2022年12月05日
EUの大統領 現代8
ひばりクラブをご覧の皆さんはですね、まああのかなり先端的なことを本質的なことをご理解いただいていると思うので、まだ世界には民主主義があるというふうに思ってる方あまりないと思うんですね。
先回ドイツ、アメリカというふうに話してきました。ドイツも、国民の電気代が3倍ぐらいになって、全然自分たちと関係ないウクライナの戦争に加担することを強制され、ドイツに来ていたロシアからの天然ガスパイプラインの供給が止まるというような事態になっておりまして。何のために国を運営しているのか全然分からないというような状態になってますよね。
それからイギリスはこの前、なったばかりの首相がすぐ退任しまして。退任した理由は、大臣の中にいわゆるグローバリストっていうんですかね、世界支配者、次の世界を支配したいと思うなんか訳分からない人たちから閣僚を送り込まれて潰れてしまいました。だからこれも国家主権のもとでの民主主義っていうのはもう、イギリスにはないんです。
それから3番目にアメリカですね。アメリカの今度の中間選挙の結果を見ると、もちろん選挙におけるインチキとか、まあそういうものを別にしても、ほとんど同数の民主党と共和党が選挙ごとに変わって、51対49が今度49対51になったとか、そういうことで政策が大きくぶれてるわけですね。これもやはり国民の民意を組み込んで政治をやるという民主主義の形じゃないです。
さらにすごいのはヨーロッパ全域なんです。今日はちょっとここにあの誰も知らない大統領ってことで、1人の顔を出しました。これはシュルツ(注:2012年1月17日から2017年1月17日まで、欧州議会議長)っていう人です。それでこの人は、実は大統領かどうかもはっきりしないんですね。EUの大統領と言われる人だと記事に書いてありました。
普通大統領って言われる人はね、もうひとりいるんですよ。トゥスク(注:2014年12月から2019年11月末まで、欧州理事会議長)っていう人が。この人は欧州理事会のトップなんですね。 欧州理事会も、シュルツが議長をやってる欧州議会もEUの立法機関なんです。だから、立法機関だから大統領っていうの変なんですよね。大統領っていうのは行政の方ですからね。議会とは違いますから。だから多分、ネットを書いた人も、この誰も知らない大統領って書いてあるんですけど、EUのシュルツさんっていうのを知らないんですよね。
僕の認識では、今まで欧州議会の議長さんだったような気がするんですよ。
立法機関の議長っていうのは別に議会で多数決を決めた方がやりますから、自分の意思っていうのはそれほどはっきりと示していけないんですね。これはあのインドネシアで今行われているG20で、中国少しあんまりでしゃばるなとか言ってるやつの記事なんですが、一体世の中どうなってるんですかね、これ。
アメリカは大統領、イギリスは首相、ドイツも首相、フランスは大統領、日本は首相、中国はなんか分からないけど習近平、こういう風になってるわけですよね。ロシアは大統領。これは一応みんな選挙の、中国は共産主義ですから別ですが、一応選挙の洗礼を受けて、そして多くの人が、顔はもちろん知ってると。フランスのマクロンの大統領、まあまあやってやると知ってると。少し有名になるとドイツの元のメルケル首相をみんな知ってると。少なくとも自分の国の首相とか大統領は知ってる。ところがこの人はほとんど顔を知らない。しかも記者も知らなくて、この議長のことを大統領と言ったりしてる。
で他の資料ではEU理事会のトップ、トゥスクさんのことを大統領って書いてあったりする。
それからEUの大統領に相当する人は、委員会というのがあって、委員会が閣僚会議みたいなものなんですけど、これのトップは、ユンケル(2014年から2019年まで、欧州委員会委員長)さん。だから行政はユンケルさんですね。
誰も知らないですよ。だって選挙の洗礼を受けてませんからね。
EU議会、欧州議会って言ってもですね、これは各国で選ばれた人が互選しますから、まあちょっと首相に近いって言えば近いけど、ちょっとそれも強弁ですね。ってことはどういうことかと言いますと、EUはEUに加盟している国の上にいるんですよ。これは何を言ってるかって、変なことなんですね。国家主権で選ばれた首相より決定権を持ってるのが欧州委員会というところにいるってことですよ。
欧州委員会っていうのは選挙で選ばれてるか。まあ部分的には選挙で選ばれると言えないことはないけども、例えばEU理事会とか欧州委員会なんかは、これどういう人が立ってるかってちょっと調べても、すぐには分からないんですよ。どういう選挙結果とか選出結果で出来たか分からないんですよ。
これは恐ろしいことですよね。それは共産主義とか今までの絶対王政とか封建主義では、それは世襲であるとか、縁故であるとか、誰かの息子であるとか、まあそういう人がトップに立つわけですが、今世界は民主主義のはずなんですけども、実はEUができた時にEUの選挙っていうのは行われてないんですよ。EUの選挙というのは、そこの国民がEUに参加している国民が投票するのはないんです。やっぱり国家単位なんですね。イタリアの首相、フランスの大統領。ところがその上の人がね、でかいこと言ってんですよ。G20に出てきてね。G20ってEUが出てくるのかどうかも疑問ですけどね。とにかく出てきて。EUはだからダブルですよね。フランスも出てくる、EUも出てくるっていったら、フランスの権限は1.2倍ぐらいになりますからね。喋る回数から言って。だから日本は、これは不当ですよと言わなきゃいけないでしょうね。
