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2022年12月12日

昭和天皇がポツダム宣言を受諾したのは、虐殺から国民を守るため

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私が昭和天皇の3つの大きな功績のうち、2番目に挙げなければいけないと思うのは、ポツダム宣言を受諾したことだと思うんですね。
若き頃の私は、今のようにきちっと物事を考えることができなかったですね。一つは能力がなかったこと、それから自分の先入観というものに囚われて、それに支配されることがあったということと、それから他の人が言ったり、それからテレビとか新聞に書いてあることをそのまま自分の考えのように錯覚をするという、そういうまあレベルの低い段階でありました。

32の時に第1弾のそういうことを目覚めました。私がそれまでに行動していることは、自分がいいと思って行動してるんじゃなくて、社会がそういう風なものだと言われていることを行動してたということを知ったのが32の時でしたね。

それから少しずつ成長してきまして、42の時に体が元気になってきてから、まあもちろんテレビとか新聞とか書籍、それから私の恩師とかいう方々が言われることを非常に参考にしました。しかしやはり常にどんな場合でも事実ベース、事実がよく自分で分かったなと思ったら、まあ自分で自分の考えを作っていく。しかし作ってもそれにこだわらずに、また次の新しい事実なり、そういうのが入ってくれば、それに応じて変える、もしくは変えた時に他の方にご迷惑をかけたときは謝ると、そういうことができるようになりました。

それで今日の2番目のですね、昭和天皇の3大功績の2、ポツダム宣言の受託。これは私はですね、もう反省しきりなんですよ。っていうのは、日本は戦争に負けたと思ってたんですよ。敗戦ですね。敗戦、戦争に負けたので、仕方なくポツダム宣言を受諾して、降伏したと、こう思ってたんです、実は。
それでその時にはどうしてそう思ってたかっていったら、みんなが敗戦敗戦って言うものですからね、自分も敗戦だと思ってたと。こういう言葉一つのですね、みんなが敗戦と言ってるから敗戦だと考えてたのは、私は40以下の時ですね。

敗戦、日本が戦争に負けたと言ってても、自分で本当に負けたのかということを確認するまでは、敗戦という言葉は使わなかったですね。
もちろん侵略戦争だとみんなが言っても、自分でひとつひとつ戦争の実態をして、本当に侵略なら侵略というふうにすると、そういうのが1つでした。

それで50ぐらいまでかかりましたかね。これもっとかかったかもしれません。
日本は敗戦なのか終戦なのか、ということを考えましたね。で、それと共に、戦争というものはどういうものなのか。ギリシャからローマ時代の戦争から始まって、中国もずいぶん戦争をやっております。ヨーロッパも100年戦争をはじめとした、もう長大な戦争をやってますね。
それからヨーロッパは非常にこう戦争で苦しんだもんですから、ウエストファリア条約、これ1648年ですね、それから近世ではパリ不戦条約とかまあそういうのが、一つは平和をもたらすための戦争のルールなんかをこう話し合った一つの例ですね。

そういうやつもずっと勉強し、並行して日本の戦争の状態をつぶさに、またこれも勉強しました。 当時はやや好戦的な本でありましたけど、「丸」という雑誌もありましてね。それを読みふけったりしました。
というのは私はですね、もともと戦後に教育を受けたものですから、どちらかと言ったら教育の中心はヨーロッパ史観、もしくは占領軍史観だったもんですから、逆側のものから見ないと、両方がよく分からなかったんですよ。それでまあ両方を読むということで、その「丸」なんかも一所懸命読みました。それによってだんだん戦争の実態、戦争っていうのはどういうものかというのが分かってきましたね。

このヒバリクラブでも1回か2回はお話ししましたが、戦争というのはルールがあるんですね。昔はルールがなかった。昔はっていうか紀元前はですね、あまりルールをはっきりしておりませんでしたが、基本的には戦争は人間として避けられない、むしろ避けるというよりか、賛美する傾向もあるんですね。
正義のために剣を取れ、国を守るために剣を取れっていうのは、これまあ人間の基本的な、まあいわば道徳の一つなんですよ。

剣を取るということは戦争をするってことですね。これで多くの人も間違っておられまして、例えば平和運動っていうのあるんですよ。リベラルの方のやってる平和運動って本当におかしなもんで、平和のために剣を取れとかね、平和のために戦えなんて言ってるんですけど、これは一体何を言ってるのかって分かりませんよね。それでこういったことがありましてね。

