2018年03月13日
零が抱く「世界」ー覇王が望む平穏
「賭博覇王伝零」では主人公「宇海零(うかいぜろ)」が、早い話世の中を良くするために全てが始まった物語である。
「週間少年マガジン」で二部連載を終えており、現在第三部の連載を待っているところである。
作者は「福本伸行」氏なのであるが、実はほかの連載と異なった特徴がある。
それは、零の過去や、現段階の考え以外の心情描写が極端に少ないのである。
もちろんこれには「大人の事情」も一部絡んでくるわけなのだが、わからない部分があることでより零の過去がわからなくなってくる効果を持っている。
今日はこの零が目指す世界についての推測をまとめてみた。
………………
「覇王」である覚悟
「覇王」には「これまで信頼されていた仲間達を生け贄に捧げる」位の覚悟が必要になる。何故なら保守権力者が成し得なかったことを行うことで、簡単に言えば少数派意見のやりかたで全てを征するのが覇王なのだ。それを成し遂げるには零は少し優しすぎる感がある。
選択するとしたら、どちらかというと覇王は「標」の方が適しているかもしれない。「自ら水に入って謎解きした」部分(第一部・迷宮のトライアングル)をみるとわかるのだが、標は基本取り巻きを信用していない。勝手に標を王としてついてくる人間はたくさん出てくるが、恐らく慈しみから来る心配をしている人間がいない、と標は知っているのだ。
だから自分を守るために、周囲を利用する。
だが零は「魔女の館」(第一部)からわかるように、あくまで「みんなを守りながらクリアを目指す」という、自己犠牲を厭わない覚悟で挑んでいるのである。
零の自己犠牲には若干、他人を見下している部分を否定することができない。彼は自身が何でもできてしまうことを知っているから、できない人を守らないといけない、と一見正義感を感じることができるのだが、これは裏を返せば、他の人間に出来ないことを自分は出来る、という、ちょうど白黒の間の理想論を零が持っているからなのだ。
だからこそ零は覇王になれない。
なるとしたら遠い道のりになるかもしれない。いつまでも自身が我慢すれば解決する、という、やむを得ない自己犠牲の消去法を優先していたら、なあなあの民主主義は終わらないのである。ここに気がつき、捨て去る覚悟が出来れば、「覇王」には意外と遠くはないかもしれない。
何故王を目指すのか
標編もやっておかないと話があれなのだが、これをやっちゃうと自分のハードルとか、ブログがめっちゃ長いとか面倒なことになってしまうので、ひとまず零に絞って考察する。
零は何故、王を目指すのだろうか。
現在と連載初期では随分物語が入り組み、複雑な内情が絡んできているので、「第二部(※ギャン鬼編)」の出来事から逆行して考えてみることにする。
そもそも現在は、世界を変えるだけのモノ(財力・権力・コネクションその他諸々)を手に入れる為に、ギャンブル請負というホームページを、(「おっちゃん」が勝手に)立ち上げ、(「板倉」が勝手に)都合をつけている状態+「ジュンコ(※フルネームはエリザベス・ジュンコ。ヒロイン)」というサポーターがついている状態。
社会的弱者からの信頼を少しずつ積み重ね、強者から金を搾り取る、まさに「義賊」を、皮肉にも手に入れた状態といえる。加えてこの金は「ミツル」の治療費も加わっていて、約束を守り、いつか、恐らく「ユウキ」の無事を確認した辺りで、本来の目的を再活動出来るように準備をしている。
※注・第一部と第二部の間で、事故を引き起こされるという、最大のギャンブルを課されたため、生存者の詳細はわからない。ユウキ・ミツル・ヒロシの義賊三人組は、零のwiki内で詳しく語られている。
とりあえず義賊三人のうち、一人は生存していたとしても活動には加わらない・加わらせない可能性がある。
少し一部(ドリームキングダム編)に戻る。
一部ではミツルの強制脱退から、義賊を続ける事を請け負いゲームへ参加することになる零。途中魔女の館でめげそうになるも、標に声をかけられたところで辛うじて王の道を往く覚悟を決めている。
ではその前は?
