武田邦彦先生の提言

科学的哲学的論考のうち原発講座の4番ですね。
福島原発爆発の真相4

爆発原因を隠した理由ですね。爆発原因は、実は先回お話したように、浸水だったわけですね。津波ではなく何でもなかったわけですね。単に浸水でした。浸水した水が入ってきたのは、堤防を越えた水ではなくて、堤防を越えても越えなくても、水は流れて来るわけですね。ゆるい津波が来てもですね、まずは堤防のないところ、原子力発電所の北側と南側はですね、堤防が何もありませんから、そこから水が浸入してきます。皆さん、あの当時のテレビの映像なんかをよく見たと思うんですけども、津波というのは津波の勢いで家が流される場合もあるんですが、津波がずーっと来ますと、そこら辺一帯が水浸しになりますね。ですから浸水するわけですよ。床下浸水するわけです。家が壊れなくても床下浸水するわけですね。堤防をいくら高くしても、堤防っていうのは必ず船が出入りする場所がありますから、その意味では堤防を作っても、全然意味がないわけですね。

それで浸水によって、何で爆発したか。浸水なんて、普通ありえるわけですよ。例えば大雨が降っても浸水します。浸水したら原子力発電所は爆発するっていう風になってたんですよね。浸水したら爆発する。そんなことってあるのっていうことなんですが、実際は福島原子力第一発電所はですね、浸水したら爆発するようになってたわけですね。ということはどういうことかっていうと、第一電源は地下にあり、だいたい、発電機を地下に置いておく、変電所を地下に置いておくっていうのは、極めて危ないわけですね、電気ですから。だいたい上のほうに置くわけですね。家でも配電盤なんていうものはみんな上、電線もだいたい天井裏にあってですね。床下に配線をするってことも、ないじゃないんですけど、それは非常に大変なんですね。
それで原子力発電所とは電気の人がいっぱいいるのに、アホだったかって言うとですね、多分安くしようと思ったんですよね。

それから外にあるべき第2電源が地下にあり、同じところにあり、それからディーゼル発電機はトラックに乗って遠くにいなきゃいけないのが、地下にあり、それからバッテリーはどこにあったかよく分かんないんですけど、バッテリーを繋ぐコンセントに繋げられなかったっていう、ものすごく貧弱な状態だったわけですね。

それは全部隠しました。つまり浸水しただけで爆発するっていうとですね。これはもう、原子力発電所が安全だったなんてことは全く言えないわけですね。で私が原子力安全委員の専門委員だったわけですから、それで原子力安全委員の専門委をやる会議室の隣には原子力資料室というのがあってですね、各原子力発電所の図面が全部あったんですよ。だから公開されてたんですね。ですから、私がですね、こんなことは言い訳になりませんが、時間があって図面を見たらですね、なんと浸水したら爆発する原子力発電所だってことが分かったはずなんですよ。女川原子力発電所、仙台の発電所は高いところに出来てるんですね。海岸淵ですけど、ちょっと高台にあるんですよ。これは原子炉の爆発を逃れた。だから原子力発電所は安全であるっていう風に言ってる人がいたんですが、結局浸水なんですね。

原子力発電所はですね、こういう安全性と多重防御でできている。だから日本は軽水炉をやるんだと、これは後々少しずつお話しますが、軽水炉っていうのは普通の水ですね。水道の水みたいなもので原子炉を冷やす。これが一番いいんだと。まぁ重水というのを使うこともあるんですが、軽水を使うと。軽水炉であって、それで軽水で冷却するものであるので、こういう安全性があると。核爆発に対してこういう安全性があると。それから冷やす方ですね、これは4重もの防御をしていると、こう言っていた。全部、こういう安全性もウソでした。後でちょっと説明しますが、多重防御もウソでした。この多重防御は意図的なウソなのか、それとも福島第一原子力発電所をチェックしてた学者、役人、それから東京電力、全てがアホだったのか。 浸水だけで爆発したんですよ。しかしこの浸水だけで爆発したってことになると、日本の54基だったかな、原子力発電所は全部、今でも浸水したら爆発することになります。でそれは第1電源から第4電源までを多重防御してなかったっていうことですね。