で戦争っていうのは私も深く理解をしました。ですからいろいろその後のですね、例えば生物兵器とか、それから化学兵器がなぜ禁止されているのか。なぜ非難の対象になるのか、とかですね。そういうことも一所懸命勉強いたしました。
その結果、まとめれば、これはもうこのひばりクラブで1、2回言っておりますので、お聞きになってる方はもう理解されてると思いますけれども、戦争というのは兵隊と兵隊が戦争するんですね。軍隊と軍隊と言ってもいいと思うんですよ。つまり相手を殺す武器を持ってる人たちが、その同士で戦うんですね。これが戦争というものなんですね。

この頃は戦争でないものを、戦争戦争って言ってるんですけども、まあ私がよく講演会なんかで言うのはですね、道で縄跳びをして遊んでる小学校の女の子にライフルを向けて撃ち殺すのは、これ戦争じゃないって言ってるんですね。これは虐殺だ。殺人とか虐殺とかいうのであって、決して戦争ではないと、こう言ってるわけですね。これがまず第一の条件なんですけど、もう一つはですね、降伏できるってことなんですね。

降伏して捕虜になることができる。これはまあ割合と近代からなんですが、まあそれでも過去にもですね、そういうことをやってた国もあります。
自分がもうどうしても、これは負けるというふうになったら白旗を掲げて降伏すると、自分が殺されることはないんですよ。ちゃんと捕虜として処遇されて、人間らしい処遇をされるんですね。その時はもう細かく決まっております。指揮官がまず出てきて、白旗を掲げる。兵士はその後に付いて来て、肩の後ろにこう鉄砲とかそういう武器を置いて、そして出てくる。で武装解除されたらちゃんと降伏した相手の敵軍の指示に従うという、これきちっとしたルールがあるわけですね。
だからまあそれは実際上も実行されております。

例えば有名なワーテルローの戦いですね。19世紀の初めに行われて、ナポレオンが失脚した最後の戦いなんですけども、その時にナポレオンの近衛兵は、これはだいたい近衛兵というのは真っ白な服着た貴族のだいたい長男なんかがやるんですね。プライド高いわけですよ。最後に多くの連合軍に囲まれて、さあ降伏しろと言われたんですが、フランス近衛兵は、自分たちの名誉をかけて降伏しないと。全部殺してくれと。まあこう言って死んで果てたというのもあるんですが。必ず戦争はそういうルールに従ってやられるものなんですね。

さてそういうことを私が十分に勉強した後、この大東亜戦争の終わり方っていうのを十分見てみましたらね。色々理屈があるんですよ。日本軍はもっと前から降伏するべきであったとかね。硫黄島ぐらいまではいいけど沖縄戦ぐらいからあとはもう、降伏するのが良かったんだっていうことを論じている評論家なんかいるんですけど、僕も最初それに引っかかりましてね。もうちょっと降伏が早ければいいなと思ったけど、とんでもないことだったんです。逆だったんですね。つまり1945年、日本が戦争が終わる1945年の3月頃には、だいたい戦争っていうのは実はもうしてなかったんですね。

硫黄島の戦いまでは明らかに戦争でした。硫黄島という場所で、日本軍とアメリカ軍が戦うということですから、これはもうまさに戦争なんですね。
沖縄戦になりますとね、かなり微妙で、沖縄の島に一般の人はいましたね。ですから少なくともアメリカ軍は、沖縄の島を囲んだ後、1週間ぐらいが必要でしょうね。これから戦争に入るから、島の中に日本軍がいるのは全然構わないけど、島の人たちは、例えば北の方に逃げてくれと。沖縄は島が長いですから、北半分のジャングルの中に潜んでたら怪我しませんからね。それから戦争をやるとかですね。それから島からボートとか船で逃れる人をちゃんと手伝うということは、米軍がやらなきゃいけなかったと思います。しかし沖縄戦についてはまだ議論があると思うので、ここではちょっとそれを避けて東京大空襲ですね。これから話を始めますと、4月に入ってからってことがいいかもしれませんね。

1945年の4月5月6月7月8月の前半まで、日本は全くアメリカ軍と戦争しておりません。何でかって言ったら日本軍とアメリカ軍が正面衝突したのは、せいぜい戦艦大和、これも沖縄戦の途中ですけど、そういう時であってですね、軍隊と軍隊がぶつかったってことは、ほとんどないんですよ。ですから1945年の4月からは、東京大空襲にしろ日本各地の空襲にしろですね、それから広島、長崎の原爆にしろ、これ全部戦争ではありません。虐殺ですね。っていうのは戦争の要件を果たしてないんですよ。

