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2023年03月13日

このままだと、日本の子供には未来がない

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実は、私自身としては3年ぐらい前から激動をしてるんですよ。

それまではほとんど、言わば学者としての生活、先生としての生活、もしくはテレビに出るのもニュース解説だとか、さんまのほんまでっかとか、一応知識人として出て、それで非常に自分自身も快適でしたし、一応生活も安定して、そういう人生を送ろうと。私はそういうのは似合っておりますし、性格的にも。
あまり政治とかそういうのに関係すると、やっぱりそれに囚われてしまうので、自分として科学的に正しいということをきちっとやって行くっていう、その私の人生の本当の大きな目標が崩れるんじゃないかっていう気持ちもありまして、そういう道を選んでおりました。だけど、今考えたらちょっと自分本位でしたね。

自分はそれでいいんですね。ですけど日本には子供たちがいます。それに非常に気になりだしたのが、2年ほど前ですね。自分は自分がこう良ければいいかっていうと、そうじゃないだろうと。私が今生きてて、年をとって、一所懸命やって、今だったら寒風吹きすさぶところで演説したり、ものすごい無理な行程で移動した、そういうことする僕のその意欲っていうのは、私の人生にはもうないんですよ。私たちの子供がいるっていうこと、私だったら孫もいますからね。彼らを考えると、自分の健康とか自分の人生でどれがいいかなんてことは、ほとんど小さいことですね。

私自身の活力だとか、生きてる意味を持たせてくれるのも、私自身じゃないんですね。ですから人間っていうのは命があるようでないんですね。
命は子供たち孫たちに繋がってる。それも自分のじゃなくて。
講演会なんかに来てくれる子供さんいるんですね。本当にどの子供さんを見ても大切だなぁと思いますね。その点で、私はこんなことしていたらまずいなという風に思ったんですよ。

「これから日本はどうなるのか」っていうシリーズをやります。その中でまず最初に「かわいそうな僕らの子供たち」。これは、私は学者でいいよとか、講演とかさんまのほんまでっかに出てりゃいいよっていうのをやめたんですよ。
自分本位ならそれでいいですよ。だけど私は私じゃないですね。どの人もそうですよ。社会的に意味があることやってる、やってない、関係なくて、やっぱり命というのはつながってるから、今の僕はこの、私個人の一生のことではなくて、つながってる命で考えなきゃいけないだろうなと、強く感情的にも思ったんですよ。理屈だけじゃなくてね。
それはどういうことかって言うと、少し前これは簡単に言えば、1960年から1990年、高度成長時代と言ってもいいんですけどね。この間に30年で日本の経済力と言ってもいいし、一人当たりのお給料と言ってんですけど、9倍になったわけです。約10倍ですね。
僕の小さい頃は石油ストーブ買えない、水洗トイレはない、瞬間湯沸かし器もないから冷たい水で洗う。女の子は冬になると、あかぎれで手がザクロみたいになってました。それから内風呂と当時言いましたよ。自分の家に風呂はないっていうか、これ全体的ですよ。どの家があるとかないとかじゃなくて、冬の寒い時に風邪引いてるのに、銭湯行かなきゃなんないってなことでした。

それが30年間経って、バブルが崩壊する頃には家電製品は揃っているし、水洗トイレにお風呂と瞬間湯沸かし器なんて当たり前ですけどね。場合によってはエアコンとか自動車も買えるという風になりました。

しかしその後ですよ。その後の30年、1990年から2020年までの30年間は、自民党も小泉政権、竹中蔵相、ひどい政治でした。それから自民党末期の1年ごとに変わった4人の首相、それから民主党政権。それから安倍さんは良かったんですが、野党とかNHK、朝日新聞に足をすくわれまして、あまり実力を発揮できないまま終わって、その後もパッとしない政治が続いてるわけですよ。

この30年間というのは本当に、日本に政治がなかったんですね。なかったもんだから、その前の30年間で9倍になったにもかかわらず、それから技術力とかビジネス力とかインフラストラクチャー、例えば新幹線と高速道路とか道路の舗装率とか、そういったのもほとんど世界のトップクラス、ベスト10には必ず入ってる。日本人の知識のレベル、真面目さ、社会の安定さ、犯罪の少なさなんかはもちろん世界のトップですね。ですから経済的に発達するに当たり前なんです。

