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2016年09月11日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part73 最後の夏
神奈川 78
秋田 82
宮城、流川、神、福田と来年を担う選手たちがベンチで一様に悔しがっていたが、肩で息をしていた花形も同様に悔しがっていた。
インターハイ予選で無名の湘北に敗れ、最後の夏が予想外に早い結末を迎えたのだ。
しかし、今年は神奈川が単独チームではなく選抜チームということでチャンスが回ってきた。
そして出番をもらって活躍したが、最後には全国の壁を感じる結果となったのだ。
高頭「まだ、最後に出番があるぞ。最後まで緊張の糸を切らすな。」
高砂「花形よ。俺は出番が今のところないが、俺にできることをする。」
そういって高砂はひたすら応援をし始めた。
同様に高砂も悔しい思いを募らせていることは容易に想像できた。
県NO1 の海南大付属のセンターでありながら、赤木、魚住の両センターに話題をかっさわれ、魚住が引退して選ばれなくても花形がメンバー入りし、結局国体では出番がない状況だ。
しかし、それでもウォーミングアップを欠かさなかったし、チームの勝利にできることを優先していた。
花形は高砂とはあまり会話をしたことがなかったが、少し尊敬した。
花形「よしっ、俺も応援するぞ。」
彦一「最高やっ。このチームの雰囲気は最高やっ。必ず逆転できるで。」
しかし、王者である山王工業のメンバーはみじんも焦っていなかった。
河田「イチノッ。三井に代わったんだ。神と同じタイミングではだめだぞ。アイツは何するかわからんぞ。」
一ノ倉「わかってる。しかし、スリーポイントは決めさせん。」
一ノ倉から深津へボールを入れた。
深津は指を2本立てた。
宮城「あれはっ!」
宮城は夏のインターハイの試合の際に、同様のサインプレーがあったことを思い出した。
宮城「ダンナ、右に河田が入ってくるがおとりで野辺にボールが出るぞっ。」
赤木は一瞬河田についていこうとしたが、宮城の声で野辺の前に出た。
深津が気付いた時にはボールを投げた後だった。
赤木「ナイスだ宮城。」
赤木がボールを奪った。
赤木「牧っ。俺がスクリーンをかける。必ず三井がフリーになる。見逃すな。」
牧「ふっ。やっと赤木らしくなってきやがった。」
そういいながら牧は切れ込んでいった。
牧と藤真がクロスし、ボールは藤真にわたっていた。
藤真がシュート体制に入ろうとしたときに深津が藤真の前に出てきた。
藤真「さすがだな。」
深津「これ以上は好きにさせないピョン。」
藤真は一度牧へボールを戻した。
牧は、仙道と三井のポジションを確認した。
牧「そういうことか・・・。」
牧は、仙道と三井のポジションから二人が何を考えているか一瞬で悟った。
牧は、三井にボールを入れた。
三井にボールが渡った瞬間に一ノ倉がタイトなマークがついた。
一ノ倉「シュートはさせん。」
三井「誰が、シュートを打つといった!?」
三井は後ろにボールを送った。
三井の背後に仙道がポジションをとった。
一ノ倉と野辺が仙道のシュートを止めようとしたが、三井が二人ともの壁になって、仙道へのマークが遅れた。
彦一「きたきたきたーーーー。」
仙道の連続スリーが決まった。
神奈川 81
秋田 82
赤木「さすがだな。ここ一番の得点能力は流川以上だ。」
しかし、仙道の得点能力以上に藤真が脅威に感じたことがあった。
藤真「なんの打ち合わせもせず一瞬でこの展開を組み立てたのか?
しかもそれを読んで絶妙のタイミングでパスを入れた牧。
天才は天才を知るということなのか・・・。」
藤真は味方ながら戦慄を覚えた。
1点差まで神奈川が追い上げてきた。
(続く)