2012年11月12日
男性不妊とセレンの関係
ネットで男性不妊に関係する栄養素を検索すると、
・セレン欠乏で精子の運動率が下がるから、運動率の向上に積極的に摂取するとよい。
・セレンは精子を作る材料になる。
というようなサイトが結構見つかりました。
実際どうなんだろうと思い、論文や公的機関のホームページを調べたところ、少ないですが、参考になるものがありました。
まず、不妊治療患者を対象とした調査で、
・精子濃度や精子数がWHOの基準未満の方が精液中のセレン濃度が低い。
・奇形率が50%以上の群が50%未満の群に比べて、セレンの濃度が低い。
・セレンは精子ミトコンドリア部分に多く存在して、その形状維持に関与する。
・セレン摂取不足の亜不妊症の男性へのセレンの経口投与で、血清セレンと精子運動率が増加する。
・精液、精子、精漿のセレン濃度が高いほど、精子濃度も高い。
・運動率とセレン濃度には関係性がない。
という内容がありました。これを読むと、精子のパラメーターが悪いと精子中のセレン濃度が低いようです。
次に、不妊患者と正常者を比較した調査では、
・精漿と精液のセレン濃度に差がない。
・精子セレン濃度は不妊患者の方が高い。
・精子セレン濃度の高い症例で、精子運動性と精子濃度の低下傾向が見られ、精子内セレン濃度の上昇が男性不妊症に関係している可能性がある。
とありました。不妊患者の方が、正常者よりもセレン濃度が高いようです。(ただ、この論文の全文は見つからなくて、概要のみ読みました。)
また、論文中で精液中のセレン濃度は高すぎても低すぎても運動率が下がる、という論文もあると紹介していました。
不妊治療患者では精子等のパラメーターが悪いとセレン濃度が低いが、運動率では差がない。不妊患者と正常者を比べると、不妊患者の方がセレン濃度が高い。精液中のセレン濃度は高すぎても低すぎても運動率が下がる。それぞれ調査対象等の条件が異なるので、結果の傾向が一致しないのでしょうが、セレンが高ければ良い、とは言えないかなと思います。色々な要因が精子等のパラメーターとセレン濃度に影響していそうです。
せめて、身体の状態のせいでセレン濃度が変化するのか、セレン濃度の影響で身体の状態に変化がるのか、どちらかが分かれば面白かったのですが。前者ならセレン濃度で身体の状態チェックに、後者ならセレン濃度のコントロールで改善に役立つのかなと思います。
あと、いい資料が見つからなかったのですが、セレンを摂取したらそれが精子中の濃度にどう影響するのかも気になります。多く摂取すればその分濃度が高くなるのか、どう摂取しても濃度は一定に保たれるのか、で対応が変わりますから。
結局、どのような状況で、どのようにセレンを摂取すればよいかは、まだまだ研究段階といったようです。
参考
不妊外来受診男性の精液中微量元素と精子パラメータ,篠原厚子ほか,日衛誌,60,418-425,(2005)
男性不妊症と精液中セレンについて,高崎登ほか,日本不妊学会雑誌,32 ,3 ,345-351
など
・セレン欠乏で精子の運動率が下がるから、運動率の向上に積極的に摂取するとよい。
・セレンは精子を作る材料になる。
というようなサイトが結構見つかりました。
実際どうなんだろうと思い、論文や公的機関のホームページを調べたところ、少ないですが、参考になるものがありました。
まず、不妊治療患者を対象とした調査で、
・精子濃度や精子数がWHOの基準未満の方が精液中のセレン濃度が低い。
・奇形率が50%以上の群が50%未満の群に比べて、セレンの濃度が低い。
・セレンは精子ミトコンドリア部分に多く存在して、その形状維持に関与する。
・セレン摂取不足の亜不妊症の男性へのセレンの経口投与で、血清セレンと精子運動率が増加する。
・精液、精子、精漿のセレン濃度が高いほど、精子濃度も高い。
・運動率とセレン濃度には関係性がない。
という内容がありました。これを読むと、精子のパラメーターが悪いと精子中のセレン濃度が低いようです。
次に、不妊患者と正常者を比較した調査では、
・精漿と精液のセレン濃度に差がない。
・精子セレン濃度は不妊患者の方が高い。
・精子セレン濃度の高い症例で、精子運動性と精子濃度の低下傾向が見られ、精子内セレン濃度の上昇が男性不妊症に関係している可能性がある。
とありました。不妊患者の方が、正常者よりもセレン濃度が高いようです。(ただ、この論文の全文は見つからなくて、概要のみ読みました。)
また、論文中で精液中のセレン濃度は高すぎても低すぎても運動率が下がる、という論文もあると紹介していました。
不妊治療患者では精子等のパラメーターが悪いとセレン濃度が低いが、運動率では差がない。不妊患者と正常者を比べると、不妊患者の方がセレン濃度が高い。精液中のセレン濃度は高すぎても低すぎても運動率が下がる。それぞれ調査対象等の条件が異なるので、結果の傾向が一致しないのでしょうが、セレンが高ければ良い、とは言えないかなと思います。色々な要因が精子等のパラメーターとセレン濃度に影響していそうです。
せめて、身体の状態のせいでセレン濃度が変化するのか、セレン濃度の影響で身体の状態に変化がるのか、どちらかが分かれば面白かったのですが。前者ならセレン濃度で身体の状態チェックに、後者ならセレン濃度のコントロールで改善に役立つのかなと思います。
あと、いい資料が見つからなかったのですが、セレンを摂取したらそれが精子中の濃度にどう影響するのかも気になります。多く摂取すればその分濃度が高くなるのか、どう摂取しても濃度は一定に保たれるのか、で対応が変わりますから。
結局、どのような状況で、どのようにセレンを摂取すればよいかは、まだまだ研究段階といったようです。
参考
不妊外来受診男性の精液中微量元素と精子パラメータ,篠原厚子ほか,日衛誌,60,418-425,(2005)
男性不妊症と精液中セレンについて,高崎登ほか,日本不妊学会雑誌,32 ,3 ,345-351
など
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