほど優れているが、若くても純潔でない女には一切価値がない、だから価値のない女は積極的に排除していこうっていう考えを広めて、信者みたいなのをどんどん増やしていったんだよ」
その男性はネット上で自分の信者達とコミュニティを作り上げ、更に無価値な女性を排除する行動を取れば取るほど思想の純度が高まると信者達を扇動したのだという。
「考えは馬鹿丸出しなのに、信者を増やしていく手口は慎重かつ細緻っていう最悪なパターンでな。結果として経産婦を中心に百人以上の女性が殺傷された。まぁその馬鹿が逮捕されたことで全部終わったんだけどな」
男性が逮捕された後信者達は活動しなかったのか、と聞くと、
「あぁ、それなんだけどよ。その馬鹿、警察から車で逃げ回って警戒線が敷かれたんだが、それを突破しようとして赤信号を無視したせいで女の子を轢き殺しちまったんだよ。そのことが報道されたおかげで皆目が覚めたのさ。なにせ若くて純潔な女以外は価値がないって言ってたやつが自分の手で女の子を殺したんだからな――まぁ、ああいう馬鹿の記事は金になるから、俺としてはそこまで嫌いじゃないんだがね」
そう言って彼は喉飴を一粒口の中に入れた。
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