で今、再開しようとしている原子力発電所が、その多重防御になっているかと言うことも公表されておりません。何か非常に難しい理屈をこねてですね、結局本当の爆発原因を隠したので、とにかく堤防を高くすれば守れると。津波の動力って言いますかね、運動量でよって原子力発電所がやられたんだという風に言っているんですが、上から見たら分かるんですけど、原子力発電所の原子炉建屋っていうのはそれほど頑丈なもんじゃないんですが、全然どの原子力発電の建屋も壊れておりません。原子力建屋が壊れないどころか、その海岸線の前にあるタービン建屋というものがあるんですけど、それは割合と簡単なものなんですが、それも全然、津波でやられておりません。つまり津波によって、福島第一原子力発電所が破壊されたんじゃなくて、単なる浸水でショート。
地下に発電所を置くって言うのはホント、アホっていう感じなんですが、地下にしかも4つ置いていたって言う、まあ国民に対する著しい背信行為をしてたわけですね。しかしこれを全部隠しました。多分総力で隠したでしょうね、民主党が。政権をとってた民主党がもう総力を挙げてこの原因を隠したと思うんですね。だから民主党っていうのは、左翼のような顔をしてるけど全然左翼じゃないし、国民の命を守ろうとか原子力発電所の安全性を素直に国民に示して、実は我々は浸水したら爆発するという、非常に不安全な原子力発電所をやってたんだっていうことを隠しに隠したわけですから、何のために我々は自民党から民主党に政権を変えたのかって、全然分からない結果になりましたね。

それで津波でやられたっていうことにすると、今度は津波の高さが想定外だったっていうのが使えるんですね、まず一つは。浸水じゃ、いくらなんでも浸水ぐらいする可能性があるだろうって言われちゃうんで、津波にしたわけですよ。1000年にいっぺんの大きな地震だったから津波が起こったんだ、その津波が防潮堤を越えたんだ、だから他の発電所も堤防を高くするんだっていって浜岡原子力発電所なんかも高い堤防にしたんですけども。他のところですよ。日本海側の原子力発電所も全部堤防を高くした。堤防を高くしても、浸水しますからね、関係ないんですけども。マスコミもこれには加担したでしょうね。マスコミも一緒になって隠したと私は思います。日本全体が隠しましたからね。被曝量も隠しましたが爆発原因も隠しました。この爆発原因を隠した理由は何かっていったら、1つにあまりに馬鹿らしい危険な状態を放置していた。しかも全部僕らにウソをついてたんですね。僕も調べるべきだったんですよ。だけどウソをついてるとは、ちょっと思わなかったんですね。だって経産省にちゃんと、原子力保安院っていうのがあって、そこで役人がチェックしてて、実施しているのが東京電力ですからね。まさか原子力発電所が安全であるっていう2つの理由ですね、固有安全性と多重防御の一つの多重防御をしてなかったなんてね、考えてもなかったんで、ちょっとまあ言い訳になるかどうか分かりません。それはこれを気になっている人が考えればいいんですが、僕はやらなかったんですよ、実は。東京電力と保安院がウソをついてるっていう事を前提に調べるということをやらなかったんですよ。だから現在再開している原子力発電所はですね、全部ウソの状態だと考えられます。っていうのはオープンになってないから分かんないんですね、今度は。私も原子力安全委員をもう解任されておりますので、調べに行くことはできない。特別の許可を得れば、できると思いますけれども、まあそういう状態になっている。だから現在、原子力発電所は安全だから日本のエネルギーのためにやった方がいいっていう人もおられますが、その人たちは実は福島の県の苦しんだ人たちと同じ目にあってもいいと言ってるんです。だって改善されない。

科学っていうのはですね、正しい原因に沿って正しい対策をとらないとダメなんですよ。御巣鷹山に日航機が墜落した。500人以上が亡くなった。それは後部の尾翼の溶接を失敗したからだと正しく分かれば、その後、溶接修理の時には、どういう風なことを注意しなきゃならないかって、また墜落することを防ぐことができますが、そこに政治的な判断が入って、政治というものは、そんな悪いことをするわけじゃないんですけど、日本の政治は悪いことばかりしてるんで、参政党が通ったら違いますけどね。まあそういうことで、今現在は日本の原発は非常に危ない状態にあるということなんです。
これは原子力反対運動の人にちょっと言い過ぎかもしれませんが、原子力反対運動の人も、現在はそれを言っておりません。それがやっぱり問題なんですね。反対運動の問題です。

武田邦彦　ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年3月19日　科学的哲学的論考原発講座（４）福島原発爆発の真相-４　爆発原因を隠した理由
https://youtu.be/W4tFivs1ays


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