まあいずれにしても、ここで非常に重要なのは、誰も知らない大統領、まさにそうなんですよ。要するに我々は今ですね、長い間、日本で言えば飛鳥時代ぐらいから、中国で言えば清の時代、メソポタミヤで言えば紀元前3500年ぐらいにできた国家主権、それに基づいてずっとやってきて、民主主義であれ何主義であれ、国家主権が一番上だと。それに加えて民主主義で選挙っていうのができて、決まり方はいろいろあっても国民の投票によって決まったトップがその国民の政策をやって、幸福にしたり不幸にしたり戦争を起こしたりすると。
それは変な人もいると。中にはヒトラーみたいな人もいた。ヒトラーってなかなかいいんですよ。ヒトラーを悪く言うのはヒトラーのことを正しく伝えてないからなんですね。ちょっとそれはあまりに皆さんの意識と違うんで、ここで一言で言っときますと、ヒトラーが登場したのはフランスがあまりに過酷な、第一次世界大戦の戦時賠償を要求したために、ドイツはもう経済が破綻してしまって、ある年の正月に300円で買ったパン、300円でパンが買えたと。そのパンがその年の大晦日、1年経ったところでは家も買えないと。4000億円だったかな、パン1つ。そうなっちゃったんですよ。まあものすごいインフレですね。この中でねどういう政権を選ぶか。もうたまらないですよ。その時のドイツに住んでた人の身になってみればね、正月に400円でパン買ったのが暮れになると4000億円になると。貯金はもちろんできないでしょ。生活をどうしていいか分かんないじゃないですか。給料をもらって例えば50万の給料をもらったら、その給料を使い切る。月末にはもうそれ5円ぐらいになっちゃってるんです。どうにもならないんですよ。生活のしようがないんですね。そういう中でもうヒトラーのような、ああいうちょっと特殊な政策を持ってるところしか生きていかなかったんですよ。そしてその通りになりました。
ヒトラーがドイツの首相になってからは、ドイツ人は安心して生活ができるようになりました。それを言わないで、400円のパンが4000億円になったってことは言わないで、ただヒトラーが出てきたのはおかしいっていうのはよほどね、なんか本当のこと知りたくないと、全部感情でやりたいっていうことですね。
そういう点ではこの欧州理事会、これが我々にも影響してるんですよ。だってヨーロッパが決めることっていうのは貿易にしろ軍事にしろ今度のウクライナにしろ、日本人の生活とか幸福にもすごく大きな影響はあるんですね。ですからせめて我々は、この人たちがちゃんとした民主主義の手続きの中で出て来たんなら、それは諦めはつきますよね。ところはそうじゃないんですから。イギリスがあのブレグジット、つまり欧州という組織から離れた一つの原因は、この不明朗な制度にもあるんです。
その他に、東ヨーロッパの人たちがどんどん移民で入ってくるというようなこともあるんですけどね。まあ複合的ですね。しかしやはり、こういうことはいけない。それでこれはいけないかどうか分からないですよ。実はいけないとあまり言っちゃいけないんです。つまり今は、世界は何で争ってるか。これまでの国民主権で行くのか、それとも名もない人、全然知らない人たちが世界を支配して、そこで世界に対して指令を出すと。もしくはまあ今度だってインドネシアのG20で、このEUの人たちがどんどん口利いてるんですよ。もちろん環境の国際会議とか、国連なんていったらガンガンやってるんですよ。そういう非常に不明朗なことで我々はいいのかと。
我々が住んでる社会はそれでいいのかということを考えなきゃいけないと思いますね。
私は個人的には現在のところ反対ですが、これから100年、200年経った時に、世界が世界政府になってるのか、それとも国家主権でやってるのか。これが一番の問題ですね。これを一番我々は今考えなきゃいけないと思います。
武田邦彦 ヒバリクラブ
現代(8)誰も知らない大統領 2022.11.20
https://youtu.be/2z9lXdlglMk
画像引用 wikipedia マルティン・シュルツ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%84
※注 現職はそれぞれ下記の通り
欧州議会議長 ロベルタ・メツォラ氏
欧州理事会議長 シャルル・ミシェル氏
欧州委員会委員長 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏
※注 このサイトは、武田先生の配信を伝えるのが目的で行っていますので、一部を切り取ることはせず、原則この配信のすべてを文字化していますが、内容のすべてを肯定しているわけではありません。
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