2022年10月21日
古代の日本 家庭と女性の地位
中国のように非常に殺し合いが多いところは、国家が先に発達します。国家が発達するとか武器が発達するとかは、本当は文化とは関係ないんですが、ほとんど歴史学者は、歴史学者のことを言いますとね、反発を食らうのであまり言いたくないですが、何か国家ができないと文化ではないみたいなことを言う方もおられるんですね。だけど元々は戦いがなければ、国家はそれほど発達しないと思うんですが。典型的な例としてアイヌを出しましたね。アイヌは酋長と普通の人の2階級しかいない。そして戦争もない。戦争のないところは、大体において国家は発達しませんね。ですから国家が発達するというのは文化ではなくて、むしろ殺戮によって国家が発達するというように、考えた方がいいんじゃないかと思うんですね。
それで日本は天皇陛下と国民ということで、あまりその間に貴族もない。軍隊もそれほど多くないわけですね。後の色々な政変がありましたけれども、誰が誰を刺したとかなんとかっていうぐらいで政変が起こっている、ということを見るとですね、軍隊もそれほど組織されてない、貴族階級もそれほど組織されてないということを示しておりまして、これは非常に平和な時代であった、日本は非常に平和だった。平和であるってことが国家のその成立というか、国家が大きくなるって事も防いでおりましたね。
それからもう一つは家庭ですね。家庭というか人間の社会における単位がをどうするかというもので、これが社会を大きく規定します。
現在の皆さんの頭に入っている歴史のように、源頼朝がどうだったとか、徳川家康がどうなったっていうことに興味の中心がありましてね。その当時2000万なら2000万、3000万人なら3000万人の日本人がいた中で、わずか本当に上位の200名ぐらいがどういう人たちだったかとか、どういう生活していたとか、もっと厳しく言えばですね、わずかに2、3人の人の性格がこうだったと、親子関係がどうだったということを歴史として議論しているわけですが、これが本当に歴史かと、僕はちょっと疑問に思うんですよね。それは歴史じゃなくて、ゴシップかなんか。今でもですね、テレビタレントなんかの人生を、まさに普通の日本人の平均的な人生のように言う人がいるんですけども、そういうのと同じような類ではないかという風に思うんですね。
古代の日本人の生活の仕方の単位として、家庭というものを中心にしたっていうことが歴史的には明らかだったと思うんですね。
ただ例えば戸籍ですと、戸籍がはっきりしているのはおそらく飛鳥時代の前には戸籍があっただろうって言うんですけれども、現在の歴史的な明らかになってる戸籍はですね、支配層が民衆を管理するためのそういうための戸籍というものを問題にしたわけで、本当にこの住んでる人たちが何を単位に自分たちの人生を考えていたかということについては、ほとんど記録もないからかもしれませんが、研究も少ないんですね。ですからなかなかそれを断定することが難しい。
私もずっと学者でしたから、学者というものの弱みがありましてね。学者は調べてですね、おそらくこれじゃないかなぁと思っても、具体的な証拠がないと、なかなかそれを論文にしたり、著述したり、お話をしたりすることが、やっぱり学者ですからできないわけですね。私は学者を終わって、割合自由な立場になったり、自分の本当の専門の領域以外のところでは、比較的科学的な類推方法とか知識を利用してですね、だいたいこれはこういうことだったんじゃないかっていうことを割合フリーな、文化人というか、そういう立場で言うようになって。それがまた現在では批判されたりしているわけですが。
僕の親しかった東大の工学部の学部長が、定量的であるとか、証拠があるということにこだわるのは、あまり大したことではないんだって言っていただいているので、そういう偉い人が言っていただいているので、一応言い訳はあるということなんですが。まあそういうことなんですね。
それで結局のところですね、あのおそらくきちっとした証明ができないんですけれども、その状況証拠としては、ほぼ飛鳥時代くらいまでには戸籍のようなものが単位で、家庭が成り立っていただろうと思われること。それから平安時代までは少なくともですね、男性に制約があって、女性は制約がなかった。例えば平安時代ですと、男性は軍隊に出ること、それから土地を耕すこと、それから漢字で記録文書を書くことっていう3つしか許されてない。あとは衣食住にしても小説を書くにしても、全部女性にしか許されていない。というか、女性はもうオールマイティーで、そういう事実がずーっと長くありました。
これは現実的に、紫式部とか清少納言とか和泉式部っていうですね、西暦1000年頃に活躍する女性が出てきたのは世界広しといえども日本だけなんですね。こういう日本だけっていうのにもう少し注目してですね、歴史の研究を行っていただければ。なぜ紫式部が1000年に出たかと。僕は家庭の構造、女性の地位、そういったものに対する日本社会というものが大きく貢献したと。これ当然ですけども、貢献したという風に思ってるんですね。
それから戦国時代あたりに入りますね。室町から戦国時代ぐらいに入りますと、武家の奥さんの手記みたいのが少し断片的に残っておりますが、それを見ますと、やっぱり相当な地位をもっていたと。まあいわば山の神ですね。家庭内のことはかなりの力を持っておりまして、もちろん衣食住をやってますからね。ですから夫婦喧嘩の時なんかは、そんなことあなた言うならもうあなたに食べさせないわよ、という風なことを言ったりですね。江戸時代のものには旗本がですね、奥さんもなくなり女中さんが暇を取って女手がなくなったら、もう男子厨房に入らずということで、台所に入れないもんですから、そのまま自殺したという記録もある。なんかおかしい記録じゃないかと思うようなものもありましてですね、女性が相当な地位をもってた。
