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2023年02月03日

食べ過ぎるということの意味について考えてみる

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あるところで質問されたんです。
ダイエット食品の中に健康に悪いものが入ってるんじゃないかとか、低カロリー食としてはどういうものがいいんでしょうかとか。そういう食品、これは女性の方で、非常に関心が深いんですね。
女性の多くは家族の健康に対して責任を持ってますから、やっぱり気になるのは当然ですね。

私はその2つとも、返事が難しかったんですよ。というのは、私は元々ダイエットとか太りすぎとか、それから痩せるためにとかメタボとか、それから低カロリー食品とかも大嫌いなんです。
なぜ私が嫌いかっていうと、人間の一番の問題は、このところに図を張ったんですけども、地球環境基金というかNPOでもどこでも書いてあります。
我々人間が生きるためには何段階かの命が必要なんですね。元々命がどうしても必要なんですよ。人間が食べるものというのはね。あの菜食主義者ってのはどう考えておられるのか知りませんが、私は動物の肉であれ、魚であれ、植物、サラダであれ、みんな同じように見えるんですよ。つまり命なんですね。

特に私なんか、こんなこと言うとちょっとノイローゼじゃないかって言われるんですけど、ちりめんじゃこなんて言いますとね、小さい魚を100匹ぐらい、すぐ食べちゃうんですよ。この者たちに命があっただろうな。夢があっただろうなと、こうちょっと思うんですね。
だけどもちりめんじゃこも食べなきゃいけないし、味噌だって大豆ですからね。
まあ植物の実っていうのは若干こう命と関係ないところがあって、食べてくださいって作る場合もあるんですけどね。そういう食品だけ私が食べてればいいんですけども、植物の葉っぱみたいのを食べるんですよ。白菜の漬物。白菜はまだ。だけど葉っぱっていうのは、植物の命の素ですよね。ですから葉っぱの中には結構、動物に対する毒物が入ってるんですけども、それは植物が必死になって自分の身を守ろうとしてるわけですね。

動物に至ってはもちろんですね。豚にしても牛にしても鳥にしてもですね。やはり食べられるよりかは、人生を全うした方がいいでしょうね。私自身はできるだけ年を取るまで健康でいたい。20、30で命がなくなりよりか、80、90まで生きていたいとかね。そんな風に思ってるんですよ。自分はですよ。
だけど自分だって一つの命に過ぎないんですよね。むしろその単なる植物の方が、山に生えてる木の方が偉いという感じもするんですよね。っていうのは、植物は命を食べなくても生きていけますからね。太陽の光と、最近嫌われるものになってるCO2、温暖化ガスと水があれば、自分の命をずっと保つことができるんで、人の命を食べる必要ないんですよね。立派だとも思うんですよ。
まあしかし豚なんかは、植物を食べないと。多少雑食だったら食物以外のもの食べないと、命を食べないと豚ダメなんですね。だけども豚も、僕よりかは少なくとも偉いような気がするんですよ。

隣の人が肉が欲しいから先生、左手の肉を少し切ってくんないですかって言ったら、僕嫌だって言うと思うんですね。自分の肉をあげたくないって。人の肉は食べたい。だからどうも豚よりか自分の方が、なんか自分勝手なような気がするんですよね。
ですから人間はやっぱり、生きていく上に十分に必要なもの、十分にっていうのを入れたんですけど、十分に必要なものを食べるのはいいと。生きてる上でですよ。それ以上のもの、いらない。低カロリー食品というのは何が悪いかっていうとですね、人間というのはこの頃、糖質拒否なんかで変な話になっちゃってますけども、カロリーっていうのはどうしても必要なんです。これはタンパク質とかそういうのと違うんですね。カロリーは熱になるものですね。熱になんないと人間というのはこれ、熱機関って言うんですけどね。簡単に説明しますと、体温だいたい37℃ですね。周辺の温度は気温によって変わるんですけども、人間の場合、26℃、つまり11℃の温度差が自分の体と周辺にあるので、11℃の差で熱が体から外に行くんですね。
体から外に排出することによって、心臓が動き、血液が流れ、頭が働きってなるわけですね。ですからカロリーというか熱を出さないと人間って生きていけないんですよ。で、生きていくためにはカロリーが必要なんですね。熱量が必要なんですね。ですから熱量もできるだけ高いものを食べるべきなんですよ。 熱量のできるだけ高いものを少量食べればですね、その分だけ命は少なくて、他人の命を、他人というか他のものの命を取る量が少ないわけですね。

昔、新聞だったが漫画本だったか忘れましたけど、サトウサンペイさんの描かれた漫画がありましてね。4コマ漫画が。そこでですね、なんかあの小さいもの、例えばちりめんじゃこみたいなものとかね、そういうものを食べると命をうんと取るんじゃないか。大きい生物と小さい生物と命の価値って違うのかっていう漫画があってですね。考え込んだことあります。もう今から60年以上前だと思いますけどね。

