バブル崩壊の原因と日本の未来を考える: 武田邦彦先生の提言

2023年03月21日

バブル崩壊の原因と日本の未来を考える

バブルが崩壊して日本人は
1.これで十分
2.将来は勉強しない
3.後ろ向きが良い
4.将来を描けず

今日はバブルが崩壊した時（の話）です。
1990年に世界も共産主義も崩壊し、中国に天安門事件が起き、世界が大きく動揺した時に、日本もバブルが崩壊して大きく動揺したわけですね。
その時に日本人はどう考えたかということを振り返ってみたいと思いますが、これが昨日お話した今の少子化対策とほとんど似てるんです。だから同じことを今繰り返そうとしてるということなんですね。

まず第一に、これで十分と思いましたね。タンスはもういっぱいだとよく言いましたね、あの頃。あの頃、1990年でバブルが崩壊したのは当然である。なぜ当然かって言ったら、もうこれ以上我々欲しいものないんだよ、というふうに言ってましたね。
例えばゴルフに行っても、ばーっと華やかにやって、それからみんなで大名とか言って食事をして、それからクラブ行って女の子と遊ぶと。そんなことを毎日毎日してて、日本人は満足できないんですよ。満足できなくちゃ、もうそれでいいと。一回やればいいと。こんな生活しなくていいんだと。
家電製品もあるし、お風呂も家の中にあるし、水洗トイレがあるし、それからあの頃お風呂が外から自由に焚けるとかいう話もあったんですよ。そこまでしなくていいんじゃないの？
車も持てる。それも別に超高級車レクサス持たなくたって、小さい車で行くんだから、別に構わないよと。そんなことに虚栄心しないよという人がほとんどでしたね。
あの頃と今と違うって言ったらエアコンぐらいですかね。あの頃はまだ暑くても我慢しよう、寒くても我慢しようっていう感じがありました。それは今、もうないですけどね。これで十分っていう気持ちがあったんですね。

そこで、将来を勉強しませんでしたね。やっぱり継続的に発展しようとしたら、僕が自分で非常に反省したように、インターネット。アメリカでは通常だった。アメリカでは厚い解説本が出てる。それを日本の最先端の科学に身を置いてた私が、それを勉強してるようじゃダメなんですよ。自分でインターネットの本を1990年の初頭に書くぐらいじゃないとダメなんです。将来を勉強してませんでしたね。
それからAmazonとかGoogleとか、次から次へと出てきて、焦ったりびっくりしたりしてるうちに、今日になっちゃったわけです。これは日本の科学者とかビジネスマンとか、それから日本のビジネスマンもだらしなかったですよ。なんだかアメリカが持ち株会社が流行したら、もう持ち株会社にしなきゃいけないっていう感じで、揃って何とかホールディングスなんてのができちゃって。それで現場と切り離しをする。これがやっぱり非常に日本の産業も停滞しましたね。

それから臨時雇い。終身雇用制というのは非常に良かったのに、終身雇用制を捨て、そして臨時雇いなんかに走った。これはやっぱり失敗でしたね。

それであと、後ろ向きが良いというか、将来を描けないというか。
まあ日本人のこれいいところなんですよ。非常にいいとこで、僕ね全然これ否定しません。よく、鎖国できればねっていう人がいますが、本当にそうなんですね。

日本人はもともと、つましいんですよ。それが別に負担じゃ何でもないんですよ。アメリカ人とかヨーロッパ人の方が文明がおかしいんですよ。どんどんどんどん自然の資源を使い、国土を壊し、自分がきらびやかな生活をする。45歳で引退するのが夢だと。それまでに10億円稼いで、あとは遊ぶんだっていうそういう文明を持つアメリカ、ヨーロッパと、自分が今生きてるにはやっぱりお米をご飯を食べ、魚を食べ、味噌汁を飲んでるわけだから。道を歩けば舗装されている。この舗装されているのは自然に舗装されたんじゃない。夜中に作業員の人たちが寒いところ、ドロドロに溶けた臭いアスファルトを敷きながら、一所懸命刷毛でやってブルドーザーでやって、そして舗装ができてる。そこの上を私たちは歩くから、水たまりで跳ねられることもない。それで満足なんですよ、日本人は。なんか問題があるのってことになるんですね。

ところが外国との競争では、これではやっぱりダメなんですね。日本以外の外国は、全部獰猛ですから。相手をいかにやっつけるかっていうのが目的でやっておりますから。
彼らは国内もそうなんですよ。国内でもできるだけ多くの貧乏人を作って、そこに働かせて、自分だけはいい思いでしょ。国内、世界もそうで、他の国を全部植民地にして、その上がりでピアノを弾く。これが夢と、こうなるわけです。

