「国立情報学研究所の山本喜久教授が量子コンピュータの新しい計算原理を考案」
日経新聞の記事によれば、特に注意を引くのは
・ 今程度のスパコンなら手のひらサイズで実現可能
・ 現在のスパコンで年単位の時間がかかる計算を1秒で(1年=31,536,000秒)
・ 試作機は5年後完成予定!
の3点。新薬開発等は、従来の量子コンピュータでも言われていたことなので、ここでは除外。
「大きく出たな」「ハッタリだ!」「スパコン詐欺か?」
人々がそう思うのは無理もありません。5年でこれだけの事が実現できるなんて誰も思わないでしょう。僕もさすがに眉唾かなぁと思うのですが、ブレイクスルーと言うのはこういうものなのかもしれませんね。
量子コンピュータの開発が遅々として進まないのは、演算に用いる量子ビットの制御が難しいためだと言われています。それに比べ、新原理の量子コンピュータでは、必要な技術のほとんどが出揃っているそうなので、5年と言う短期間での開発が可能らしいのです。
今まで量子コンピュータといえば
「”観測”されていない量子が重ね合わせの状態をとる」現象を利用したもので、従来のコンピューターとは比較にならないほど高速な並列計算が実現できるとされていますが、今回の発表によると新しい量子コンピュータは
ボース・アインシュタイン凝縮(以下、BEC)という現象を利用するそうです。
実際にはBECの利用は2007年頃からずっと言われ続けていたことなので、実は今更な事なのかもしれませんね。それとも、新しい計算原理はもっと最近の発明なのでしょうか?
BECが起こると原子はどれも、速さがほぼゼロの同じエネルギー状態に落ち込みます。この状態では個々の原子の位置と速度を表す
波動方程式が同じものとなり、それぞれを区別することが出来なくなります。こうなると、同じ状態にあるすべての原子群はひとつの原子のように振舞うらしいのです。しかし、それでどうやって計算を行うのか?
日経の記事から
新しい原理は量子コンピューターの計算に利用する。問題の入力から答えを求める際にレーザー光を活用。光回路に解きたい問題を組み込み、レーザー光を入れる。レーザー光は光回路に合う状態に変わり、答えを出すという仕組みだ。 |
さっぱり分かりません。
人間原理空間 岡田健吉Homepageから
“BECを使って物理系を素早く冷やすことにより問題の最適解を見出す”という“冷蔵庫のような量子コンピューター” |
さらに分かりません。
人間原理空間からもうひとつ。
多数の粒子を冷却しBECを起こした時そこに答えが出現する。従って量子現象を利用して高速計算するという点では既存の量子コンピューターと似ていますが使う量子現象や計算方法は全く違う。 既存の量子コンピューターのように「アルゴリズムに従って量子計算を重ねて行くのではない」 |
もうホント、誰か分かるように説明してください。
最後に(これ以上はもう……無理……)
CiNii 論文情報ナビゲータから
ボース・アインシュタイン凝縮を使用して高速化された最適化問題探索の動的モンテカルロ法の研究 |
リンク先のプレビュー画像をクリックすると論文が読めます。英語okな人には。
モンテカルロ法! やっと具体的な方法論に当たった気がします。モンテカルロ法は統計学的な手法。アンケートを大量に取れば大体の傾向が分かります。クイズ番組の4択問題で視聴者が電話で投票できるシステムがよく見られますが、大体正解の項目に票数が集まりますよね?
生物が自然淘汰で最適な姿を獲得していくように、自然界には最適解に収束していく何かがあるように感じます。
ただ、条件設定の方法やレーザー光と凝縮体の使いどころが分かりません。英語の論文が読めれば、もっとハッキリした事が分かったかもしれないのですが残念です。