本当に人間ってのは、その意味では、ある意味で、罪作りで、昔はそれがよく分かってました。従って1年にいっぺん供養したりね。それからもしかすると、無生物でもやはり何か魂が宿ってんじゃないかということで、針供養とかそういうものもやったわけです。つまり自分たちが生きてるには、周りのものの命を取ってるから、やっぱり感謝しなきゃなっていう素朴な気持ちがあったわけです。それは山を見て川を見て動物を見て植物が咲いてるの見てね、海を見たら、やはり人間っていうのはそういう考えになるもんだと思うんですね。

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ここに生態系ピラミッドと食物連鎖って書いてありますが、一番基礎には細菌とかバクテリア。その基礎が太陽の光とかCO2とか水なんですけども、そういう無機物もあるんですけどね。それからもちろん鉄とか銅とかそういったものも生物の体の中ではどうしてもいるもんですよね。
細菌なんかも人間の腸には、腸内細菌がずいぶん多くいましてね。そのおかげで我々は今度はそれは消化に役立ってくれてるわけですが、ものすごく死ぬんですよね。だから我々の腸内細菌っていうのはものすごく寿命が短いんです。どんどんどんどん死んで、どんどんどんどん活動してくれてるんですね。だからその分解者って一番下も直接的に人間には役立ってるんです。
もちろん植物そうですね。もちろん植物は食べ物でも役立ってますし、それから気温を安定させたり、いろんな意味でね。景観を保ったり心を慰めてくれたりしますよね。

それからもちろん牛とか豚とか魚とか昆虫だってね。昆虫を食べるっていうのはナンセンスですが、昆虫がいるからこそ花が咲いてですね、虫がいるからこそなかなか人生も深いと。だからこの図は人間が頂点に立って、万歳してますけど、本当は頂点に立ってる者は、万歳するんじゃなくて、申し訳ないって感じですよね。
申し訳ない。細菌とか、バクテリア偉いよなと。自分一人で一所懸命生きてて。その他のものをあまり利用しませんからね。
で、どうも食べ過ぎて、食べ過ぎてっていうのは言い方変えれば他の命を取り過ぎ、殺し過ぎて、自分が太っちゃったから体重を減らさなきゃいけないから、どっかにダイエットの良いものありませんか。これを食べると痩せるってやつありませんかという人がいるんですよ。それをこの前なんかNHKが報道したって言って、みんながこれを食べると痩せるんだなんて言ってますけど、いやそれちょっとね、道徳っていうか、いつもその自然を大切にしろとかね、命は地球よりも重たいなんて言ってる人は、どういう気持ち持ってんですかね。

僕はやっぱりちょっと心が痛いんですよ。食べる時にですね。
あまりに加工されたやつは大丈夫ですよ。例えば紅茶は今飲んでたんですが、紅茶もやっぱり葉っぱは葉っぱなんですよね。だけどこのくらい加工してると、僕の心は直接的には痛まないんです。しかし魚の焼いてるの見たり、ステーキを見たりね、すると心の中ですまないって気持ちは、僕は湧きますね。申し訳なかったと。申し訳ないけど、自分はこれでしか生きていけないんで、申し訳ないと。そういう気持ちが少しでもあれば、ダイエットなんていうのを、出てこないと思うんですよ。

ダイエットだってですね、食べるのを減らしましょう、だったらいいんですよ。
食べるの減らしましょう。これは私が参考にさせていただいている石黒先生で言っておられるように。どのくらい食べればいいんですか。簡単ですよって石黒先生言うわけですね。
1日2食にしてみて、お腹が減ったらちょっと食べる。要するに食べる方は、料理が美味しかったら食べるけど、余計に食べる方が。最低限食べる方が、お腹が減ったら食べたくなりますからそれでいいですよと。
その通りなんですよ。つまり石黒先生方式で、自分が殺す命の数を減らしたいですね。
ご婦人だって太る、太るって言っておられるんだから、別にダイエットどうのこうとかね、こういう食品がいいとか、低カロリー食品を食べようとか言うんじゃなくて、まあお好きなものを食べていただいて、命を殺す量を少し少なくするというのが、まともな社会じゃないですかね。僕はそう思います。

武田邦彦 ヒバリクラブ
日本と科学(25)「ダイエット」は不道徳 令和5年1月25日
https://youtu.be/4UAMvDxyjjE

図の出典
独立行政法人 環境再生保全機構 地球環境基金
https://www.erca.go.jp/jfge/info/publicity/tayori/49/feature/interview01.html



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