日本は全然違うんですね。日本は日本人全部で良くなる。世界の人たちみな兄弟ということですから、考え方が違うんですよ。だからどうしてもやや後ろ向きになるっていうか、正しい方向を向くってことですね。だから将来もあまり描かなくていいんです。具体的に解決しなきゃなんないことが起こったら頑張っちゃうんですね。
例えば明治維新。日本は日本人の中で健やかに育っていこうと思っていたら、アメリカはペリーかなんかが来るし、イギリスは東洋艦隊を率いて来るし、ロシアは圧迫して来るしってことで、しょうがないなっていうんで立ち上がると。この場合は日本人は非常に力がありますからアメリカのペリーも何とかして、イギリスの東洋艦隊は薩摩が破って、そして日露戦争にも勝つと、こういうことになるわけですね。

この前の戦争はなんか負けたことになってますが、決して負けておりません。それは僕のブログでもちゃんと書いたように、昭和天皇の三大功績っていうのをぜひ読んでいただきたいんですが、あれは戦争じゃなかったですからね。虐殺ですから。
虐殺は嫌だよという感覚は日本人にはあるんですね。だからあれは虐殺した方が悪いんで、戦争なら正々堂々と軍隊と軍隊が戦おうやと。なんで東京に軍隊がいないからって、東京の婦女子をみんな殺すのと。広島、長崎の人たちは原爆が落ちる時に白旗を掲げることもできずに焼き殺される。そんなことはこれ戦争ではありませんからね。戦争ってあくまでも武器を持ってる同士の戦いであって、片方が降伏しようと思ったらいつでも降伏して、降伏したら人間としての取り扱いを受けるというのが戦争ですから。
その戦争ということをよく知らないで、この前の大東亜戦争で日本に空襲があったり、広島、長崎に原爆が落とされたことを戦争と思ってる人がいるっていうのが、これが日本人の人の良さでもあるし、ちょっと頭が回らないのかなと思ったりもするところなんですね。したがって将来を描くってことはできない。これは先回にもお話しましたよね。

岸田首相が首相って言ったら、一応偉い人ですよ。それが、岸田首相の思想が分からないですよ。アメリカ、ヨーロッパみたいに一部の人が金儲ければいいんだ、人生は金儲ければいいんだというふうにお考えなのかどうかも分かりません。日本文明なのかヨーロッパ、アメリカ文明なのかも、首相がどうお考えになってるか分かんないんですよ。

それから構想ですね。これから20年先の2050年に日本国はどういう風になってるのが目標であるかっていうのも、これ分からないんです。そのために戦略として、武装なりどうなりはどうするんだと。分かんないんですよ。
なんか国防費を5%から7%にするっていうのは、これ戦略でも何でもありませんからね。戦略を決めた後の戦術の一つの方法ですから。戦略を決めて中国に対抗するって言ったら核武装するのか、沿岸部隊だけを強化するのか。空軍でいいのか。それちゃんと戦略がなきゃダメですから。それに基づいてどういう武器を用意するのか。どういう体制にするのかが決まって、初めてこれが戦術ですからね。
決まって初めて何億円になるかっていうのに、これ逆になっちゃってるんですよ。5億円を7億円にすりゃ、全部解決する、ね、思想から構想から戦略から戦術から政策から全部決まるようなこと言ってんですよ。だから5兆円を7兆円にするって2兆円増やしても、何するのか決まってない。

まあ僕は、こんな嘆いてばかりいませんよ。絶対に解決策を示します。示しますが、やっぱりバブルが崩壊した時、これでもう十分だよって言ったのは正しいですよ。だって今、環境とかなんとか言ってるわけですから。それから資源も、石油は4,000年もありますが、それでも無限に使っていいってわけじゃないですからね。ですから日本人の思想の方が、経済発展をするというよりかいいっていうのは確かです。内容を良くしていけばいいんです。
例えば今までは3,000ccの自動車じゃなかったらガタピシ言ったけど、今は1,000ccで十分に満足して走れるっていう自動車を作ればいいんですからね。
家もそうですよ。別にでっかくするだけが能じゃありません。小さくても豊かで家族が笑いながら過ごせるような家、女性もあまり労力を払わなくても生活が保たれるようなマンション、そういったものをどんどんどんどん開発していきゃいいんですからね。これは悪くない。

将来勉強しないっていうのはね。ちょっと今引っかかってるのが、量子科学がこれだけ発達してんのに、日本の大学も産業界も量子科学を使った新しい次世代のものをやらないという点がちょっと問題ですね。これは資源がものすごく下がりますから。低くなりますからいいことなんです。いいことだけどやらない。これは将来を描けないので、後ろ向きなんでってことになるでしょうね。
まあここのところも日本の良さでもあり、悪さでもある。それがあっちを振れたりこっち振れたりするんで、これでいいんじゃないかって言ってみたり、それは子供の就職がなければ困るよって言ったりしますね。子供の就職先のためには世界と競争できる企業はいりますからね。
これをヨーロッパ文明に対してどう対抗するかっていうのが一番でかい、我々が考えなければならない、これからどうなるのっていうことであります。核心に迫ってきましたね。

武田邦彦　ヒバリクラブ
これから日本はどうなるの（5）「バブルが崩壊して日本人は...」令和5年3月5日
https://youtu.be/vfv4u4eeWYk

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