2013年05月06日
キャノンの決算書流し読み
投稿者 株式トレーダーM
私の日本企業で好きな企業の1つである、キャノンの前期ではありますが有価証券報告書
が平成25年3月25日に提出されていましたので、ゴールデンウィークということもあり見て
みました。
なぜ私がキャノンがお気に入りかというと、毎年フリーキャッシュフローがプラスという理由が
一番の理由です。
つまり例えば100億円の現金を稼ぐのに50億円の投資で国際競争力を維持できています。
言い換えれば毎年50億円の現金がのこるのです。
しかし例えば100億円の現金を稼ぐのに200億円の設備投資を必要とする業界では毎年
100億円の現金流出が続き、前にも述べましたが行き着く先はシャープのようになります。
具体的にキャノンは毎年フリーキャッシュフローがいくらあるか有価証券報告書から
見てみましょう。
2008年12月期 営業CF6166億円 投資CF4724億円 フリーCF+1442億円
2009年12月期 営業CF6112億円 投資CF3702億円 フリーCF+2410億円
2010年12月期 営業CF7444億円 投資CF3421億円 フリーCF+4023億円
2011年12月期 営業CF4695億円 投資CF2565億円 フリーCF+2130億円
2012年12月期 営業CF3840億円 投資CF2127億円 フリーCF+1713億円
2013年12月期 営業CF4800億円 投資CF3500億円 フリーCF+1300億円
(注1)青字の2013年12月期のフリーキャッシュフローは2013年4月24日発表の
第一四半期決算発表資料のキャノン発表の最新予測。
(注2)CF=キャッシュフローを略しています。
過去五年間一度もフリーキャッシュフローがマイナスになったことがなく、先日発表した
最新の今期予想でもフリーキャッシュフローは1300億円のプラスです。
これは偶然にそうなったわけではなく、明らかにキャノンはフリーキャッシュフロー
を意識した経営を行っている会社だといえます。
毎年営業活動から得た現金から設備投資を引いてもお金が残り、キャノンの場合残った
お金で株主のために配当金を払い、自社株買いを行ったりしています。
これは株主にとっては朗報といえます。
日本の電機各社は韓国のサムスン電子等との競争に敗れてしまいましたが、あのサムスン
電子もいまだ一眼レフカメラの牙城は崩せずにいます。
しかし有価証券報告書P19に書いてありますが、ミラーレス一眼レフの普及度合いを注意
深く見ていく必要はあります。
以下にキャノンの有価証券報告書P19ページの文面を引用させていただきます。
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デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク
ミラーレスカメラは、従来のデジタル一眼レフカメラにおいて重要なキーパーツの一つである
ミラー機構を廃、これまで以上に小型・軽量化を実現したレンズ交換式のデジタルカメラです。
当社も今年ミラーレスカメラを発売しましたが、今後各地域においてレンズ交換式デジタルカ
メラに占めるミラーレスカメラの比率が拡大し、なおかつ当社がミラーレスカメラの市場シェア
を獲得できない場合、従来デジタル一眼レフカメラ市場で主導的立場にあった当社の地位が、
相対的に低下していくリスクがあります。
(キャノン 112期有価証券報告書P19より引用)
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キャノンも認識してるようにミラーレス一眼レフはサムスン電子でも容易に作ることができます
日本の最後の牙城である従来のデジタル一眼レフカメラがキャノンの生命線といえるかもしれ
ません。
その他最新第一四半期(1−3月期)決算をみても、在庫水準、売掛金その他バランスシート
は特に気になる点はありません。健全レベルを維持しています。損益計算書を見ても売り上げ
総利益は47.3%と横ばい水準を維持しています。
円安に助けられている感はありますが、キャノンは依然国際競争力をもった企業であると再
確認できました。
後は株価ですが、残念ながら個人的にはキャノンの今の株価はフェアバリューで、市場に
適正に評価されていて特別に割安感があるとは個人的に考えていません。
なにかの理由でキャノンの株価形成にひずみが生じたら、ぜひ買ってみたい会社であります。
参考資料
第112期キャノン有価証券報告書
2013年12月期第一四半期決算短信・決算説明資料
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