2009年08月17日
ポニーテール風ちょんまげの白髪頭
引っ越してきて何日も経っていない頃、近所の理髪店へ行った。
ご主人は、ポニーテール風ちょんまげの白髪頭で、
細身の初老といった感じだった。
奥さんは亡くなって独り暮らしだという。
店の奥に、手作り風の大きなスピーカーが2個左右に置かれていた。
クラッシック音楽を聞くのが好きだというご主人は、
「最近のテレビはつまらない。特に、訳のわからないお笑いが多すぎる」
と顔に剃刀を当てながらテレビを批判した。
それから2ヶ月後の8月、午後8時頃だったと思う。
近所で救急車のサイレンの音が聞こえた。
数日後、理髪点のドアを開いた。
白髪頭で細身のご主人が、順番待ちの席に横たわるように休んでいた。
「また今度にします」
わたしは帰ろうとした。
「大丈夫だから、どうぞ入って下さい」
ご主人は起き上がりながら言う。
シャンプー液を頭につけながら、
「心臓の状態が悪い。今日は大丈夫だと思う」
さらに、
「なんとか最後まで頑張りましょう」
頭をゴシゴシとしごきながら、そう続けた。
なんともご主人に悪いような、
客として来てあげて良いことをしているような、変てこな感じだった。
それから数日後、夕方だったと思う。
先日と同じように救急車のサイレンの音が近所から聞こえた。
その3日後、自治会の回覧版に訃報の紙が綴られてあった。
ポニーテール風ちょんまげの白髪頭で,
細身の初老といった感じの、あのご主人だった。
あれから約一年が経つ。
あの時と同じ蝉しぐれが降り注ぐ暑い8月の今、
主のいない、ドアの閉ざされたままの理髪店を見て、
人の終わり方を想う。
最近いい出会いがない?幸せがやってくる予感はここから★ツヴァイ★
ご主人は、ポニーテール風ちょんまげの白髪頭で、
細身の初老といった感じだった。
奥さんは亡くなって独り暮らしだという。
店の奥に、手作り風の大きなスピーカーが2個左右に置かれていた。
クラッシック音楽を聞くのが好きだというご主人は、
「最近のテレビはつまらない。特に、訳のわからないお笑いが多すぎる」
と顔に剃刀を当てながらテレビを批判した。
それから2ヶ月後の8月、午後8時頃だったと思う。
近所で救急車のサイレンの音が聞こえた。
数日後、理髪点のドアを開いた。
白髪頭で細身のご主人が、順番待ちの席に横たわるように休んでいた。
「また今度にします」
わたしは帰ろうとした。
「大丈夫だから、どうぞ入って下さい」
ご主人は起き上がりながら言う。
シャンプー液を頭につけながら、
「心臓の状態が悪い。今日は大丈夫だと思う」
さらに、
「なんとか最後まで頑張りましょう」
頭をゴシゴシとしごきながら、そう続けた。
なんともご主人に悪いような、
客として来てあげて良いことをしているような、変てこな感じだった。
それから数日後、夕方だったと思う。
先日と同じように救急車のサイレンの音が近所から聞こえた。
その3日後、自治会の回覧版に訃報の紙が綴られてあった。
ポニーテール風ちょんまげの白髪頭で,
細身の初老といった感じの、あのご主人だった。
あれから約一年が経つ。
あの時と同じ蝉しぐれが降り注ぐ暑い8月の今、
主のいない、ドアの閉ざされたままの理髪店を見て、
人の終わり方を想う。
最近いい出会いがない?幸せがやってくる予感はここから★ツヴァイ★
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