中国とかヨーロパの古いものを見ますとね、まあ私から見ると女性が奴隷みたいに使われてますね。男の命令だけによって動くと。日本の場合は同じ命令でも、命令のようなかたちをとって、実質は女が力を持ってるんだけどって、こういうような2段階のやり方ができるんですけれども、日本以外の国は比較的直接的でですね。隷属していた感じがします。それがですね、例えばいろんな証拠を状況的に集めて論述しなきゃいけないんですが、紫式部が源氏物語を書いた後ですね、日本以外の外国の女性が小説を書いたのは670年後、ほぼ700年後のフランス(注、正確にはイギリス)のアフラ・ベーンっていう作家がいたわけですが、この方が小説を書いたわけで、約その差が700年開いておりますし、このアフラ・ベーンですらですね、夫が亡くなってからしか書けなかったという風に記録されておりますが、それは結婚生活で妻がヨーロッパにおいていかに隷属的であったかということを示します。
それと日本人で武士でですね、夫が戦争で命を落としたと。武士ですから戦争で命を落とすことは普通にあることなんですけども、それについてのその後のその家庭の処置というものがですね、相当奥さんもですね、力を持っていたということもいえるわけですね。ですから大変に素晴らしいという風に思います。
家庭というものを中心にしています。現在非常に、西洋のこの男女差別の、西洋は男女差別ですから、西洋の男女差別の悪い風習が入って、結婚しても財布が各々別物であるとか、夫だけが働いているとき、夫が妻に生活費を渡すという非常に階級的な差別的な取り扱いが行われておりますが、もちろん日本ではよく知られたように外で旦那が働いてきたら、旦那の稼いだものは全て100%家内に、奥さんに渡すということで、それからその後に奥さんから旦那にお小遣いを渡すというそういう日本特有の風習というのが、最近京都府の調査を調べてみたら、7割から8割が、やっぱり今でも基本的にはそうであるということで、日本がいかに家庭を中心に物事を組み立てて来たか。女性の地位が非常に高かった。
これは世界広しと言えどもこれもですね、その国のトップの神様が女性であるっていうのは主要国では日本だけですね。どの国でもジュピターだとか筋骨たくましい男が一番上の神様にいます。キリスト教のことを悪く言う訳じゃありませんが、やはり、天にまします我らの父よ、であります。もちろんイエス・キリストも男ですし、お釈迦様もムハンマド様も、全部男ですね。この中でただ一人、天照大神という女性がですね、トップにいる。それから日本国を作った神様はイザナギ、イザナミであって、これは夫婦の神様でありますが、その物語を読むと、常にイザナミ、つまり奥さんのほうが主導権を取っている。旦那のイザナギは心優しくて、いつもサポート役に回っているというところから見てですね、日本人がいかに女性と男性とが共存して、今でいう共同参画するためにはどういうシステムがいいかっていうことを考え抜いたってことですね。
今の日本人は、そういう点で非常に浅はかで、女性と男性が同じことをすれば、男女が楽しい人生を送れるという風な錯覚をしておりますが、もちろんそうでありません。体のつくりがそうですからね。私がよくテレビでですね、武田先生は男女差別だなんて言われて。男女同じことをしなきゃいけないって主張する女性の党首がいましてね。同じことしなきゃいけないんですかって、僕がその女性に言ったことがありますね、テレビで。だったら私にまず子宮をつけてから言ってください。人間で一番大切な仕事は、子どもを産むことですが、私は子供を産めません。子供が産めないのにあなたと一緒に同じことをするってことはできないじゃないですかという風に言ったことがあって、その女性は唖然として黙ってしまいました。もちろん僕の言うことを感心して黙ってくれたんじゃなくて、この人はアホじゃないかと思って黙ったと思いますが、私に言わせれば、子供を産んだり子供を育てるって事が、いかに人間社会にとって大切かっていうのは、言うまでもないと思うんですよ、僕はね。当たり前ですよね。子供を産み、子供を育てる人がいなければ、人間というは一代限りで絶滅しますからね。それを僕らは、男はサポートしてるわけですから。
だから結婚したら、男性は妻から派遣労働者として外に派遣に出る。それに契約があるから、つまり結婚自体が契約である。結婚自体が契約であるということは、基本的に日本社会は、家庭を中心に、夫婦とか親子を中心として社会、人生を送るということになっている。だから戸籍が重要であり、戸籍っていうのは世界で日本にしかないと言ってもいいんですね。日本の戸籍より中国の戸籍が早いなんて言う人がいるんですけど、それは戸籍の概念が違うんですね。中国の戸籍っていうのは、政府が国民をコントロールするための戸籍であり、日本の戸籍はそうじゃなくてですね、思想ですよ、そうじゃなくて、それを真似て奈良時代とかそういうのに中国風の戸籍もできてはいますけどね、日本で。
日本の戸籍の概念、国民の戸籍の概念っていうのは、個人単位で生活をするのではなくて、家族単位で生活するんだということですね。それからお母さんの労働契約とかそういう契約は、社会契約は、結婚とか戸籍によって出来るんだっていう概念がありまして、その概念に沿ってですね、いろいろな生活が行われ、山の神と言われ、給料を全部奥さんに渡すという現在の風習に至っているということになりますね。したがって社会制度としても、天皇陛下を中心とした平等な社会、それから個人の生活においても家庭を中心とした男女平等な社会、これをつくったのが日本であるということで、ものすごく進んだ制度を、2000年前に作っていただいた。だから日本の女性は幸福であり、その幸福な日本女性と一緒に暮らした日本男性も幸福であったということが言えると思います。非常に優れた社会制度だったということが言えますね。
個人を中心とした社会なんていうのは、本当に愚劣で戦争が絶えない社会であります。
武田邦彦 ヒバリクラブ
【武田邦彦のブログ】2022年8月6日 シリーズ「日本」第三章 古代日本 B
https://youtu.be/i9lP1ip1Wzc
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