経済指標っていうのはそれほど馬鹿にできないわけですね。経済指標通りに経済は基本的には動く。それがこの30年間、460万のまま、標準世帯でね、変わんなかった。消費税が10%になりましたから、日本国民は46万円だけ使えなくなった。それを問題にしようっていう政策論もありました。
私は反対しました。なぜかったら、損害はその46万円にとどまるもんじゃないんだと。
実は日本の経済力から計算した現在の日本人の年俸は1,300万ぐらいと計算されるんですよ。それはこんなに当てになるもんなんですね。これはさっき言いましたように、技術力とか工場の状態、ビジネスの力、通信関係、電車、新幹線、高速道路、輸送力、舗装の率、こういうのでみんな変わりますからね。電力とか通信、それから日本人の気質やレベル、それは全部トップクラスなんですね。それなのになぜ1,300万じゃなくて460万円なのか。これを追求しなきゃいけないと私はそう思いまして、それで政治活動に入りましたが、だいたいそれおよそ1年半ぐらいやってきましたね。

最近ではもう全然考え方変わりました。それはもうそれで間違いないんですよ。今の経済力の460万の問題は変わらないんですけども、それで子供たちが貧乏になって、中国のコンビニに働きに出なきゃならないというのはかわいそうだと思ったんですよ。経済的なものがかわいそうだと思った。

しかし、それをずっと私いろんなところで演説したり解説してる間、そうじゃないってことに気がつきました。子供たちは未来がないんですよ。未来がないんです。ここには就職先なしと書きましたけど、もちろん就職先がありません。東芝ですら倒れますね、今度。シャープはもう倒れました。これはその業界における電力、電気業界、電子業界のトップクラスが倒れるんですが、トップクラスが倒れるって事は、全体的に地盤が沈下してますから。それは、東芝、日立、富士電機ね、三菱電機、そういうところ全部シュリンク、小さくなってしまいました。NEC、富士通、ソニー。ソニーはゲームなんかで頑張ってはいますけど、やっぱり小さくなってしまいました。 これから自動車ですね。電気自動車とかそんなこと言ってますから、これはどうして電気自動車って言うと、日本がダメになるかっての後でずっとお話します。もうなくなっちゃうでしょ。自動車産業なんてもう裾野がすごく広いですから、直接的な自動車販売、そういったものも含めて、工場、修理車検とかな全部含めて付属品、ものすごく膨大です。しかもそれに使うものっていったら、鋳造、鍛造、ワイヤーハーネス、タイヤ、それも山ほどあります。1,000万人ぐらいになっちゃうんですね。
そうすると僕らの子供たちは日本に就職しようと思ったら、まあ漫画ぐらいしかない。漫画なんかじゃ数千人で終わりです。
我々の子供たちは今、一所懸命勉強したり、親に励まされしたりやってます。子供たちに勉強させるのはいい。ただその将来をなくしてるんですよ。どこに売り渡してるか。海外のハゲワシファンドとか、中国とか、そういうところに売り渡してるわけです。日本の、日本人の活動を売り渡してんですよ。これ個別に今度きちっと一つ一つ検証していきます。
これから日本はどうなるのって言うんで、明確に、今自分の頭にある、ああこうなっちゃうんだなあ、子供たちかわいそうになあと。子供たちかわいそうだなっていうのは、僕自身もかわいそうなんですよ。つまり僕の人生のかなりの部分は子供なんですからね。それはもう当たり前ですよ。
人間だって東京都に誰もいない。名古屋市に誰もいない。誰も子供がいない。日本に子供がいなかったら、私なんかもちろん働きませんよ。未来がないんだから。僕自身の寿命から言ったら未来ないんですよ。だけども子供たち、孫たちが日本人にいるから僕の未来があるんですから。

子供たちの就職先がない、未来がない、これ実は未来、就職先ばかりじゃないんですよ。
文化もないんですよ。文化もなくて、全く無味乾燥で、奴隷として生きるっていう人生しか残されてない。こういうことに、もうだいたい去年の選挙戦が終わった頃から僕は気がついてね。これは悲惨なことだと。子供たちのためとも言えるし、私の命の続きとしても、これは許すことできないと思いまして。こんなことが起こるんだったら、戦争で一所懸命国を守ろうとした兵隊に申し訳ないじゃないかいう気持ちも実は私にはあるんですね。

ということで、今後は感情的にならずに、これから日本はどうなるの、ということを一つ一つ、科学、社会、文化、経済というようなことをやっていきたいと思っております。

武田邦彦 ヒバリクラブ
これから日本はどうなるの(1)「可愛そうな僕らの子供たち」 令和5年3月1日
https://youtu.be/MyDTiBp8L58


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