そもそもの始まりは、零が「零」の名前で「オレオレ詐欺」被害者に金を返す、とテレビ番組に出たことに始まる。最終的には忍び込んだやくざ達=おっちゃんに捕まってしまうわけなのだが、潜入とキャッシュカードの盗難には成功している。
このメンバーを集めたのが自殺サイトでの書き込み。つまり死ぬ覚悟をした人間を集めることで、危険な仕事もさせられると踏んでいるわけだ。
「元クラスメイト」曰く、零は成績優秀・運動神経抜群というエリートに当たる。顔も整っているから、まさにパット見文句なしの優等生。普通に生きていけばそれなりの成功を約束されているのだ。
そう考えてみるともしかしたら「現状でそれなりの成功を得ることに意味を見いだせない」のでは、という可能性にたどり着く。
わかる人間だから理解してしまった、絶望
もし今のこの社会で大人になったときの世界を予測できる範囲で予測してみよう。あくまで、もしも現状を打破出来なかった場合の予測である。
高齢化社会
安全面の確証がなくなる
雇用の縮小
考え方の傾倒
零は考えてしまったのだろう。
「将来はなにになろう、なにが出来るのだろう」という進路相談の時に、もし今の世界で成長するならどうなるのだろうと。彼は考え方も幅広いので、ならば将来的に必要な仕事は何だろうか、と考えたのかもしれない。
だが出てくるのは、人間としてこのまま生きたときに、果たして反映した社会で笑顔で暮らしていけるのか?という疑問だったのではないだろうか。恐らくこのままいけば未来に希望が見えないのだ。そして愕然とする。
しかし直ぐに持ち直すことも出来る。
オレが世界を変えるしかない
と。
零が目指す世界は、自身が成長して意味のある世界を造ること、そして後世まで続けられる世界にすること。そのためには金がいる。
金はどこにあるのだろう。銀行から持ってきたら犯罪になってしまう、意味がない。ならば「犯罪にならないように、悪い奴らから持ってきてしまえばいいのでは?」
名前を公表したのは、これからの零の覚悟でもある。
果たして王となる覚悟と実力が付いたとき、覇王となる資格を有しているのか……それは物語の進行で明らかになるだろう。
長くなったが、これはあくまで個人の意見なので深くつっこんではいけない……(´・ω・`)
□電子書籍で試し読み□
「週間少年マガジン」で二部連載を終えており、現在第三部の連載を待っているところである。
作者は「福本伸行」氏なのであるが、実はほかの連載と異なった特徴がある。
それは、零の過去や、現段階の考え以外の心情描写が極端に少ないのである。
もちろんこれには「大人の事情」も一部絡んでくるわけなのだが、わからない部分があることでより零の過去がわからなくなってくる効果を持っている。
今日はこの零が目指す世界についての推測をまとめてみた。
………………
「覇王」である覚悟
「覇王」には「これまで信頼されていた仲間達を生け贄に捧げる」位の覚悟が必要になる。何故なら保守権力者が成し得なかったことを行うことで、簡単に言えば少数派意見のやりかたで全てを征するのが覇王なのだ。それを成し遂げるには零は少し優しすぎる感がある。
選択するとしたら、どちらかというと覇王は「標」の方が適しているかもしれない。「自ら水に入って謎解きした」部分(第一部・迷宮のトライアングル)をみるとわかるのだが、標は基本取り巻きを信用していない。勝手に標を王としてついてくる人間はたくさん出てくるが、恐らく慈しみから来る心配をしている人間がいない、と標は知っているのだ。
だから自分を守るために、周囲を利用する。
だが零は「魔女の館」(第一部)からわかるように、あくまで「みんなを守りながらクリアを目指す」という、自己犠牲を厭わない覚悟で挑んでいるのである。
零の自己犠牲には若干、他人を見下している部分を否定することができない。彼は自身が何でもできてしまうことを知っているから、できない人を守らないといけない、と一見正義感を感じることができるのだが、これは裏を返せば、他の人間に出来ないことを自分は出来る、という、ちょうど白黒の間の理想論を零が持っているからなのだ。
だからこそ零は覇王になれない。
なるとしたら遠い道のりになるかもしれない。いつまでも自身が我慢すれば解決する、という、やむを得ない自己犠牲の消去法を優先していたら、なあなあの民主主義は終わらないのである。ここに気がつき、捨て去る覚悟が出来れば、「覇王」には意外と遠くはないかもしれない。
