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2021年10月03日

私は名作が書けない

2012、2013年にCXで放送された「リーガルハイ」を見て、つくづく自分がみじめになる。
ありのままの世の中の姿、人間の姿を、ストレートに、芯を射抜いて描き切る。
正義なんて生ぬるい戯言を抜かす理想主義者に唾を吐くかのようなセリフ回しに、私はいつも嫉妬する。

私は名作が書けない。
冴えないライティングの原稿を前に、気がノらないことにふたをして、作業としてタイピングする。
知識が増えたじゃないか。
これをやり遂げたら5万円。

生きていくための手段である。
本来仕事とはそういうものだ。
これまでが異常だった。

それこそいつまでも理想を追いかける生ぬるい朝ドラのヒロインを演じている気になっていたのであろう。

それでもあきらめきれない創造欲。
今の若者は本質を見抜く鋭い感性を持つと思うが、哲学を持たない。
私はその哲学で生きてきた。

若くて女の子であれば誰しもちやほやされる。
これは当たり前の話。
だれでもちやほやされる。
このことを勘違いしていると、25に迫る年になったころには、だれにも振り向かれなくなる。

私は誰よりも欲深い。
若いころに受けたちやほやは「若くてかわいい」ではなく、「あなたは他と違う」「才能がある」「容姿と腕が揃っている人はいないから、がんばりなさい」。
そこらへんに転がっている誉め言葉の存在を消し去るほどのちやほやを受けてきた。
これがいけない。

私は名作が書けない。
このコンプレックスから、自分自身を救い出したい。
本当は。
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