まず例えば東京大空襲については、ここではずいぶんお話をしましたので、広島の長崎の原爆が簡単ですからこれで行きますとね。
広島上空にエノラ・ゲイっていう名前のついたB29がやってきますね。原子爆弾を抱えて。戦争であればまず、原爆を落とすと被害を受ける先に民間人がいてはダメなんですよ。
だけどあの当時もう広島にはほとんど軍隊はいなくて、女性、子供がほとんどでしたから。ですからもともと広島に原爆を落とすということが戦争行為でありませんが、それでも広島に落とす必要があったとしますね。そうしましたらスピーカーで、B29からですね、繰り返し繰り返し広島の住民に向かって、これから原子爆弾っていう爆弾を落とすと。広島の中心地から10キロぐらいにいる人は全部死んじゃうから早く退避しろと。退避の期限はまあ10キロぐらいだったら1日で逃げられますから。明日もう1回来て、原爆を落とすから、ちゃんと逃げろと。こういうことをやったり、ビラを配ったり散々してですね、みんなが降伏する余裕がまず必要なんですよ。
それからもちろんそういうことをやればね、日本軍は今度高射砲を準備して、アメリカ軍が来たら高射砲で撃ち落とすということやるでしょうし、それこそが実は戦争なんですね。
相手にも十分な準備をさせて、軍隊と軍隊で戦うよということが、まあいわば典型的な戦争であります。

しかし何もしませんでした。広島市民は日常的な生活をしていて、女子供がほとんどで、軍隊ほとんどいないという街に、原子爆弾が落ちて、一面焼け野原になったわけですから、これはもう典型的な虐殺なんですね。 ということは4月ぐらいから始まった日本本土への空襲ですね。それから広島、長崎の原爆投下っていうのは全て虐殺であります。で日本軍はその時どうしていたかというと、これはもう日本列島に下がって、国を守らなきゃいけないということで、確か第一軍艦区から第6ぐらいまででしたかね、軍艦区を決めて、エリアは消して、そこに日本軍がずっと武器を持って待機してたわけですね。アメリカが上陸したらやるぞと。アメリカ軍は日本に上陸して日本軍と戦ったら、どのくらいのアメリカ軍の方に死者が出るかっていう計算をしておりまして、大体60万人ぐらい死ぬかなと言われておりましたね。第二次世界大戦でドイツを攻めた連合軍とソ連軍は、共にベルリンまで行ってドイツ軍を壊滅し、それの指導者だったヒットラーが自殺しましたね。これが敗戦というものなんです。

軍隊がいなくなって降参したというのは敗戦です。もちろん。軍隊はいなくなるまでに白旗を上げることができますが、いずれにしても軍隊が対応するのが戦争であります。しかしもうこれ虐殺に継ぐ虐殺なんで、昭和天皇がお考えになったことはですね、戦争ならまだ日本軍が戦うんだから、軍隊ですから戦争に敗れて死ぬのはこれ軍隊なんですから、これ残虐でも何でもないんです。
ところがもう4月から戦争はもう終わってると。アメリカ軍は全然上陸してこない。空襲をしたり。空襲もですね、もちろん当然ながらまずは日本軍を狙ってやらなきゃいけないですよ。ところがアメリカ軍の空襲は、東京大空襲もそうですし、それから名古屋も付近とかそういうのが全部市民を狙った空襲をしました。これはもう残虐行為なんですね。それで昭和天皇はそれに耐えられなかったわけですよ。日本人が虐殺するのを耐えられない。だからまだ日本軍が日本列島に十分にいてもですね、やはりここはもうポツダム宣言を受諾するしかないということで、ポツダム宣言を受諾しましたので、昭和天皇は戦に負けて、降伏したんではではないんですね。日本の民族を虐殺から守るために、ポツダム宣言を受諾したわけです。従ってあのポツダム宣言受諾の玉音放送については、軍が絶対そういうことさせないと。いくら天皇陛下でも、それはちょっとひどすぎると。まだ我々は負けてないんだから、という気持ちがあったのは当然であり、かつ8月15日の後にですね、千島列島に侵入してきたロシア軍を日本軍が迎え撃ったというのも、別段おかしくはないんですね。
敗戦して武装解除したわけじゃなくて、これ以上家族が虐殺されるのを見ておられないという天皇のお気持ちからポツダム宣言を受諾したんであると。

このことはもう本当にはっきりと、我々日本人は理解しておく必要がある。いくらね天皇陛下がもうお亡くなりになったので、自分のお気持ちはもうお話できないとか、そういうことじゃなくて、我々日本人はですね、天皇陛下がどういうお気持ちでポツダム宣言を受諾されたか。戦争はどのくらいまで続けられたのか。何が一番良かったのか。ということもう1回心を平らにして、新聞とかテレビがどう言ったかとかアメリカ軍がどう言ったかとかいうことを関係なくですね、事実をご自分で精査して、そしてご自分の意見を作ってもらいたいと私は思っています。

武田邦彦 ヒバリクラブ
昭和天皇の3大功績(2)ポツダム宣言受諾 2022.11.29
https://youtu.be/-jzbdFP_41k


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