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2020年02月10日

ちょっと長い旅路で思ったこと

やはり、モノ作りする中年の男は、いい。
気持ちが何だかほてって、そのほてりを醒ますために、人込み甚だしい渋谷の街を少し歩いた。

なんでこんな浮足立っているのか、自分は。
顔のいい男、若い男とは会っている。
けれど、こんなぽっとなるような感覚は久々。
自分はやはり、男の筋の部分で恋するのだと。

自分がこんな色めきだったのには、もう一つ理由があった。

生ける色女、瀬戸内寂聴。
彼女の不倫相手、小説家の井上光晴と、その妻の三角関係を描いた「あちらにいる鬼」。
心がギュッとねじられて、お腹のあたりがすーっとする。
あ、この風景、私見たことある。
そんな自分の恋愛とフラッシュバックして、そして、嫉妬心すら抱かない主人公「みはる」に腹を立て、羨望の眼を向ける。
色恋なんて、と、仕事仕事としていた自分に、真っ赤な紅がぽつりと一滴たらされた感じ。
そうそう、この感じ。
恋愛ってこういうものなんだ。
こうあるべきなんだ。

最近、ちょっと薄っぺらい関係ばかりに慣れすぎていたのかもしれない。
私が次の男に浸れないのは、このずぶずぶに自分を引きずり込む、強引で、強欲で、幼稚で、そして色気が蒸せるほどにある男と出会えていないから。

顔がいい馬鹿ほど質の悪い男はいない。
泥沼にはまって、このいやらしいの、嫌い、と言いながら、その人の横顔を見て、あ、今私は恋に落ちた、という、長らく感じていない体のほてりを、また、もう一度体感したいものだと、本にしおりを挟んだ。


最近、恋愛してますか。









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