何故王を目指すのか
標編もやっておかないと話があれなのだが、これをやっちゃうと自分のハードルとか、ブログがめっちゃ長いとか面倒なことになってしまうので、ひとまず零に絞って考察する。
零は何故、王を目指すのだろうか。
現在と連載初期では随分物語が入り組み、複雑な内情が絡んできているので、「第二部(※ギャン鬼編)」の出来事から逆行して考えてみることにする。
そもそも現在は、世界を変えるだけのモノ(財力・権力・コネクションその他諸々)を手に入れる為に、ギャンブル請負というホームページを、(「おっちゃん」が勝手に)立ち上げ、(「板倉」が勝手に)都合をつけている状態+「ジュンコ(※フルネームはエリザベス・ジュンコ。ヒロイン)」というサポーターがついている状態。
社会的弱者からの信頼を少しずつ積み重ね、強者から金を搾り取る、まさに「義賊」を、皮肉にも手に入れた状態といえる。加えてこの金は「ミツル」の治療費も加わっていて、約束を守り、いつか、恐らく「ユウキ」の無事を確認した辺りで、本来の目的を再活動出来るように準備をしている。
※注・第一部と第二部の間で、事故を引き起こされるという、最大のギャンブルを課されたため、生存者の詳細はわからない。ユウキ・ミツル・ヒロシの義賊三人組は、零のwiki内で詳しく語られている。
とりあえず義賊三人のうち、一人は生存していたとしても活動には加わらない・加わらせない可能性がある。
少し一部(ドリームキングダム編)に戻る。
一部ではミツルの強制脱退から、義賊を続ける事を請け負いゲームへ参加することになる零。途中魔女の館でめげそうになるも、標に声をかけられたところで辛うじて王の道を往く覚悟を決めている。
ではその前は?
そもそもの始まりは、零が「零」の名前で「オレオレ詐欺」被害者に金を返す、とテレビ番組に出たことに始まる。最終的には忍び込んだやくざ達=おっちゃんに捕まってしまうわけなのだが、潜入とキャッシュカードの盗難には成功している。
このメンバーを集めたのが自殺サイトでの書き込み。つまり死ぬ覚悟をした人間を集めることで、危険な仕事もさせられると踏んでいるわけだ。
「元クラスメイト」曰く、零は成績優秀・運動神経抜群というエリートに当たる。顔も整っているから、まさにパット見文句なしの優等生。普通に生きていけばそれなりの成功を約束されているのだ。
そう考えてみるともしかしたら「現状でそれなりの成功を得ることに意味を見いだせない」のでは、という可能性にたどり着く。
わかる人間だから理解してしまった、絶望
もし今のこの社会で大人になったときの世界を予測できる範囲で予測してみよう。あくまで、もしも現状を打破出来なかった場合の予測である。
高齢化社会
安全面の確証がなくなる
雇用の縮小
考え方の傾倒
零は考えてしまったのだろう。
「将来はなにになろう、なにが出来るのだろう」という進路相談の時に、もし今の世界で成長するならどうなるのだろうと。彼は考え方も幅広いので、ならば将来的に必要な仕事は何だろうか、と考えたのかもしれない。
だが出てくるのは、人間としてこのまま生きたときに、果たして反映した社会で笑顔で暮らしていけるのか?という疑問だったのではないだろうか。恐らくこのままいけば未来に希望が見えないのだ。そして愕然とする。
しかし直ぐに持ち直すことも出来る。
オレが世界を変えるしかない
と。
零が目指す世界は、自身が成長して意味のある世界を造ること、そして後世まで続けられる世界にすること。そのためには金がいる。
金はどこにあるのだろう。銀行から持ってきたら犯罪になってしまう、意味がない。ならば「犯罪にならないように、悪い奴らから持ってきてしまえばいいのでは?」
名前を公表したのは、これからの零の覚悟でもある。
果たして王となる覚悟と実力が付いたとき、覇王となる資格を有しているのか……それは物語の進行で明らかになるだろう。
長くなったが、これはあくまで個人の意見なので深くつっこんではいけない……(´・ω・`)
□電子書籍で試し読み□
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